3 / 19
3.支援物資
しおりを挟む
道中、リリーナは気になっていた疑問をハオルドに投げかけた。
「なぁ、あんた。なんだってあんな山奥に一人離れて住んでるんだ?私らを追い払ったり、食糧を配ったりしていたのにどうも村に馴染んでいるように見えない」
「…俺も薬草を探している」
「……え?答えになってないぞ。それに薬草って…本当にあるのか?!あの村に!」
「わからん。無ければ咲かせばいい。あの村は自然が豊かだからな。俺も色々調べてみたが…情報があるなら聞かせてくれ」
「…わかった。噂話程度のことしか聞いた事がないからあまり期待はしないでくれよ。ところでなんで薬草を探してるんだ?」
ハオルドは押し黙った。
「はぁ…、まぁいいや。あんた、名前は?」
「…ハオルドだ」
その後はぽつりぽつりと会話を交わし、朝方ようやく村の手前まで来た。
ここからでも疫病特有の異臭がする。
「随分と遠くから来たんだな…。よし、こいつらを配ってこい」
「そうだな、疫病も伝染るといけない」
「いや、俺は大きくて目立つ。早く行って安心させてやれ」
リリーナは荷車から食糧を下ろし村に入った。
「リリーナ!リリーナじゃないか!お前無事だったのか!良かった!…ん?その荷物は?」
「食糧だ、半年は凌げる量だ」
リリーナと食糧に村人たちが群がり、何度も頭を下げ礼を言った。
「…いや、これは私じゃなくて…」
ハオルドが待っている、戻らなければ。
リリーナが村を立ち去ろうとした時、それに気付いた村人が声をかけた。
「おい、リリーナ!どこ行くんだよ?」
「…薬草、いるだろ」
「馬鹿言え!あんなの噂に決まってるだろう!盗賊なんか続けてたらいつか殺されるぞ!」
「家族はみんな死んだ。私だけ生き残って…これ以上悲しむ人が出ないようにしたいだけだ…!」
リリーナは村人の制止を振り切ってハオルドの元に戻った。
「もういいのか?これからまた俺の村に戻るんだ、しばらくここには戻って来れないぞ」
「…大丈夫だ。行こう」
ハオルド達はまた同じ長い道のりを辿り、帰っていった。
「なぁ、あんた。なんだってあんな山奥に一人離れて住んでるんだ?私らを追い払ったり、食糧を配ったりしていたのにどうも村に馴染んでいるように見えない」
「…俺も薬草を探している」
「……え?答えになってないぞ。それに薬草って…本当にあるのか?!あの村に!」
「わからん。無ければ咲かせばいい。あの村は自然が豊かだからな。俺も色々調べてみたが…情報があるなら聞かせてくれ」
「…わかった。噂話程度のことしか聞いた事がないからあまり期待はしないでくれよ。ところでなんで薬草を探してるんだ?」
ハオルドは押し黙った。
「はぁ…、まぁいいや。あんた、名前は?」
「…ハオルドだ」
その後はぽつりぽつりと会話を交わし、朝方ようやく村の手前まで来た。
ここからでも疫病特有の異臭がする。
「随分と遠くから来たんだな…。よし、こいつらを配ってこい」
「そうだな、疫病も伝染るといけない」
「いや、俺は大きくて目立つ。早く行って安心させてやれ」
リリーナは荷車から食糧を下ろし村に入った。
「リリーナ!リリーナじゃないか!お前無事だったのか!良かった!…ん?その荷物は?」
「食糧だ、半年は凌げる量だ」
リリーナと食糧に村人たちが群がり、何度も頭を下げ礼を言った。
「…いや、これは私じゃなくて…」
ハオルドが待っている、戻らなければ。
リリーナが村を立ち去ろうとした時、それに気付いた村人が声をかけた。
「おい、リリーナ!どこ行くんだよ?」
「…薬草、いるだろ」
「馬鹿言え!あんなの噂に決まってるだろう!盗賊なんか続けてたらいつか殺されるぞ!」
「家族はみんな死んだ。私だけ生き残って…これ以上悲しむ人が出ないようにしたいだけだ…!」
リリーナは村人の制止を振り切ってハオルドの元に戻った。
「もういいのか?これからまた俺の村に戻るんだ、しばらくここには戻って来れないぞ」
「…大丈夫だ。行こう」
ハオルド達はまた同じ長い道のりを辿り、帰っていった。
30
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

【完結】気弱だと思ったあなたは全く違ったのね。あなたに会って生活が一変したの。
まりぃべる
ファンタジー
この国スパーランスには、闇物が出る。
それは闇から、稀に煙のように現れるとされ、見つけた生き物を飲み込むと消滅するとされる。
だから皆、家の中では火を絶やさない。
私、ミラーフィス。
薬草師をしながら山で生活をしている。
しかし、ある男の子と出会って生活が一変する。
その男の子は実は…。
☆間違って、完結ボタン押していたみたいです…。
15話で完結しますので、読んでいただけると嬉しいです。
☆この作品の中での世界観です。現実と違うもの、言葉などありますので、そこのところご理解いただいて読んでもらえると嬉しいです。

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。
貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや……
脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。
齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された——
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。


【完結】転生したらもふもふだった。クマ獣人の王子は前世の婚約者を見つけだし今度こそ幸せになりたい。
金峯蓮華
ファンタジー
デーニッツ王国の王太子リオネルは魅了の魔法にかけられ、婚約者カナリアを断罪し処刑した。
デーニッツ王国はジンメル王国に攻め込まれ滅ぼされ、リオネルも亡くなってしまう。
天に上る前に神様と出会い、魅了が解けたリオネルは神様のお情けで転生することになった。
そして転生した先はクマ獣人の国、アウラー王国の王子。どこから見ても立派なもふもふの黒いクマだった。
リオネルはリオンハルトとして仲間達と魔獣退治をしながら婚約者のカナリアを探す。
しかし、仲間のツェツィーの姉、アマーリアがカナリアかもしれないと気になっている。
さて、カナリアは見つかるのか?
アマーリアはカナリアなのか?
緩い世界の緩いお話です。
独自の異世界の話です。
初めて次世代ファンタジーカップにエントリーします。
応援してもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる