16 / 19
16. 誓いの手紙
しおりを挟む
リリーナは机の上に手紙が置いてあることに気付き、中身を確かめる。
そこにはこう綴られてあった。
『リリーナへ。
すまない。
許してくれとは言わないが、どうか老いぼれた俺に愛想を尽かさないでくれ。
家に帰ったらいくらでも怒られよう。
この肉体が急に使いものにならなくなるのは少々厄介だが、俺は10年と言わず20年生きると誓おう。
その頃子供は20歳だ。
90歳の老いぼれでも、俺がいなくなった後も、お前の事を立派に支え続ける心優しい子に育てあげられると証明しよう。
若々しい体で一緒に遊んでやることは出来ないが、長く生きてきた知恵を授けよう。
お前と元気に走り回る姿をこの目に焼き付け、いつまでも見守り続けると約束しよう。
俺はリリーナと出逢えたおかげで笑顔を取り戻すことが出来た。
皺だらけの笑顔をその目で見続けてくれ。
本音を言えば、普通の体に生まれ、何十年も共に過ごしたかった。
ばあさんになったリリーナと手を繋ぎ、散歩がしたかった。
50年、60年お前と子供と過ごす事が出来たならどれほど良かったろうかと思うが、これが俺たちの運命だ。
老人なりに、俺が生きてきた幾年分の愛情で家族を守っていく。
天に召された後も必ず守っていく。
何度生まれ変わろうとも必ずまた出逢おう。
俺たちはずっと一緒だ。
孤独から救ってくれて本当にありがとう。』
手紙を読み終えたリリーナはその場で泣き崩れた。
居てもたってもいられず、畑に向かうと薬草が収穫され尽くされた跡が残っていた。
ハオルドの体は今どうなっているのか、こんな寒い中大丈夫なのか、心配で堪らない。
リリーナは泣きながら家に戻り、以前ハオルドが山賊から命をかけて自分を守ってくれた時の事を思い出していた。
あんなに強くて頑丈で、筋肉隆々の大男の老人姿など想像がつかなかった。
ハオルドはその日、家には帰ってこなかった。
そこにはこう綴られてあった。
『リリーナへ。
すまない。
許してくれとは言わないが、どうか老いぼれた俺に愛想を尽かさないでくれ。
家に帰ったらいくらでも怒られよう。
この肉体が急に使いものにならなくなるのは少々厄介だが、俺は10年と言わず20年生きると誓おう。
その頃子供は20歳だ。
90歳の老いぼれでも、俺がいなくなった後も、お前の事を立派に支え続ける心優しい子に育てあげられると証明しよう。
若々しい体で一緒に遊んでやることは出来ないが、長く生きてきた知恵を授けよう。
お前と元気に走り回る姿をこの目に焼き付け、いつまでも見守り続けると約束しよう。
俺はリリーナと出逢えたおかげで笑顔を取り戻すことが出来た。
皺だらけの笑顔をその目で見続けてくれ。
本音を言えば、普通の体に生まれ、何十年も共に過ごしたかった。
ばあさんになったリリーナと手を繋ぎ、散歩がしたかった。
50年、60年お前と子供と過ごす事が出来たならどれほど良かったろうかと思うが、これが俺たちの運命だ。
老人なりに、俺が生きてきた幾年分の愛情で家族を守っていく。
天に召された後も必ず守っていく。
何度生まれ変わろうとも必ずまた出逢おう。
俺たちはずっと一緒だ。
孤独から救ってくれて本当にありがとう。』
手紙を読み終えたリリーナはその場で泣き崩れた。
居てもたってもいられず、畑に向かうと薬草が収穫され尽くされた跡が残っていた。
ハオルドの体は今どうなっているのか、こんな寒い中大丈夫なのか、心配で堪らない。
リリーナは泣きながら家に戻り、以前ハオルドが山賊から命をかけて自分を守ってくれた時の事を思い出していた。
あんなに強くて頑丈で、筋肉隆々の大男の老人姿など想像がつかなかった。
ハオルドはその日、家には帰ってこなかった。
20
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

【完結】気弱だと思ったあなたは全く違ったのね。あなたに会って生活が一変したの。
まりぃべる
ファンタジー
この国スパーランスには、闇物が出る。
それは闇から、稀に煙のように現れるとされ、見つけた生き物を飲み込むと消滅するとされる。
だから皆、家の中では火を絶やさない。
私、ミラーフィス。
薬草師をしながら山で生活をしている。
しかし、ある男の子と出会って生活が一変する。
その男の子は実は…。
☆間違って、完結ボタン押していたみたいです…。
15話で完結しますので、読んでいただけると嬉しいです。
☆この作品の中での世界観です。現実と違うもの、言葉などありますので、そこのところご理解いただいて読んでもらえると嬉しいです。

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。
貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや……
脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。
齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された——
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
魔王はマリオネットを奪う。
蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)
ファンタジー
人々から恐れられているソエゴンはふとしたキッカケで”友達”になった少女、ルルと楽しい日々を送ってた。
それから数年が経ち、ルルは見目麗しい女性へとなったのだが…冗談かと思っていた”婚約宣言”をルルはソエゴンに強く訴えかけているのである。しかし自分は魔王と呼称され、恐ろしい形相と容姿をしているソエゴンは彼女のアプローチをわざと避けていた。
そして事態は動き出す。なんとルルを奪還しようと企てるアークが秘密兵器を用意したのだ。
それは2人にとって絆が試されるものであった。

【完結】転生したらもふもふだった。クマ獣人の王子は前世の婚約者を見つけだし今度こそ幸せになりたい。
金峯蓮華
ファンタジー
デーニッツ王国の王太子リオネルは魅了の魔法にかけられ、婚約者カナリアを断罪し処刑した。
デーニッツ王国はジンメル王国に攻め込まれ滅ぼされ、リオネルも亡くなってしまう。
天に上る前に神様と出会い、魅了が解けたリオネルは神様のお情けで転生することになった。
そして転生した先はクマ獣人の国、アウラー王国の王子。どこから見ても立派なもふもふの黒いクマだった。
リオネルはリオンハルトとして仲間達と魔獣退治をしながら婚約者のカナリアを探す。
しかし、仲間のツェツィーの姉、アマーリアがカナリアかもしれないと気になっている。
さて、カナリアは見つかるのか?
アマーリアはカナリアなのか?
緩い世界の緩いお話です。
独自の異世界の話です。
初めて次世代ファンタジーカップにエントリーします。
応援してもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。

【完結】四ばあちゃん、二度目の人生
大江山 悠真
ファンタジー
63歳、高校時代の仲間4人のおばあちゃんが異世界転生。せっかくの二度目悔いなく生きたいとシズ・セリ・ヤエ・マリ奮戦中。現在はセリを中心に展開中。シズ・セリ・ヤエと登場し、最後のマリのお話です。シズ・セリ・ヤエの子供たちも登場するかもしれません。初めての作品でなかなか思うように登場人物が動いてくれませんが完結まで進めていこうと思っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる