68 / 168
第二章 冒険者活動
第六十七話 ここまでがテンプレか!
しおりを挟む
僕達は順調にハルーシア市に近付き、王都とハルーシア市の中間地点まで移動できていた。
途中で出会う魔物はゴブリンがほとんどで、強くてもオークまでだった。もっと奥まった所に行かない限りは、街道ではこの程度の魔物より出現しないようだ。
……
……
だがここまで順調に進んできたからこそか、遠くから多くの気配が近づいてきた。
「クロウ? これはもしかして……」
「ラウール! その通りだと思うよ!」
僕とクロウが会話しサクラが他の馬車に走る。
……もちろん正面と側面から人間族が多く接近してきていると……
サクラからの伝言が伝わったからか、僕達の集団は一ヶ所で停止し、防御の構えをとる。
徐々に人間族の集団が近づいて来て、馬が地面を蹴る音も近付き、百メートルほど前方で集団は停止した。
側面の集団は音を出さないようにまだ接近してきている。
そんな気配を僕達は捕らえ、何が目的か考えていると、前方の集団から大声で話し出す者がいた。
「おい! 金目の物は全て置いていけ! あとは女がいるなら女も置いていけ!」
そんな盗賊のようなテンプレの台詞が聞こえた。そして更に盗賊のような奴らは「皆が同じ所で武器を買ったのか? 」と聞きたくなるような、同じ特徴があるものを構えている。
……サクラは小声で言った……「名探偵サクラの出番はないわ……」
うん、ハルーシア侯爵かその周囲の奴が差し向けたんだろうな……
ガイブンも絡んでいる集団となると、僕達の怒りは……
「プッチモ王子! 僕達だけでやる!」
そう言うとプッチモ王子は驚いていたが、肯定なのか手をヒラヒラさせた。
よし! 許可が出たなーーギッタンギタンにしてやる!
「クロウは横を頼む!」
「了解ラウール! 我の気合いを受けるが良い! …………混沌と暗黒 秩序と光明 我は対になるものを同一とする 反発するものよ 我の力となりあやつらをこらしめろ! 斥力 引力 分離!」
クロウが良くわからない詠唱後に魔法が発動したようだ……側面から近づいてきていた気配が沈黙した……
どうなったんだ! 気になるな……
だがこちらも!
「サクラ! ソフィア! 風のあれを!」
「わかったわ!」
「わかりました!」
僕達三人はあれで通じる魔法を詠唱した。相手がこれくらいの距離を離れていると、僕達が詠唱している間に攻撃は出来ないだろう。
「「「純粋なる我が魔力 この世界に漂う清浄な魔素群 我らの求めに応じろ 我らは求む打ち勝つ力を 願いを聞き届けるなら……行け風の者よ! 風龍顕在!」」」
ゴゴゴゴゴゴゴーー
ゴゴゴゴゴゴゴーー
魔素が集まるだけで音はないはずが、何か僕達の目の前に集まり、音が出ているように感じるように渦巻きながら魔素が集まる……
集まった魔素は段々と形作られ、この世界でも高位な存在……
その中でも風を操る龍を創造する。
この龍は前世で冗談半分に僕達が魔法を唱え、ヤマトにぶつけた魔法……
風を纏った龍が空間を駆け巡る!
じゃ!
ざっ!
ぶおおおおーーー!
スサ!
「ギャーーー!」
「く、来るな……」
「うわーーー!」
「あ……足……グボォ!」
「りゅ、りゅ、りゅうーーー!?」
僕達が発した魔法が駆け巡る……
あるものは体の中心を……
あるものは四肢を……
首を……
……龍の口に噛み砕かれ……
あるものは細切れに……
リーダーらしき者だけが無傷で残り、他の者は命を散らす……
……いつ見ても、いつやっても気分が悪い光景だ。だが僕達に敵対するなら……死ね……
最近我慢していた感情もあったからか……この程度の集団には過剰な魔法だったな……
フル詠唱の魔法……
盗賊?以外は誰もいないことを確認したが、僕達の前方は……おそらくは王都の面積程の広さが更地と変わった……
ハルーシア領の人は、開拓の手間が省けただろう……
……
……
……
誰もが沈黙だ。
皆が動かない。
誰が時魔法の停止を唱えたんだ! ……ん。
現実から逃避するのは止めよう。
誰か返事を!
僕は寂しくなりサーマンの頭を軽く叩いてみた。
ペシン!
……
……
べち!
……
……
……ゴン!
「……おい……何をしてるんだ……したんだ?…………おい! お前らは何だ! はーーーーあの龍はどこに行った! はーーーーおい! お前ら! いや……ラウールさんと言うか?」
サーマンさんが混乱している……
ここは正気に戻すためにも、もう一度頭に衝撃を!
僕は拳を握り手をあげた!
……
……
「止めてくれないか……死ぬぞ俺は……」
……
……
「ハハハハハーー、冗談だよ! 冗談だよサーマンさん!」
「……物騒な冗談は止めてくれないか……」
僕とサーマンの間には微妙な空気が流れた……
「……さて、冗談は別にして、あそこで座り込んでいる男はどうする? 何か地面に怪しい染みが見えるような……」
「……さーー僕達の出番は終わった! ……あーー、もう魔力が無くなって力が出ない……」
……
……
正気に戻り始めた皆の視線が突き刺さり痛い!
痛い痛い!
……
……
「おう……まーー俺達は護衛の依頼を受けて何もしていないからな……やるが……やるが説明を求めるぞ! お前らのこの馬鹿げた魔法は何だ! ……クロウ? が何故あっちを攻撃した! ……何となく予想はつくが、見たらわかるが、何だよこの状況は! あの時よりもビックリだわ!」
そう言われた僕達は、多少の説明はしないといけないんだろうなと諦めた。
途中で出会う魔物はゴブリンがほとんどで、強くてもオークまでだった。もっと奥まった所に行かない限りは、街道ではこの程度の魔物より出現しないようだ。
……
……
だがここまで順調に進んできたからこそか、遠くから多くの気配が近づいてきた。
「クロウ? これはもしかして……」
「ラウール! その通りだと思うよ!」
僕とクロウが会話しサクラが他の馬車に走る。
……もちろん正面と側面から人間族が多く接近してきていると……
サクラからの伝言が伝わったからか、僕達の集団は一ヶ所で停止し、防御の構えをとる。
徐々に人間族の集団が近づいて来て、馬が地面を蹴る音も近付き、百メートルほど前方で集団は停止した。
側面の集団は音を出さないようにまだ接近してきている。
そんな気配を僕達は捕らえ、何が目的か考えていると、前方の集団から大声で話し出す者がいた。
「おい! 金目の物は全て置いていけ! あとは女がいるなら女も置いていけ!」
そんな盗賊のようなテンプレの台詞が聞こえた。そして更に盗賊のような奴らは「皆が同じ所で武器を買ったのか? 」と聞きたくなるような、同じ特徴があるものを構えている。
……サクラは小声で言った……「名探偵サクラの出番はないわ……」
うん、ハルーシア侯爵かその周囲の奴が差し向けたんだろうな……
ガイブンも絡んでいる集団となると、僕達の怒りは……
「プッチモ王子! 僕達だけでやる!」
そう言うとプッチモ王子は驚いていたが、肯定なのか手をヒラヒラさせた。
よし! 許可が出たなーーギッタンギタンにしてやる!
「クロウは横を頼む!」
「了解ラウール! 我の気合いを受けるが良い! …………混沌と暗黒 秩序と光明 我は対になるものを同一とする 反発するものよ 我の力となりあやつらをこらしめろ! 斥力 引力 分離!」
クロウが良くわからない詠唱後に魔法が発動したようだ……側面から近づいてきていた気配が沈黙した……
どうなったんだ! 気になるな……
だがこちらも!
