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第3章 予言の成就
第25話「軍団長就任」
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北方において、国に所属するプレイヤーが行う軍団長選出の定期投票によって選ばれたプレイヤーは、軍団長としてみんなを率いる立場となる。1つの勢力の命運を決める立場にある日突然なってしまった時、私だったら逃げ出したい気分になる。
今月の軍団長選挙まで残りわずかとなったが、今回は例の寝マクロによる不祥事で支持率ガタ落ちの現軍団長ポーラの続投は絶望的なため、人々の関心は専ら新しい次期軍団長が誰になるかだ。旅団内でも誰がなるのか話してたが、やっぱり数少ないまともな師団長のTokiさんが最有力。まぁ順当だろう。
「おいすー!インしたお!」
そんな時にログインしてきた彼だが、相変わらずテンションが高い。
「今見てきたんだけど、みずぽんの作ってきた旅団エンブレム!素晴らしい出来だね!」
そうだった、軍団長選出の定期投票の話で持ちきりだけど、旅団のエンブレムがようやく決まったんだった。
「前にゴッドフリーの言ってたサンティアゴの十字架と言うのを元に、図案を考えたんよ」
みずぽんさんの作ったという黒地に赤の剣形十字のこのエンブレム、中々にカッコいい。このエンブレムがデザインされた砦の旗が風でなびくのを見るのは、何というか、心に来るものがあるけど、今は私の興味は別にある。
「ゴッディは新しい軍団長、誰になると思う?」
師団長を拝命してるんだ、彼にも軍団長を狙う気持ちはあるのかもしれない。
「あー、特に何も考えて無かったけど、Tokiどんが頑張ってくれるでしょん」
そんな気持ちは一切なかったか。まぁ彼が軍団長になる日なんて、そうそう来ないか。
しかし、月開けの初日、誰もが予想だにしていない事態が起こった。
「まさかこんな日が来てしまうとは……!」
軍団長選出期間直前に、なんと最有力候補のTokiさんが辞退するという誰もが考えもしなかった事態が発生。行き場を失った票はTokiさん自身が後押しをした事から大部分が流れ込み、地滑り的に彼が軍団長に就任してしまったのだ。
そして流れた、
『黒の国軍団長は"ゴッドフリー"に決定しました』
のメッセージ。何にしても軍団長に就任するのは思い煩うことも増えるが、北方プレイヤーの間では名誉な事と思われているし、就任期間が長いと特別装備などの特典もある、名実ある役職だ。彼自身はこの事態をどう受け止めているんだろうか。お気楽な彼の事だ、案外素直に喜んでるかも。
「あわわ、たっ大変な事になったぞ……」
凄い焦ってる……ちょっと意外。
「何今更慌ててんのよ。師団長に任命された時はお気楽だったじゃない」
師団長に任命された時も、された後も、役職に緊張している素振りは全く感じられなかった。
「だって軍団長には当然Tokiどんか、誰か別のプレイヤーがなると思ってたし……」
全く、Tokiさんに後押しされた時言われた"ゴッドフリーさんならきっと、自分に代わって宿願を果たしてくれる。"を聞いた時は浮かれてた癖に。
『それでは恒例の、新軍団長の指針表明をお願いします』
1人のプレイヤーが勢力チャンネルで発言したのを皮切りに、国内中から彼の発言を促すコールが。
「うぐぐ……マグりんみんなにはおいはログアウトしたと伝えておいて。指針は思い付いたら発表するからん」
はぁ……戦場においては思い切りの良さで勢いを作るのが強みの彼が、こんなヘタレになってしまうとは。
