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第三章 上を目指して

第百二話 初々しい冒険者ギルド

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  静かになった僕達の事を知る冒険者だったが、目の前の初々しい冒険者はそんなことには気づかずに話続けている。


「俺達はこの前冒険者登録したばかりなんだけど、もう一人か二人仲間にしたかったんだ。だから女の子だけでなくて、男の子も一緒にパーティーを組まないかい?」

  そう言う冒険者の後ろには男の子がもう一人、女の子が二人いて、サクラ目当てには思えなかった。更に歳も十五歳から十八歳程で構成されている。
  普通に誘ってきたみたいだね。


「あーーゴメンゴメン、俺はコーンスだ。後のこいつがバルセ。で彼女らがフューツにソテランだ。俺達は同じ町出身で、ようやく親の許可をもらって王都に来たんだ。」


「へーそうなの。でも駄目ね。私達は今のこの仲間で十分よ。」

  サクラがそう言うとコーンス達は残念そうにしていた。

「そうかー残念! 君達がギルドに入ってきたときに空気が変わったから、幼いのに強くて、でも一緒に組むのに丁度良い人達がいないと思ったんだよ。」


  あらら、性格の良い子達だったのか。


「ごめんね。僕達の都合なんだよ。でもありがとね。」

  僕がそう言った後に一緒に食事をしながら情報交換をしないかと言われて、折角のお誘いだから誘いにのった。


  僕達はランクを明かさずに話していた。
  相手も僕達のランクは低いだろうと思ったのか、そこは聞いてこなかった。
  それで今回得た情報が、王都より少し離れた所に盗賊の根城があるようだ。コーンス達が移動している時に盗賊に襲わた。だが馬車の護衛が倒し盗賊から聞き出した情報らしい。


「へーー、それはまだ知らない情報だったよ! ありがとう。」とお礼を言った後は、僕達の王都周辺の魔物の分布や、薬草などの穴場を教えておいた。


「おう! ありがたい! 俺達もしばらくは王都にいるからな。もし見かけたらまた一緒に食事でもしようぜ!」とコーンス達と別れた。


……


  その後コーンス達は冒険者ギルドから出て依頼の薬草を採取しに出掛けた。

  僕達はその姿を見送った後に、ギルドマスターの部屋に移動した。

  僕達の周りの冒険者は終始静かだったが、コーンス達は何も変に思わなかったようだ。


「でパッショギルマス、今日は何か良い依頼はない? 今下で盗賊の事は聞いてきたけど、何かいいものはある?」


「ええ、盗賊ですか……おそらくそれは今後貼り出されますね。ですがもう少し調査をしてからですので……今はドラゴン退治でもしませんか?」


「ドラゴン、急に出てきたねその言葉……。何処かに出現したの?」


「ええ……幾つかの冒険者パーティーで合同依頼にしようと思っていますが、どうしますか?」


「私達だけじゃ駄目? ドラゴン程度なら苦にもならないけど?」


「……ドラゴン程度ですか……。ですが、ドラゴンは他の冒険者も素材を欲しがりますので……特にSランク冒険者等は皆さんと一緒で、倒せますから……。出来るなら二か三パーティーでお願いしたいのです。ドラゴンの周囲には逃げて来た魔物も多く出現しますし、最悪ドラゴンだけであれば私が行っても倒せますし……」


「あーーパッショギルマスも強いんだっけ。元SSランクの冒険者でしょ? だったらねーー。まーー報酬、素材を分配したいのもわかるかな。」


「……ではどうですか?」

  複数パーティーが一緒なのはちょっと嫌だけど、一度Sランク以上の冒険者と一緒に依頼を受けるのもいいかな? サーマンだけしかSランク冒険者を知らないしね。


「わかりました。黒猫はこの依頼を受けます。」と僕が返事をすると、依頼の説明になった。


  ドラゴンは王都から徒歩で五日はかかる所、山の麓に出現した。山までは道がなく、乗り物での移動は無理である。徒歩で五日だが、Aランク以上の冒険者パーティーでは走って行くともう少し早く着くと思う。しかし急ぎすぎても魔物に襲われる可能性があるから、移動手段は高ランク冒険者の判断に任せられる。
  冒険者の複数パーティーに依頼を出すが、実はこれから募集するのでどんな冒険者が集まるかはわからない。

  最後に、ドラゴンは何の意図があるのか、山の麓からは動いていない。


……


  これから募集か……どんな冒険者パーティーが受注するのだろう。出来るならソロが二組だったらありがたいけどね。


……


  そんな期待をしてメンバーが揃うのを待っていたが、何度かの冒険者ギルド訪問でパッショギルマスから人員が揃ったと言う話があった。


  今回は僕達に配慮してくれて、僕達以外は二組で、モイスさんがAランクだがソロで依頼を受けた。そしてもう一組も、二人組の冒険者パーティー? コンビだった。

  【正義の剣】ラーバンストと言うそうだ。三十歳程か? 剣士風だが貴族? ……。もう一人は魔法使いかな。んーー鑑定したらいいんだろうけど、負けた気がするから駄目だ……と、それは余計な考えだけど、ヒューズと言う名前らしい。
  この二人は共にSランクの冒険者だ。


  この三人とは依頼開始の今日、会って話をして自己紹介もした。


「ほーう、黒猫と言うのか、よろしくな。俺はラーバンスト……剣で戦う。それで隣の相棒が……」
「自分で言いますよラーバンスト様。私はヒューズ。戦うときは魔法ですね。」


「ラウールとサクラは知ってるよね。私はモイスよ! 私はAランクね。……ドラゴンと戦うのは初めてだけどよろしくね。」


「僕はラウール。戦いは、万能?」
「私はサクラ……ラウールと一緒の黒猫よ! 他に一緒にいるこの子達も家族だから手出ししたら赦さないわよ。」
「我クロウ!」
「ソフィアです。」
「ヤマトだ!」


  珍しくクロウ達も口を開いた。

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