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第三章 上を目指して
第八十二話 ダンジョン都市キバンに到着
しおりを挟む……
クライスさんと残った騎士、冒険者と僕達とで護衛し、無事にシランス様をダンジョン都市キバンまで連れて来た。
流石にダンジョン都市なだけあって、通行門の前には長い列が出来ていた。
……
だが僕達はシランス様一行であるため、貴族通行門を通りキバン市にすぐに入ることができた。
そしてこの短時間でも名残惜しそうに別れたシランス様……ごめんなさい。僕達は護衛をしていた冒険者とクライスさんと共に冒険者ギルドに向かう!
……
ここまで来ると流石にシランス様を狙うことは出来ないようで、状況説明のためクライスさんが冒険者ギルドまでついて来てくれた。
……
一緒に向かう人がいたから迷うことなく冒険者ギルドに到着し中に入った。
普段であれば僕達が先に他の冒険者から見られるが、ここはクライスさんに軍配が上がった。代官の娘の護衛騎士……この人には幼く見た目が良い僕達もかなわなかった。
そして何か特権? 専用の受付があるのか待つこともなく受付さんと会話することになった。
「申し訳ないが旅の途中で冒険者を雇った。……だがギルドに義理も通したいと我が主のシランス様がおっしゃっている。……この者達が依頼達成となるように取り計らってもらいたい。」
道中で話された事だが、少しでも僕達のために動きたいと言って、このような事になった。
……
流石にこの話を聞くだけでは良くわからないと受付さんが言い、お偉いさんと会う事になった。
……
ここは個室?……いやこの感じはギルドマスターの部屋だろう。代官の娘案件はギルドマスターが出てくるような話なんだろうな。
ガジャガジャ!
バタン!
ドン!
何か乱暴者が入って来た感じで、目の前にマッチョな男が座った。
……
「おう! 俺はピップ・ナクレイーン。ここのギルマスだ! まーーピップでいいぞ! ……で、シランス嬢を危険な目に合わせたって! 何をしてるんだクライス! ロドリーがお前を信頼して自由にさせてるんだぞ! おい、それがお前の今のざまか!」
っと、クライスさんとギルマス、代官様は知り合いか?
僕がそんな疑問を持っていると、勝手にこの二人が疑問を打ち消していく……
何でも昔はシランス様の父ロドリー子爵とクライスさん、ギルマスのピップと幾人かで冒険者パーティーを組んでいたそうだ。
だからシランス様は可愛い姪のような存在で……だからこそ危険な目に合わせたクライスさんがギルマスのピップに怒られているようだ。
……
……
……
しばらく僕達の出番がなく時間だけが過ぎていく。
……
……
「って長い……長いよ! 僕達も早く違うことがしたいんだから、早く済ませて!」
「んん? そういえばクライスと一緒に来た奴らだな! ……うん、ちゃんとクライスの話は聞いていたぞ。ーーん、アリガトナ!」
ちょ……
「で、依頼を一つこなしたことにするが、ランクは聞いていなかったな! ……強いようだが……」
そう言われて僕達も説明した。
冒険者ランクはもちろん、たまたま助けたことも話して、少しこの都市で依頼をこなして冒険者ランクを上げたいと伝えた。
「おう! お前らみたいなガキがBランクとはな……ああーー、ダンジョンに入るのか? だったら情報ならやるぞ! 聞く限りだと大分上の階に行けるだけの実力がありそうだからな!」
「うん、攻略しちゃうかもよ! まーー情報がないから良くわからないけど。」
そこにクライスさんが話に入って来た。
「ダンジョンに行くのは良いのだが、少しだけ日にちを空けてくれないか? ロドリー子爵が必ずお礼をすると言い出すだろう。今日か明日にはお話があると思うので、どうか……」
「んーー出来たら遠慮したかったんだけど、貴族相手では無理ですよね。僕は今回は思うこともあって……自分の感情を落ち着かせるためにも、助けられる命を助けただけなんですけどね……」
「うん、それでもお願いする……。貴族の面子もあるのですよ。」
「おう! その通りだぜ! 貴族に恩を売ったままなど出来ないぞ! 貰っておけ貰っておけ。あいつはケチではないぞ!」
んーーそう言うことでもないんだけどな……
「わかったわ。ラウールがこう言っているけど、出来るなら……失礼だけど冒険者ギルドで貴族には会わずにお礼だけ欲しいんだけど……」
「そうですか……会いたいと言いそうですが、わかりました。出来るだけご希望に沿えるようにお伝えします。」
そこからはまた二人で話し始めそうだったから、僕達は退室した。
宿も冒険者ギルド周囲にあるそうで、明日の昼頃にもう一度冒険者ギルドに来てほしいと言われた。
……
……
冒険者ギルドを出た僕達は宿に向かった。
無難に見た目が普通の宿に入り、今日は休むことにした。
ダンジョンの情報を今日は聞けなかったから、明日冒険者ギルドで聞いてみることにしよう。
何かしらのアクションもロドリー子爵からあると思うから、一応は貴族に会う覚悟だけはしておこう。
だけど今回はまだ貴族と仲良くなりたくないな……
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