「何言ってんのよ。もしここで逃げ出したら、もう一生豚とは遊んでなんかやんないんだからね」
「ぶひ!?」
私が彼と行動を共にするのは、彼はどんな時も逃げ出したりなんかしないと、知っているからだ。
「でも指針なんて何にも考えて無いんだけどどど」
本当に軍団長に就任するなんて、これっぽっちも思ってなかったのか。
「別に立派な事を言わなくてもいいのよ。今までゴッディが本隊や別働隊を率いてる時に気を付けていた事、北方で過ごしている時に感じた事を言えば。みんなそれを期待してゴッディを選んだんだから」
そう、彼が選ばれたのは、Tokiさんの代用だからじゃない、それなりの理由があったからだ。
「そう言われても~」
何時もの後先考えない勢いはどうしたこの豚。こうなったら奥の手だ。
「もしゴッディが軍団長を上手く務めあげるほど変われたら、私もスイムスーツやハンターズ装備で自分を変えてみようかしら」
「任せてマグりん。おいがこの国を、みんなを導いてみせる」
言っておいてなんだけど、やっぱり彼が軍団長に就任したのは何かの間違いだったかもしれない。
そして彼の指針表明が始まった。
『皆さんお待たせしました。軍団長と言う過分な役職に就けたのは一重に皆さんの協力のお陰です。才も力も有りませんが軍団長を拝命した以上、力を尽くします。
さて、黒の国の今後の方針は外と内についてです。
外とは即ち、戦についてです。戦いに不可欠な偵察をして下さる方は、戦績ポイントなどの見返りも無く、ただ善意で動いているのです。なので報告内容に文句を言うのはいけません。報告を受け取り、自ら判断するのが戦いです。
内とは即ち、首都内の生産についてです。生産職の販売に不当な値下げを要求する等の行為はいけません。戦友を大事にするべきなのは言わずもがなですが、戦っているのは戦闘職だけでは無いのです。
これら外と内を忘れない事を、今後の指針とします』
偵察と生産職、何も考えて無かったわりには、彼の考えが良く練り込まれていたと思う。後はみんながどう動くかだけど、それは今後分かる事だ。
彼が軍団長に就任して数日経ったある日、私は渡す物があると彼が言うので、メギドの村に来ていた。
「んじゃこれねん」
そしてトレードで渡されてきたのは背中装飾品のケープ。あれれ?てっきりスイムスーツかハンターズ装備を速攻で渡してくるのかと思ってたけど。
「これは?」
「おいの軍団長就任の内祝いだよん。まだ渡してなかったでしょ」
別にそんなのいいのに、と思いつつも早速貰ったケープを装備してみたが、これはこれは中々どうしてカッコいい。見た目は丈の短いマントと言った感じだけど、黒く染色されており、デザインも良い。
「黒の国所属だから色も黒く染色してもらったんだけどどうかなん?」
今まで実用第一に最大積載量を増やすリュックを背中装飾品枠に装備してたけど、私が見た目重視な装備に変更する日が来ようとは。
「んー、まぁまぁね。折角だからこれからは装備しようかしら。ありがとね」
「ぶひひ!」
そんな話を彼としていたら、男キャラが私達の側に寄ってきてジャンプをし始めた。初期装備の布の服なあたり最近始めた初心者っぽい……いや、良く見ると着ている布の服は最上高品質!
「初心者では無いんで、アイテムあげましょうか!」
名前を見ると村正……聖地巡礼イベントで会ったクレクレ厨!
「ぬお!村坊やんけ!久しぶりじゃのう!」
彼の口調は、村正さん相手だと反射的にそうなるのか?
「お久しぶりです!ゴッドフリーさん!マグさん!その節はありがとうございました」
本当に随分と久しぶりだ、まさか再会する日が来るとは。
「お久しぶり。あれから元気にしてた?」
他のプレイヤーへの物乞い生活から無事脱却できたのだろうか?
「お陰様で。実はゴッドフリーさんに生産を教えて貰ってから、すっかり生産系スキルにどハマりしちゃいまして。今日は生産の面白さを教えてくれたお礼と、軍団長就任祝いを渡しに来ました」
マジか。昔話の地蔵や鶴だって、ここまで義理堅く無いぞ。
「ぶひ!?最上高品質ロングソード"覇剣村正"って、こんな貴重なもの貰ってええんかい?」
何そのカッコいい銘。いいなぁ……
「もちろんです!その為に製作したんですから!末永く覇権を握れるように軟鋼を少し多めにして、耐久値を高めにしました。是非使ってやって下さい」
マジか。銘にそんな意味まで込められているのか。
「……ところで、おいが軍団長になった事、なんで知ってるん?黒の国所属じゃないよね」
確かに、軍団長は国外には基本非公表のはず。
「加入している旅団の長、Apocryphaに聞きまして。アポは赤の国の軍団長もしているからか、色々耳が早くて。それでは今日はこの辺で、最近は常に生産してないと落ち着かなくて」
「あっうん、お祝い本当にありがとうねん」
Apocrypha……トーナメントで彼を負かしそのまま優勝、顧みられない者の意地を見せた奴。本当に赤の国の軍団長だったのか。
「おいはあんな強敵とも戦わなくちゃいけないのか……」
彼はなんだか心配そうだが、私は心配なんてしていない。私にはもう、彼なら最期までやり遂げるという確信があるから。
今月の軍団長選挙まで残りわずかとなったが、今回は例の寝マクロによる不祥事で支持率ガタ落ちの現軍団長ポーラの続投は絶望的なため、人々の関心は専ら新しい次期軍団長が誰になるかだ。旅団内でも誰がなるのか話してたが、やっぱり数少ないまともな師団長のTokiさんが最有力。まぁ順当だろう。
「おいすー!インしたお!」
そんな時にログインしてきた彼だが、相変わらずテンションが高い。
「今見てきたんだけど、みずぽんの作ってきた旅団エンブレム!素晴らしい出来だね!」
そうだった、軍団長選出の定期投票の話で持ちきりだけど、旅団のエンブレムがようやく決まったんだった。
「前にゴッドフリーの言ってたサンティアゴの十字架と言うのを元に、図案を考えたんよ」
みずぽんさんの作ったという黒地に赤の剣形十字のこのエンブレム、中々にカッコいい。このエンブレムがデザインされた砦の旗が風でなびくのを見るのは、何というか、心に来るものがあるけど、今は私の興味は別にある。
「ゴッディは新しい軍団長、誰になると思う?」
師団長を拝命してるんだ、彼にも軍団長を狙う気持ちはあるのかもしれない。
「あー、特に何も考えて無かったけど、Tokiどんが頑張ってくれるでしょん」
そんな気持ちは一切なかったか。まぁ彼が軍団長になる日なんて、そうそう来ないか。
しかし、月開けの初日、誰もが予想だにしていない事態が起こった。
「まさかこんな日が来てしまうとは……!」
軍団長選出期間直前に、なんと最有力候補のTokiさんが辞退するという誰もが考えもしなかった事態が発生。行き場を失った票はTokiさん自身が後押しをした事から大部分が流れ込み、地滑り的に彼が軍団長に就任してしまったのだ。
そして流れた、
『黒の国軍団長は"ゴッドフリー"に決定しました』
のメッセージ。何にしても軍団長に就任するのは思い煩うことも増えるが、北方プレイヤーの間では名誉な事と思われているし、就任期間が長いと特別装備などの特典もある、名実ある役職だ。彼自身はこの事態をどう受け止めているんだろうか。お気楽な彼の事だ、案外素直に喜んでるかも。
「あわわ、たっ大変な事になったぞ……」
凄い焦ってる……ちょっと意外。
「何今更慌ててんのよ。師団長に任命された時はお気楽だったじゃない」
師団長に任命された時も、された後も、役職に緊張している素振りは全く感じられなかった。
「だって軍団長には当然Tokiどんか、誰か別のプレイヤーがなると思ってたし……」
全く、Tokiさんに後押しされた時言われた"ゴッドフリーさんならきっと、自分に代わって宿願を果たしてくれる。"を聞いた時は浮かれてた癖に。
『それでは恒例の、新軍団長の指針表明をお願いします』
1人のプレイヤーが勢力チャンネルで発言したのを皮切りに、国内中から彼の発言を促すコールが。
「うぐぐ……マグりんみんなにはおいはログアウトしたと伝えておいて。指針は思い付いたら発表するからん」
はぁ……戦場においては思い切りの良さで勢いを作るのが強みの彼が、こんなヘタレになってしまうとは。
「何言ってんのよ。もしここで逃げ出したら、もう一生豚とは遊んでなんかやんないんだからね」
「ぶひ!?」
私が彼と行動を共にするのは、彼はどんな時も逃げ出したりなんかしないと、知っているからだ。
「でも指針なんて何にも考えて無いんだけどどど」
本当に軍団長に就任するなんて、これっぽっちも思ってなかったのか。
「別に立派な事を言わなくてもいいのよ。今までゴッディが本隊や別働隊を率いてる時に気を付けていた事、北方で過ごしている時に感じた事を言えば。みんなそれを期待してゴッディを選んだんだから」
そう、彼が選ばれたのは、Tokiさんの代用だからじゃない、それなりの理由があったからだ。
「そう言われても~」
何時もの後先考えない勢いはどうしたこの豚。こうなったら奥の手だ。
「もしゴッディが軍団長を上手く務めあげるほど変われたら、私もスイムスーツやハンターズ装備で自分を変えてみようかしら」
「任せてマグりん。おいがこの国を、みんなを導いてみせる」
言っておいてなんだけど、やっぱり彼が軍団長に就任したのは何かの間違いだったかもしれない。
そして彼の指針表明が始まった。
『皆さんお待たせしました。軍団長と言う過分な役職に就けたのは一重に皆さんの協力のお陰です。才も力も有りませんが軍団長を拝命した以上、力を尽くします。
さて、黒の国の今後の方針は外と内についてです。
外とは即ち、戦についてです。戦いに不可欠な偵察をして下さる方は、戦績ポイントなどの見返りも無く、ただ善意で動いているのです。なので報告内容に文句を言うのはいけません。報告を受け取り、自ら判断するのが戦いです。
内とは即ち、首都内の生産についてです。生産職の販売に不当な値下げを要求する等の行為はいけません。戦友を大事にするべきなのは言わずもがなですが、戦っているのは戦闘職だけでは無いのです。
これら外と内を忘れない事を、今後の指針とします』
偵察と生産職、何も考えて無かったわりには、彼の考えが良く練り込まれていたと思う。後はみんながどう動くかだけど、それは今後分かる事だ。
彼が軍団長に就任して数日経ったある日、私は渡す物があると彼が言うので、メギドの村に来ていた。
「んじゃこれねん」
そしてトレードで渡されてきたのは背中装飾品のケープ。あれれ?てっきりスイムスーツかハンターズ装備を速攻で渡してくるのかと思ってたけど。
「これは?」
「おいの軍団長就任の内祝いだよん。まだ渡してなかったでしょ」
別にそんなのいいのに、と思いつつも早速貰ったケープを装備してみたが、これはこれは中々どうしてカッコいい。見た目は丈の短いマントと言った感じだけど、黒く染色されており、デザインも良い。
「黒の国所属だから色も黒く染色してもらったんだけどどうかなん?」
今まで実用第一に最大積載量を増やすリュックを背中装飾品枠に装備してたけど、私が見た目重視な装備に変更する日が来ようとは。
「んー、まぁまぁね。折角だからこれからは装備しようかしら。ありがとね」
「ぶひひ!」
そんな話を彼としていたら、男キャラが私達の側に寄ってきてジャンプをし始めた。初期装備の布の服なあたり最近始めた初心者っぽい……いや、良く見ると着ている布の服は最上高品質!
「初心者では無いんで、アイテムあげましょうか!」
名前を見ると村正……聖地巡礼イベントで会ったクレクレ厨!
「ぬお!村坊やんけ!久しぶりじゃのう!」
彼の口調は、村正さん相手だと反射的にそうなるのか?
「お久しぶりです!ゴッドフリーさん!マグさん!その節はありがとうございました」
本当に随分と久しぶりだ、まさか再会する日が来るとは。
「お久しぶり。あれから元気にしてた?」
他のプレイヤーへの物乞い生活から無事脱却できたのだろうか?
「お陰様で。実はゴッドフリーさんに生産を教えて貰ってから、すっかり生産系スキルにどハマりしちゃいまして。今日は生産の面白さを教えてくれたお礼と、軍団長就任祝いを渡しに来ました」
マジか。昔話の地蔵や鶴だって、ここまで義理堅く無いぞ。
「ぶひ!?最上高品質ロングソード"覇剣村正"って、こんな貴重なもの貰ってええんかい?」
何そのカッコいい銘。いいなぁ……
「もちろんです!その為に製作したんですから!末永く覇権を握れるように軟鋼を少し多めにして、耐久値を高めにしました。是非使ってやって下さい」
マジか。銘にそんな意味まで込められているのか。
「……ところで、おいが軍団長になった事、なんで知ってるん?黒の国所属じゃないよね」
確かに、軍団長は国外には基本非公表のはず。
「加入している旅団の長、Apocryphaに聞きまして。アポは赤の国の軍団長もしているからか、色々耳が早くて。それでは今日はこの辺で、最近は常に生産してないと落ち着かなくて」
「あっうん、お祝い本当にありがとうねん」
Apocrypha……トーナメントで彼を負かしそのまま優勝、顧みられない者の意地を見せた奴。本当に赤の国の軍団長だったのか。
「おいはあんな強敵とも戦わなくちゃいけないのか……」
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