異邦の13人ーThe 13 of Etranzeー

1章2部 ペルシャ湾航海編

第二十話 伝説の怪鳥

　しかし数時間後雲行きが怪しくなり風も吹き始めた。
「これは嵐になるな。」
　シンドバッドはそう言うとモルジアナが船内から出てきた。
「モルジアナ掃除は終わった？」
「はい何とか終わらせることはできました。しかし、シンドバッドさん食料や素材はどこにあるのですか？」
「え？そんなのないない。だって料理作れないんだもの。素材や料理で使う物なんてあるわけないさ。」
　シンドバッドは笑いながら手を横に振り言った。するとモルジアナはニコッと笑いシンドバッドに言った。
「シンドバッドさん、あまり女性を怒らすと命がいくつあっても足りませんわよ。」と圧をかけて言った。
「冗談をよしてくれよモルジアナ」
「……」モルジアナは表情をそのままにシンドバッドに顔を向けている。シンドバッドも命の危機を感じたのか「すみません」と頭を深く下げ謝った。
　『…やっぱりどの世界でも女性は強いんだな。』
　語部優は心の中で呟いた。
　するとアリババは船を進める正面に指を指し叫んだ。「船長！島が見つかりました！」アリババは島を見つけたらしくこの悪天候には停泊地点があるのはありがたい。
　するとその時だった「ピーヨロロロロッ」とどこからともなく雷鳴のような轟が鳴り響く。
　波が高くうねり強風で船が煽られた。するとジャミルが空に指を指し叫んだ。
　「空だ！空に何かがいるぞ！」
　ジャミルの声に語部優らは厚い雲に目をやった、次の瞬間、分厚い曇天の空を突き破り巨大な怪鳥が現れた。全身の体は白く頭の後頭部には太陽のような楕円の光背が輝いていた。
　語部優はその怪鳥を見て思い出した。千夜一夜物語に登場する伝説の化け物トリ。
「あれは怪鳥！ルフ鳥！」
　語部優はルフ鳥（別称ロック鳥)を見て目を見開き叫んだ。アウロラは語部に言った。
「少年。気をつけろあの鳥、ロック鳥はこの船を狙っているぞ！。」
　大怪鳥ロック鳥の足には大量の岩を掴み、ロック鳥は語部優らの船に目掛けて岩を落とした。