異邦の13人ーThe 13 of Etranzeー

1章1部 プロローグ編

第十二話 勝者？

　するとヘリヤは語部優を見てニタリと笑った。
「残念」
　その時だった、ヘリヤは右足で語部優の左の脇腹を蹴りつけると自ら腹に刺さった刃を抜いた。
「くっ…」
　語部優は左の脇腹を右手で押さえる姿を見て逃げ出した。
　アウロラは『くそ！』と言うと語部優の左手を操り逃げるヘリヤの方に腕をのばし「three･dimension」と言った。そして語部優の左手から炎が吹き出した。
　ヘリヤは洞窟へ逃げ入り込んだ後アウロラが放った炎も洞窟へ入り込み大爆笑、炎上した。
　そして語部優の左手は自由に動くよつになった。
　一気にアドレナリンが切れたのか、体が重くなり座り込んでしまった。
「語部さん！大丈夫ですか？！」
　そこへ心配してモルジアナが声を掛けて語部優の方へ走ってきた。
「はい。お二人さん怪我はなかったですか？」
　語部優はアリババとモルジアナに怪我ないか聞いた。アリババは「僕たちよりも語部優の方が大怪我ですよ！」と語った後、二人は語部優を起き上がらせた。
　石でかすれた右頬の血を手の甲で拭いているとアウロラが語部優に謝った。
「少年。悪かった、神としての立場で主に傷を負わしてしまった。不覚。」
「神様は悪くありませんよ。しかし無名を倒すことは出来ました…」
 語部優はそう語るとアウロラは「―そうだな」少し黙ったあとあの毒舌のアウロが若干柔らかな口調で言葉を返した。
するとアリババは語部優に言った。
「この傷だと心身負担がかかります。一旦兄さんの屋敷へ戻って傷口を治しましょう。」
アリババは語部優の腕を肩に回し屋敷まで運んだ。