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5. 俺の使命
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「一度目は……自分で飛び込んでるね。二度目は"飛び込め"で殺されてる。三度目は屋上から"飛び降りろ"で殺されてる。四度目、"首を吊って死ぬ"、これは予言呪言を使ってるみたい。それで今回また、"飛び込め"でここへ来た」
「その呪言ってのは、そのまま呪いの言葉ってこと……?」
「うん、物分りいいね。呪言で殺されても名簿に載るはずなんだけどね。そもそも一度目は自己意志による自殺みたいだし。……ねぇ、アミダ、もしかしてこの子が名簿に載らない理由ってさ」
「えぇ……おそらくは」
勝手に話進めんな。
俺を混ぜろ。
アミダが自分の腕を指差し、俺にこう言った。
「念じるようにして"曲がれ"と言ってみてください」
意味が分からなかったが言われるがままに、『曲がれ』と言った。
……が、何も起こらず何故かアミダが呆れた顔をしている。
「ヒョウ様……完全に力を失ってます」
「あの……なんすか、今の」
「なんであんたが呪言師に狙われてるか、分かる?」
「まっったく、身に覚えございません」
「あんたもあいつと同じ、呪言師だからよ」
そもそも呪言師ってなんだよ。
俺が殺されてるだとか、仮死状態だとか、新田が呪言師だとか、俺も呪言師だとか……
色々とさっぱり意味がわからん。
「聞いてる?同じ呪言師と言っても、あっちの呪言は『厭魅術』の気配がするの。本来、人を呪い殺すとかっていうのはさ、自分自身にもある程度のダメージが返ってきて、その痛みや恐怖、憎悪、苦痛の念を倍増させて相手にぶつけて殺すの。『人を呪わば穴二つ』っていうでしょ?でもあの新田ってやつは、自分へのダメージがないままあんたを殺せてる」
「は、はぁ……」
「厭魅術を使う呪言師なんか野放しに出来ないからさ。あんた殺してきてよ。……って言いたいところだけど使いもんにならないもんねぇ……どうしよっか?」
「厭魅術を使う者がまだ存在するとは……。これは相当厄介です。この男もいつ力を発動するか分かりません。両者、消すしかないかと」
「ちょっと待て待て待て待て。俺は何の能力もないただのサラリーマンだ。そもそもさっきだって何も起こらなかったし、使いもんにならないなら俺は消す必要ないだろ!」
「本来、呪言師ってのは厭魅術を祓うことを目的としててるの。その目的以外は存在を認められていない。人を呪い殺すような呪詛を行う呪言師が存在していいわけがないでしょ?」
「……消すってさ、そっちで『エイヤ』って簡単に出来ないの?」
「出来ない。私たちの使命は死者の魂を正しく導くこと。あんたの名前が名簿にない限りは、何度殺されてもあっちへ戻してあげるから、ひとまずあの呪言師から、なんで何度もあんたを殺すのか目的を探ってきて」
「いや、もし仮によ?俺を殺す目的とやらが分かったとしてね?結局、俺もあんたらに消されちゃったりしない?」
「狙いとしては、相打ちにでもなってくれれば話は早いです」
ひでぇなぁ、アミダ……
「それかさ……」
ヒョウが何か思いついたような顔をして、こう言った。
「厭魅術を祓う呪言師としての本来の力を取り戻せたら、あんたの命も……」
「ヒョウ様!私は反対です。危険すぎます。この男もいつ暴走するか……」
「そうは言ってもあの呪言師に接触できるのはこの子だけだしさぁ。まぁ、とりあえず探ってきてよ」
簡単に言いやがって……
とは思ったが、雰囲気的にもうやるしかないようだ。
ぼんやりとしか状況が把握出来ていないうちに、俺の今後の動きが決まった。
というか新田の野郎、何遍も俺を殺しやがって……とだんだんと腹が立ってきた。