「サクラ! ソフィア! 風のあれを!」
「わかったわ!」
「わかりました!」
僕達三人はあれで通じる魔法を詠唱した。相手がこれくらいの距離を離れていると、僕達が詠唱している間に攻撃は出来ないだろう。
「「「純粋なる我が魔力 この世界に漂う清浄な魔素群 我らの求めに応じろ 我らは求む打ち勝つ力を 願いを聞き届けるなら……行け風の者よ! 風龍顕在!」」」
ゴゴゴゴゴゴゴーー
ゴゴゴゴゴゴゴーー
魔素が集まるだけで音はないはずが、何か僕達の目の前に集まり、音が出ているように感じるように渦巻きながら魔素が集まる……
集まった魔素は段々と形作られ、この世界でも高位な存在……
その中でも風を操る龍を創造する。
この龍は前世で冗談半分に僕達が魔法を唱え、ヤマトにぶつけた魔法……
風を纏った龍が空間を駆け巡る!
じゃ!
ざっ!
ぶおおおおーーー!
スサ!
「ギャーーー!」
「く、来るな……」
「うわーーー!」
「あ……足……グボォ!」
「りゅ、りゅ、りゅうーーー!?」
僕達が発した魔法が駆け巡る……
あるものは体の中心を……
あるものは四肢を……
首を……
……龍の口に噛み砕かれ……
あるものは細切れに……
リーダーらしき者だけが無傷で残り、他の者は命を散らす……
……いつ見ても、いつやっても気分が悪い光景だ。だが僕達に敵対するなら……死ね……
最近我慢していた感情もあったからか……この程度の集団には過剰な魔法だったな……
フル詠唱の魔法……
盗賊?以外は誰もいないことを確認したが、僕達の前方は……おそらくは王都の面積程の広さが更地と変わった……
ハルーシア領の人は、開拓の手間が省けただろう……
……
……
……
誰もが沈黙だ。
皆が動かない。
誰が時魔法の停止を唱えたんだ! ……ん。
現実から逃避するのは止めよう。
誰か返事を!
僕は寂しくなりサーマンの頭を軽く叩いてみた。
ペシン!
……
……
べち!
……
……
……ゴン!
「……おい……何をしてるんだ……したんだ?…………おい! お前らは何だ! はーーーーあの龍はどこに行った! はーーーーおい! お前ら! いや……ラウールさんと言うか?」
サーマンさんが混乱している……
ここは正気に戻すためにも、もう一度頭に衝撃を!
僕は拳を握り手をあげた!
……
……
「止めてくれないか……死ぬぞ俺は……」
……
……
「ハハハハハーー、冗談だよ! 冗談だよサーマンさん!」
「……物騒な冗談は止めてくれないか……」
僕とサーマンの間には微妙な空気が流れた……
「……さて、冗談は別にして、あそこで座り込んでいる男はどうする? 何か地面に怪しい染みが見えるような……」
「……さーー僕達の出番は終わった! ……あーー、もう魔力が無くなって力が出ない……」
……
……
正気に戻り始めた皆の視線が突き刺さり痛い!
痛い痛い!
……
……
「おう……まーー俺達は護衛の依頼を受けて何もしていないからな……やるが……やるが説明を求めるぞ! お前らのこの馬鹿げた魔法は何だ! ……クロウ? が何故あっちを攻撃した! ……何となく予想はつくが、見たらわかるが、何だよこの状況は! あの時よりもビックリだわ!」
そう言われた僕達は、多少の説明はしないといけないんだろうなと諦めた。
0
お気に入りに追加
262
あなたにおすすめの小説
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
陛下から一年以内に世継ぎが生まれなければ王子と離縁するように言い渡されました
夢見 歩
恋愛
「そなたが1年以内に懐妊しない場合、
そなたとサミュエルは離縁をし
サミュエルは新しい妃を迎えて
世継ぎを作ることとする。」
陛下が夫に出すという条件を
事前に聞かされた事により
わたくしの心は粉々に砕けました。
わたくしを愛していないあなたに対して
わたくしが出来ることは〇〇だけです…
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる