今世は夫婦で冒険者パーティー黒猫 ~前前世は冴えなかったが前世は最強! で、今世も最強で旅をする。気ままに弟子を育てながら気まぐれに生きてい

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第三章 上を目指して

第百十二話 オーション市で意外な情報が

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  ジョルジュギルマスが話し出した。
「俺はラーバンスト王子と連絡を取り合っている。……そのラーバンスト王子がお前たちの事を話していた。だが一度話をしたかったが断られたから、この依頼の後だったら話せるだろうと思って呼んだんだ。……そして丁度良いことに、この前お前たちが参加しなかった大規模盗賊討伐で捕まえた男がいたんだが…………捕縛後にどうやったのか魔物人間に変化した奴がいる……。」


  初耳だ……


「……場所が冒険者所有の牢だったから箝口令を敷いた。だから情報は漏れなかったろう……」

『我は感じたけどね!』
  おい……教えてよクロウ……

「その情報はラーバンスト王子にも伝えたが、お前たちにも教えて欲しいと言われたからな。」


「……それは聞いてもいいの?」


「普通であればただのAランク冒険者が持つ情報ではない。……だが王子の頼みだ……」


  そこからジョルジュギルマスが魔物人間について話をしてくれた。
  見張りは冒険者と騎士が合同で行っていた。そして先に犠牲になったのは冒険者だった……

  ……捕縛した大規模盗賊の集団でも頭目と言われた男が、牢に入れて少しすると禍々しい圧を放ち出した。
  その気配を感じた騎士の一人が上司に伝えに走り、上司が牢に到着したときには変化を終えていた。
  悔しいことに見張っていた残りの騎士と冒険者はもう殺されていて、逃げようとしたタイミングで到着したようだ。駆けつけた上司はケメドともっとランクが高い冒険者で……(あーー、だからケメドさんはあんなに話し方も変わっていたのか? 部下をみすみす殺されたから……)……ケメドがどうにか魔物人間を抑えている時間で、騎士団長が到着してその場を収めた。


  ……騎士団長は流石に強いか。


  今回も話を聞くにゴブリン人間だったようだ。……だが続けて話を聞くと人間から魔物の姿に変化した。――魔物人間は、人族から魔物人間になった方が強いようだな。
  そして今回得られた情報の中で、ゴブリン人間がつい漏らしたんだろうが「……俺たちは全世界で活動している。……今俺をどうにかしても、俺たち赤の旅団は無くならない! 今ならお前らも俺と同じになれるだろうがどうだ? 今まで出会ったら逃げていたオーガにも簡単に勝てるだけの戦闘力になるぞ! 俺はまだオーガと戦っていないがな――はっはーー。と言っていたぞ。」と言われた時には驚いた。

  『赤の旅団』『オーガ以上の力』『全世界』

  何かアルグリアン王国だけの問題ではなくて、世界規模の問題になりそうだ。
  更に赤の旅団って……今まで出会った盗賊でそう名乗っていた盗賊がほとんどだったが、もしかして組織の名前になるのか?
  オーガ以上の戦闘力になるのも、変化さえしてしまえばオーガ以上になるなら、普通の冒険者では太刀打ち出来ないな……


……


  僕達はジョルジュギルマスから得た情報で今後の方針を立てることにした。
  盗賊――――赤の旅団と名乗る者は魔物人間に変化する可能性がある。魔物人間――――魔人――――どう呼ぶかはまだ僕達は決めていないが、この世界での敵になりそうだ。


  ロード種ならステータスで個体の平均数値が千位だが、SSランク冒険者で――――人間族進化種でようやく立ち向かえるくらいだ。
  進化していない人間族ならSランク冒険者になる人間族でようやくオーガと対等な戦闘力くらいだ……


  圧倒的ではないか相手の戦力は!


  って個人の戦闘力の差で戦争の勝ち負けが決まるわけではないが……


  数字だけの戦争だと、平均ステータスが百のゴブリンが五匹いるとSランク冒険者が一人とられることになる…………もちろん実際の戦闘ではそんなことはなく、五倍強い冒険者が一瞬で勝つのだが…………魔物はそれだけ数の暴力で対抗してくる……


  どうやって対処したら良いのだろうな。僕達が小さな盗賊の拠点を殲滅していたときは赤の旅団と名乗ってはいたが、魔物人間に繋がる情報はなかったし……おそらく情報を知らされていない末端の盗賊も多いのだろうな。
  だとすると頭になる人物は何処にいるのか? ゴブリン人間に変化した奴もその盗賊集団の中では偉いのかもしれないが――もっと根本的に、全体を掌握しているのは誰か? こんなにバラバラな集団をどうやって動かしているのか? 目的は?

  遠く離れている盗賊同士連絡を取り合ってもいないし、誰かが命令に来たって言う話もなかったし謎が深まる。
  考えたくはないが、ソフィアの魔法から逃れることが出来るほど能力が高いのであればヤバイね。


  ジョルジュギルマスは僕達に情報を伝えたとラーバンストに話しておいてくれるそうだ。僕達から何か伝言はないか聞かれたが、今はまだ無いと答えておいた。


……


  ジョルジュギルマスとの話はそれで終わった。だがオーション市にいる場合は時々話をして親交を深めたいと言われた。この先何があるかわからないので、少しでも戦力強化になる冒険者とは繋がっていたいと正直に言われた。

  もう少しはこの都市で活動しようと思っていた僕達も、特に拒否する必要もないので、何かあれば受付に声をかけてもらうことにした。


  さあこれからはまだ盗賊討伐を続けるか……それとも何か別の行動をとるか迷う。討伐の拠点はクロウ達に任せても良いし……。僕達はどうするか話し合った。
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