78 / 79
第78話「ジン」⑮
しおりを挟む
ご主人様とシャルロット様、2人の剣による互角の戦いが続く中、明らかに怒りを募らせるルイ。仲が良いとはとてもではありませんが言えないお二人ですが、付き合いの長さはなかなかのもの。その間には、異能を持ってしてでも入り込むのは容易な事では無いようです。
ガキーン!
そんな事を考えながら眺めていると、シャルロット様の強力な一撃により、ご主人様の剣が跳ね飛ばされてしまいました!宙を舞い、地に突き刺さる剣。無防備なご主人様に猛然と斬りかかるシャルロット様でしたが、ご主人様は逃げるどころか、逆にシャルロット様にタックル、押し倒してしまいました。
「……!!」
「おっと、させるか!」
倒れた拍子に剣を落としてしまったシャルロット様は、咄嗟に短剣を抜き、ご主人様に突き立てようとしますが、泥まみれな組み打ちは得意中の得意なご主人様、簡単にはさせません。そうして2人して、ゴロゴロと転がり上になって下になっての繰り返し。遂にはシャルロット様が上になり、そのまま馬乗り状態で両手に持った短剣を振り下ろしますが、そうはさせまいとご主人様、その手を掴んで止めます。
「ぐっ!なんて馬鹿力だっ……さすがシャルロット、奇跡に頼るだけじゃあ無いみたいだなっ」
戦場ではそこかしこで繰り広げられる珍しくもない殺し合い。しかしそれがまさかこのお二人の間で行われるとは……しかし、無表情に、淡々とそれをこなすシャルロット様がなんとも見てて恐ろしいです。
そして遂に、切っ先がご主人様に触れた時、あろうことかご主人様の顔には微笑が浮かんだのです。
「ふっ、女伊達らに、と思った事は無かったが本当に大した奴だな、アンジュー家のお嬢様はっ!」
それを聞いた瞬間、短剣を持つ手が止まるシャルロット様。
「何をしてる!早くそいつを殺せ、シャル!」
それを見て激昂するルイ。しかしシャルロット様の手に再び力が込められるどころか、震え出しています。
「……私……私は、認められたかった……」
「どうしたシャル!早く殺すんだ!」
ルイの怒声も他所に、無表情のまま、ポツリポツリとシャルロット様の口から言葉が出てきました。
「……世間に……お父様に……そして……」
遂には持っていた短剣を落としてしまうシャルロット様。そのまま両手で顔を覆い、泣き出してしまいました。
「バカ言うな。お前ほどの人物、認めない奴がいるわけ無いだろ」
それを見て、そっと肩に手を乗せるご主人様。どうやらシャルロット様の精神構造が変化、自力で精神支配を乗り越えたようです!
「ここまでの負けん気の強さとは思わなかったが」
ボソッと呟くご主人様。そしてキッとルイに刺さるような目線を送りました。
「これで分かったかルイ。所詮お前は人の精神の根底も測れない、他人の能力でしか人と繋がれない中身空っぽ人間なんだよ。毎日がつまらない?つまらないのはお前自身だ」
「何が精神だ!何が繋がりだ!所詮は金や物、肉体で繋がった物だろ!他人の能力?この能力は与えられた物だけど今や完全に使いこなしている、僕の能力だ」
「いいや、それはジンという精霊の能力だ。所詮お前こそジンの支配下に置かれてるに過ぎない」
「僕は誰の支配下にも置かれない!僕がジンを支配し、利用しているんだ!」
ルイがジンを罵倒する言葉を吐いた瞬間、その身体から雷を纏った霊気のような物が飛び出るのが分かりました。
ガキーン!
そんな事を考えながら眺めていると、シャルロット様の強力な一撃により、ご主人様の剣が跳ね飛ばされてしまいました!宙を舞い、地に突き刺さる剣。無防備なご主人様に猛然と斬りかかるシャルロット様でしたが、ご主人様は逃げるどころか、逆にシャルロット様にタックル、押し倒してしまいました。
「……!!」
「おっと、させるか!」
倒れた拍子に剣を落としてしまったシャルロット様は、咄嗟に短剣を抜き、ご主人様に突き立てようとしますが、泥まみれな組み打ちは得意中の得意なご主人様、簡単にはさせません。そうして2人して、ゴロゴロと転がり上になって下になっての繰り返し。遂にはシャルロット様が上になり、そのまま馬乗り状態で両手に持った短剣を振り下ろしますが、そうはさせまいとご主人様、その手を掴んで止めます。
「ぐっ!なんて馬鹿力だっ……さすがシャルロット、奇跡に頼るだけじゃあ無いみたいだなっ」
戦場ではそこかしこで繰り広げられる珍しくもない殺し合い。しかしそれがまさかこのお二人の間で行われるとは……しかし、無表情に、淡々とそれをこなすシャルロット様がなんとも見てて恐ろしいです。
そして遂に、切っ先がご主人様に触れた時、あろうことかご主人様の顔には微笑が浮かんだのです。
「ふっ、女伊達らに、と思った事は無かったが本当に大した奴だな、アンジュー家のお嬢様はっ!」
それを聞いた瞬間、短剣を持つ手が止まるシャルロット様。
「何をしてる!早くそいつを殺せ、シャル!」
それを見て激昂するルイ。しかしシャルロット様の手に再び力が込められるどころか、震え出しています。
「……私……私は、認められたかった……」
「どうしたシャル!早く殺すんだ!」
ルイの怒声も他所に、無表情のまま、ポツリポツリとシャルロット様の口から言葉が出てきました。
「……世間に……お父様に……そして……」
遂には持っていた短剣を落としてしまうシャルロット様。そのまま両手で顔を覆い、泣き出してしまいました。
「バカ言うな。お前ほどの人物、認めない奴がいるわけ無いだろ」
それを見て、そっと肩に手を乗せるご主人様。どうやらシャルロット様の精神構造が変化、自力で精神支配を乗り越えたようです!
「ここまでの負けん気の強さとは思わなかったが」
ボソッと呟くご主人様。そしてキッとルイに刺さるような目線を送りました。
「これで分かったかルイ。所詮お前は人の精神の根底も測れない、他人の能力でしか人と繋がれない中身空っぽ人間なんだよ。毎日がつまらない?つまらないのはお前自身だ」
「何が精神だ!何が繋がりだ!所詮は金や物、肉体で繋がった物だろ!他人の能力?この能力は与えられた物だけど今や完全に使いこなしている、僕の能力だ」
「いいや、それはジンという精霊の能力だ。所詮お前こそジンの支配下に置かれてるに過ぎない」
「僕は誰の支配下にも置かれない!僕がジンを支配し、利用しているんだ!」
ルイがジンを罵倒する言葉を吐いた瞬間、その身体から雷を纏った霊気のような物が飛び出るのが分かりました。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ジィジ宮・バァバァ宮
士鯨 海遊
歴史・時代
道志川沿いに青根という神奈川県相模原市の集落があるのだが、そこにはジィジ宮とバァバァ宮という変わった名前の祠がある。この名前の由来には青根に伝わる悲しいお話があったのだった。
劉禅が勝つ三国志
みらいつりびと
歴史・時代
中国の三国時代、炎興元年(263年)、蜀の第二代皇帝、劉禅は魏の大軍に首府成都を攻められ、降伏する。
蜀は滅亡し、劉禅は幽州の安楽県で安楽公に封じられる。
私は道を誤ったのだろうか、と後悔しながら、泰始七年(271年)、劉禅は六十五歳で生涯を終える。
ところが、劉禅は前世の記憶を持ったまま、再び劉禅として誕生する。
ときは建安十二年(207年)。
蜀による三国統一をめざし、劉禅のやり直し三国志が始まる。
第1部は劉禅が魏滅の戦略を立てるまでです。全8回。
第2部は劉禅が成都を落とすまでです。全12回。
第3部は劉禅が夏候淵軍に勝つまでです。全11回。
第4部は劉禅が曹操を倒し、新秩序を打ち立てるまで。全8回。第39話が全4部の最終回です。
ソールレイヴ・サガ
kanegon
歴史・時代
西暦1000年くらいのノルウェーにて。
キリスト教の抑圧に抵抗する、古の教えの巫女と賢者がいた。
これは、北欧神話の基本資料である『巫女の予言』が、いかにして成立したか、を描いた物語です。
マグネットマクロリンクとカクヨムと重複投稿です。
4万字程度で完結の短編です。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
臆病宗瑞
もず りょう
歴史・時代
興国寺城主として大国今川家の駿河侵攻の先鋒をつとめる伊勢新九郎盛時は、優れた軍才の持ち主でありながら、人並外れて慎重な性格であった。彼は近在の寺の老僧秀実としばしば碁を愉しんだが、肝心なところで決め手となる一手を躊躇い、負けを重ねていた。その寺に小間使いとして働く楓という少女がいた。少女は盛時に仄かな憧れを抱き、盛時もまた可憐な少女を好もしく思っていたが、その性格が災いして最後の一歩を踏み出せずにいた。そんな折、堀越公方の「若御所」こと足利茶々丸が楓に目をつけて…。後に戦国の梟雄と呼ばれる北条早雲が、未だ北条早雲となる前の、秘められた悲恋の物語。
その樹の下で貴方を腕に抱く
のの(まゆたん)
歴史・時代
クリスマスの御話・・
舞台は中世のある地方都市
時を知らせる修道院の鐘が鳴る鐘の音が響き渡る
街から少しばかり離れた山の街道
街へと向かう街道をほんの少し離れて
上に上がると街を見下ろす その場所は
野原や花畑があって
大きな樹が一本
眺めの良い素敵な場所がある
恋人達や子供達の憩いの場所
優しい風が吹いて来る 遊びに来た恋人達や遊びに来た子供達を
祝福するように・・
また春ともなれば小鳥が歌い樹の花が咲く
貴方の為に花を降り咲かす・・。
花ビラはヒラヒラ・・
踊るように舞い落ちる・・
そして 冬の日に
彼女は樹の下に立ちつくし
ジッと誰かを待ってるようだった。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる