モーレツ熊

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「ずるい!
 何なんだよ!こいつ!
 何、後出ししてんだよ!
 上宮のくせに!
 忌み子でお情けで生きてきたくせに!」

突然、木村が烈火のごとく吠えた。

拘束され、隠す必要がなくなったのか、醜悪なまでに顔を歪めて罵倒し始めた。

地元に長く住んでる者なら誰でも知っていた。
廻の出生時の話や、施設や大人からの虐待など周知の事実で、町ぐるみでの事だった。

小越や諏訪は高校からで地元では無かったために知らなかった。

「聡、なんだよそれ」

小越が聞き返す。

木村は、ほぼジェラストが聞いていたことを声高々に、面白おかしく話したが、周りは醜悪な魔物を見るような視線を向け、ロウナーはその剣の柄に手をかけていた。

「もう、止めなよ、聡。
 聞いてて不愉快だよ。
 今までだって、上宮君、何もしてないじゃん。
 不幸な事故で、両親を亡くして生まれた子の、何が悪いの?
 大人の勝手な事情で、彼だけが責任を負わされて、
 その結果、聡がいじめていいの?
 違うだろ?
 そんなことも、教えてもらえないほど
 聡も犠牲者だったんだね。」

諏訪が誰も言えなかった事を直球で言った。
とても諏訪らしく。

木村は諏訪の言葉に下を向いて、握りしめた手が自分の爪で傷を作っていた。

「僕は、悪くない・・・
 僕は、悪くない!」

そう叫ぶと、外へ飛び出した。
倒けつ転びつこけつまろびつ森の奥へと走っていった。

団員が急いで後を追ったとき、森の中を疾走してくる大型の獣の姿があった。
その背には要塞都市を抱えた隣国の騎兵隊が見えた。

地の利は四つ足の獣の方がある。

森の木々の間を疾走されては、ドラゴン騎士には難しい。
隣国の騎兵隊に向かって、木村は叫んだ。

「助けて!
 僕の力を利用しようとして、拘束されたんです!
 お願い、助けて!」

俄かには信じられない表情をしたが、思いがけない木村からの言葉で、騎兵隊は木村を連れ去った。

「僕がメグライアだ!」と。




ドラゴン騎士団は、それ以上追うことは叶わず、戻るしかなかった。


ジェラストとロウナーはその報告を聞いて、唖然としたのは言うまでもないが、悪い方向へと動いてると認識するしかなかった。
よもや、メグライア様を騙るとは・・・。

小越も諏訪も、木村の今までのらしからぬ言動に、自分たちのこの先を考えて恐ろしくなった。



騒がしい中で、廻の意識が戻った。

「ここ、どこ・・・?」

素早くジェラストとロウナーが駆け寄り、熱を出したことを伝えた。

「ごめんなさい!
 ご迷惑おかけしました。
 これからは気を付けます。」

勢いよく起き上がり、二人とそして治療してくれたであろう周りの見知らぬ人たちに、深々と頭を下げた。

「すぐ、起きますから、大丈夫です。」

今までの廻の環境がたやすく想像できた。
誰も熱を出したことを咎めたりしていないのに、廻は慌てて謝っていた。
まだ、熱が下がってきたばかりで少しおぼつかない手足に、必死で言うことを聞かせながらベッドを下りようとするのを、二人は止めた。

「ダメです、まだしっかり回復していません。」

ロウナーが優しく静止をさせ、ベッドへ戻るように言われたときに初めて、自分の服が着替えさせられていることを知った。

「!」

自分の体を掻き抱くように廻は体を丸め、顔を上げて微笑みながら見られたであろう傷の説明をした。


「あ、あの、
 け、ケガは昔の、子供の頃のなんです。
 僕、ちっちゃい頃はすごくやんちゃで、階段から落ちちゃったり、
 山で転んで滑ったりした時に盛大にやらかしたんで、
 その時の傷が少し残ってしまったんですよ。
 だから、大丈夫なんです。
 見たらびっくりさせちゃったかもしれないですけど、
 全然、痛くもないし大丈夫なんですよ。」

必死に説明をする廻に、一同は笑いながら、これからはやんちゃしてはいけませんよ、とだけ告げた。

誰もが虐待を知っていたが、内緒にしたがった廻のために、分からないふりをしたのだった。

「さて、もう一度ちゃんと話を聞きながら診よう。
 私はここで治癒師長をしている、ラトヤだ。
 お前の名は?」

廻のベッドの端に腰かけて、手を取りながら訪ねてきた人が治療をしてくれたのだとわかり、素早く頭を下げた。

「ありがとうございます。
 僕は、上宮 廻です。
 もうすぐ18歳です。
 熱なんて、めったに出さないんですけど、ちょっと疲れてたのかも。
 ご迷惑をおかけしました。
 もう、なんともないですよ。」

少しだけ口角を上げて、ラトヤに向かって話した。
実は先ほどジェラストが前髪をかき分けたままで、顔がしっかり見えてる事に気づく余裕もなく動揺が見て取れた。
誰もが見たいと思っていた廻の顔は、やはりきれいな瞳で彩られていた。

「ほぅ、君は瞳に少し金が入ってるのだね。
 縁が金を混在させて、不思議な色合いだね。
 こちらの世界では無い色合いだ。
 よく見せてくれるかい?」

両頬をしっかりと掴まれて、ラトヤに顔を寄せられると、あっという間にくちづけられた。

「おい!」
「はぁ?!」

ジェラストとロウナーが一斉に声を上げた。

廻は何が起こったのかわからず、硬直しされるがままだった。
ラトヤは舌で廻の唇を割って、歯列に滑り込ませた。

一瞬、廻は舌を捉えられぢゅっと音を立てて吸われた。

二人は廻をラトヤから引きはがし、二人に抱きしめられながら、汚い汚いとラトヤを罵倒した。

「汚くないな。
 愛しい者に手を出して何が悪い。
 この子の美しさも、笑顔も全て私がこの手で開発、もとい、開花させて見せる。」

「ちょっと、この人開発って言っちゃったよ・・・・。」

ロウナーがため息をついて、ここにも残念なイケメンがいたわ、と零した。





-.-.-..-..-...-...-..-.-.-.-.-....-..-.-.-.-.

わたしからしたら、ちゅうなんざ、子供だってするわ、と思うけどさ
一応、チュウ性的発言かな、と。

もし世の中のおじさんが、いきなりやったら痴漢行為だしね。

いかにエロ場へ行きたいか察してください。

エロ場へ突っ走るためには、サクサク進めていきますよ。






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