色々と聞いてやりたいこともあるし、何となくでしか生きてこなかった俺のしょうもない人生に『使命』が与えられ、俺が生きる意味みたいなものが芽生えた気がした。
「その呪言ってのは、そのまま呪いの言葉ってこと……?」
「うん、物分りいいね。呪言で殺されても名簿に載るはずなんだけどね。そもそも一度目は自己意志による自殺みたいだし。……ねぇ、アミダ、もしかしてこの子が名簿に載らない理由ってさ」
「えぇ……おそらくは」
勝手に話進めんな。
俺を混ぜろ。
アミダが自分の腕を指差し、俺にこう言った。
「念じるようにして"曲がれ"と言ってみてください」
意味が分からなかったが言われるがままに、『曲がれ』と言った。
……が、何も起こらず何故かアミダが呆れた顔をしている。
「ヒョウ様……完全に力を失ってます」
「あの……なんすか、今の」
「なんであんたが呪言師に狙われてるか、分かる?」
「まっったく、身に覚えございません」
「あんたもあいつと同じ、呪言師だからよ」
そもそも呪言師ってなんだよ。
俺が殺されてるだとか、仮死状態だとか、新田が呪言師だとか、俺も呪言師だとか……
色々とさっぱり意味がわからん。
「聞いてる?同じ呪言師と言っても、あっちの呪言は『厭魅術』の気配がするの。本来、人を呪い殺すとかっていうのはさ、自分自身にもある程度のダメージが返ってきて、その痛みや恐怖、憎悪、苦痛の念を倍増させて相手にぶつけて殺すの。『人を呪わば穴二つ』っていうでしょ?でもあの新田ってやつは、自分へのダメージがないままあんたを殺せてる」
「は、はぁ……」
「厭魅術を使う呪言師なんか野放しに出来ないからさ。あんた殺してきてよ。……って言いたいところだけど使いもんにならないもんねぇ……どうしよっか?」
「厭魅術を使う者がまだ存在するとは……。これは相当厄介です。この男もいつ力を発動するか分かりません。両者、消すしかないかと」
「ちょっと待て待て待て待て。俺は何の能力もないただのサラリーマンだ。そもそもさっきだって何も起こらなかったし、使いもんにならないなら俺は消す必要ないだろ!」
「本来、呪言師ってのは厭魅術を祓うことを目的としててるの。その目的以外は存在を認められていない。人を呪い殺すような呪詛を行う呪言師が存在していいわけがないでしょ?」
「……消すってさ、そっちで『エイヤ』って簡単に出来ないの?」
「出来ない。私たちの使命は死者の魂を正しく導くこと。あんたの名前が名簿にない限りは、何度殺されてもあっちへ戻してあげるから、ひとまずあの呪言師から、なんで何度もあんたを殺すのか目的を探ってきて」
「いや、もし仮によ?俺を殺す目的とやらが分かったとしてね?結局、俺もあんたらに消されちゃったりしない?」
「狙いとしては、相打ちにでもなってくれれば話は早いです」
ひでぇなぁ、アミダ……
「それかさ……」
ヒョウが何か思いついたような顔をして、こう言った。
「厭魅術を祓う呪言師としての本来の力を取り戻せたら、あんたの命も……」
「ヒョウ様!私は反対です。危険すぎます。この男もいつ暴走するか……」
「そうは言ってもあの呪言師に接触できるのはこの子だけだしさぁ。まぁ、とりあえず探ってきてよ」
簡単に言いやがって……
とは思ったが、雰囲気的にもうやるしかないようだ。
ぼんやりとしか状況が把握出来ていないうちに、俺の今後の動きが決まった。
というか新田の野郎、何遍も俺を殺しやがって……とだんだんと腹が立ってきた。
色々と聞いてやりたいこともあるし、何となくでしか生きてこなかった俺のしょうもない人生に『使命』が与えられ、俺が生きる意味みたいなものが芽生えた気がした。
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