異邦の13人ーThe 13 of Etranzeー

ロン・インディー

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1章3部アラビア海航海編ーインド・ヴァルダナ王朝ー

第四十三話 痛み

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 渓谷を歩いて数十分、視界は暗闇に変え足元も見ずらくなった。
「真っ暗になって来ましたね神様。」
「これは目が慣れたとしても下には石ころが散乱しているから灯りがないと危ない。」
 アウロラは言った。
「そうですね。」
 語部優は答えた。
 そして語部優は周囲を見渡していると暗く見えにくい視界の奥、一箇所だけ一段と暗い部分が渓谷の岸壁にあった。
「あれはもしかして…洞窟?!」
「少年、あの穴蔵で夜明けまで過ごそう。」
「はい!」
 語部優はアウロラの言葉に肯く。そして語部優は駆け足で見えない足元と視界を無視して洞窟の中へ入って行った。
「ふぅ、これで安心だ。しかし洞窟の中ってなんだか不気味だ…。そして不安だな…。」
 心許無し言葉を口から吐き出した。
「なんだ少年。なんだかまるで「今すぐ神様の神通力で火を起こしてくれないかな」と言いたげな発言だな。朕が付いているから安心だろ?!なんだ不満か人間!」
「あれですよ!神様はいますが実質僕一人なんですよ。怖いですし心細いです。」
 語部優はアウロラに言った。アウロラはハァとため息を漏らし言った。
「仕方がないな…今日限りだぞ。二回目だけどな火を起こしてやる有り難きと思えよ。」
 アウロラは語部優の右手を操り小さな炎を一つ指先に着火、そしてアウロラはその炎を地面に投げると薪に火を着ける如く燃え上がり暗闇だった周囲は照らされた。
「うわ~あったか~い。」
 語部優は炎の明かりに内心ビクビクしていた恐怖心や不安な心が全て吹き飛び癒しに浸った。その後語部優は長旅と立て続けに現れる物語に疲れがどっと来たのかすぐに眠りに入ってしまった。
 
 眠りに入ってから何時間経ったのか、急に深い眠りを切り裂く激痛が心臓を襲った。
「………ッ!」
 あまりの痛みに声すらも出すこともままならない痛みに耐えながら体を起こす。その後その痛みが現れて一分弱、その一分が語部優にとった短くそしてとても長い時間に感じた。
「な、なんだったんだ今の痛みは…」
 語部優は自分の胸を撫でて呟いた。
「大丈夫か少年。」
「あ、はい。平気です、心配ありがとうございます。」
 と、心配げに声を掛けるアウロラに語部優は平気だと言った。
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