【武士道ソウル】~弥助の子孫である仁と坂本龍馬の最強コンビ!『土佐勤王党』&『新選組』と手を組み政府軍に戦いを挑む!~【完】

みけとが夜々

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11. 戦場の猛者

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「それでは……撃ち方、始めぇ!!」

 外務大臣として戦に同行した陸奥の声が轟く。
 龍馬の陣地に次々と容赦のない鉛の玉が降り注ぐ。
 被弾する仲間がいながらも、龍馬たちは機を伺い辛抱強く耐えた。

「サムライといえども、コノ榴弾砲を前にして手も足も出ないでショウ」

 マッカーサーは余裕の笑みを浮かべながら、陸奥に次の指示を出した。

「マズは小隊を出してクダサイ」

「前へ、進め!」

 陸奥の指示に呼応するように、軍隊長が号令をかけ整列していた兵士たちは前進を始めた。

「来るぞ」

 土佐勤王党の弓兵隊が前に出て、迫り来る銃兵たちを待ち構えた。



「耐えろ!まずは一回目、一斉射撃がくるぞ!」

 近藤が鼓舞するように声を張り上げ、弓兵隊に声を掛ける。

 激しい銃撃音が鳴り響く。
 弓兵隊は幾人か殺られながらも、合図が出るまで耐え忍んだ。

「次!二回目だ!」

 再び銃声音が鳴り響き、敵の銃兵たちが一歩一歩確実に前進してくるのが見える。

「今じゃ!!放てぇ!!!」

 武市が合図を出した瞬間、狙いを定めていた弓兵隊が一斉に火弓を放った。
 それも敵に向かってではなく、銃兵たちの付近に置いてあった火薬を大量に詰んだ荷に向けた。

 見事に火弓はそれらに当たり、激しい爆音と共に大爆発を巻き起こした。
 銃兵たちは混乱に陥り、隊列を乱し、火に包まれ焼け死んでいく仲間を見て続々と逃走する者が現れた。

 前衛からもくもくと上がっている黒煙を見て、陸奥から望遠鏡を取り上げ焦った様子で覗き込むマッカーサー。

「何が起きましたカ?!」

「放てぇ!!!」

 再度、武市が合図を出し弓の雨を降らせる。
 今だ混乱中の銃兵たちは、バタバタと次々に倒れていく。

 銃兵たちの混乱が止まないうちに、二度、三度と弓兵隊は一斉に弓を射る。

 この状況は実質、マッカーサーが指揮を執る政府軍の初戦の敗北を意味していた。

 進軍が止まっている前衛を見たマッカーサーは、益々焦りを感じ始め全軍を投入するよう命じた。

「これが日本の正しい道なのか……?」

 陸奥がそう呟くと、マッカーサーは望遠鏡を覗き込みながら自らに言い聞かせるように答えた。

「War does not determine who is right – only who is left……(戦でどちらが正しいかなど分からない。戦が決めるのはどちらが生き残るかということだけだ)」

 政府軍全体が接近してくるのを待ち構えていた龍馬たちは、一気に走り出し猛攻撃に出た。

「みんな行くぜよ!」

 龍馬が大声で叫び、土佐勤王党の仲間たちも団結して前進した。
 銃弾を打ち込まれていく仲間を横目にそれぞれの面々は、必死に戦っていく。

「うりぁぁぁ!!!!」



 土方が機敏に動きながら敵に近づき、仁は方天戟を振り回して敵を一掃する。
 斎藤も圧倒的な剣術の練度を生かして、一瞬の隙を突いて敵を次々と倒していく。
 まさに武闘派の名だたる所以の働きを見せていた。

 沖田はその敏捷さで銃撃をなんとか避けつつ、的確に銃兵たちに斬り込んでいった。
 近藤は仲間に指示を出しながら重厚な体躯を生かして敵の集団に突入し、その存在だけで大勢を威圧していた。

「あれは何ながじゃ?」

「ガトリング砲ちいうもんぜよ」

「……当たりゃあ、ひとたまりもないでにゃあ」

 そして龍馬と武市率いる騎馬隊は、自らの刀に渾身の一撃を込めて敵のガトリング砲に狙いを定め待機した。

「仁!!」

 その時、龍馬の耳に少し遠くの方から切羽詰まった声が入ってきた。
 振り返ると土方が仁を庇うようにして前に立ちはだかり、心臓を目掛けて銃を打ち込まれていた。
 土方は、一瞬倒れかかったが最後の力を振り絞り敵の首を撥ね、そのまま地面に伏した。

「土方ぁ!!」

 近藤は土方の元に駆けようとする。
 仁は憤怒の勢いに任せ、方天戟を一振りし、銃兵たちを吹き飛ばした。
 仁の攻撃により道が開かれ、近藤が土方に辿り着こうとする寸前で頭を撃ち抜かれ仁の目の前に倒れ込んだ。

 立て続けに目の前で仲間が死んでいく姿を目の当たりにし、仁は怒り狂ったように咆哮しながら方天戟を振り回した。
 銃撃に遭いながらも倒れる様子のない仁は、まさしく鬼に取り憑かれた猛将であった。

 その様子を見ていた龍馬は仁の元へ走り、交差する形で沖田と斎藤は、武市の元へ馬で駆けた。

「仁!落ち着くがじゃ!修行を思い出すがじゃ!」

 龍馬の声に我に返った仁は、一瞬ハッとした表情を見せ攻撃の手を緩めた。

「阿呆!手ぇは止めんでえい!仁!しっかりするがじゃ、仁!!」
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