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第43話 お代は口づけ
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「コウちゃん、調合台買ってくれてありがとうね」
「気にしないで。元々買おうと思ってたし。それにフー姉が調合台を欲しい理由って俺たちのためでしょ?」
これからどんなモンスターがでるかは分からない。いつどんな時に怪我を負うかわからない。しかし村では大した薬はない。そんな状況でフー姉ができることを考えてくれたのだろう。
「うふふ……そんな純粋な気持ちだけじゃないわ。……私がここにいていい理由作り、あなたの役に立っているという実感、そういう打算はあるわよ。……ごめんなさい、期待通りじゃなくて」
「純粋な気持ちだけじゃないってことはそう言う気持ちもあるってことでしょ?いいんじゃない?」
なんかフー姉がばつの悪そうな顔で答えたので俺が何か間違えたことを言ったのかと思った。
「相変わらず優しいわね。私もあなたみたいに純粋に優しくありたいわ」
「え?俺が純粋に優しい?それはないよ。俺だって打算というか下心みたいなものはあるよ。やっぱり頼りにされたいとか思うし」
「ふ~ん。じゃあ今も下心たっぷりに優しくしてくれているのかしら?うふふ、どんな下心なのかな~」
そう言ってフー姉は俺にしな垂れかかってくる。
「ちょっと、からかわないでよフー姉」
「……悩み事は解決しそう?」
「え?」
「コウちゃん、私たちのことでずっと悩んでるじゃない?私たちのことを真剣に考えてくれるのは嬉しいわ。けれど何を悩んでいるのかわからないの。よければどう言う悩みか教えてくれるかしら」
うーん、フー姉にNPCとか言ってもよくわからないよね。どう伝えるべきか。
「フー姉たちのことは好きだよ。ただその好きがフー姉たち自身なのかフー姉たちのキャラとしてなのかが、わからないんだ」
「キャラ?どういうこと?」
「演劇の役者が演じる役みたいなものと言えばいいかな」
「つまり私という役者が好きなのか私が演じている役が好きのかって感じかしら」
「そんな感じだと思う」
正直、自分でもよくわからない。この悩みが正しいのかもよくわからない。非常に曖昧でモヤモヤとしたものを無理矢理に言語化するとそれが近いと言うだけだ。
「……なんだかとても難しいことを考えてるのね。……うーん、私は冒険者のコウちゃんも牧場主のコウちゃんも、どこか別世界でのコウちゃんも全てを愛してる。演じている役も役者も全てを愛してる。全部貴方だもの」
「それは役者が好きなのとは違うの?」
「違うわよ。貴方を元にした物語の演劇があったとして貴方という役は好きだけど役者は別よ。貴方がもし別の役を演じていればその役とそれを演じている貴方が好き。ね、別じゃない?」
「そうだね」
「まぁ、それがブーゲン商会長フーリアの回答よ」
「うん?」
「そしてただのフーリアとしてはね、たまには頭だけじゃなく感情に任せなさい」
そう言ったフー姉は俺を胸に埋めるように抱きしめる。
「わぷ!?」
「そろそろ我慢が限界なのよね」
待たせているのは悪いと思うけどすごい唐突なように感じる。というか息が……頭がくらくらしてきた。
「サプライズしたいならストレージに入れないほうがいいわよ?」
……あ、先ほどリックからプレゼント用に購入したアメジストのネックレスがバレているようだ。
「つけてくれるかしら?」
抱擁を解放したフー姉は向き合う形で待ち構える。
「……背中向けるものじゃないの?」
背中を向けてくれないとネックレスつけにくいんだけど。
「このままでお願いね」
そうしてくれというならそうするしかない。今度は俺がフー姉を抱擁するような形で両手をフー姉の首の方へ回す。抱擁されるのはすごく恥ずかしい気持ちだったけど自分からするのは別種の恥ずかしさを感じる。
「つ、つけたよ」
なんとかネックレスをつけられたので手を離そうとする。
「チュッ」
「!?」
いきなりフー姉が俺の頭に腕を回しキスをされた。
「どうかしら?」
「どうってどっち?」
「どっちも」
「似合ってるよ、あと……嬉しいよ」
「うふふ、コウちゃん顔が赤いわよ」
しょうがないじゃないか。初めてだったんだから。
「ん?フー姉も顔赤くない?」
「あら?初めてだから顔に出ちゃったわ」
「え?フー姉も初めてだったの?」
経験ありそうな雰囲気があったから意外だ。
「もってことはコウちゃんの初めてもらっちゃったのね。うふふ、それじゃあもう一回、チュッ」
なにがそれじゃあなのかわからない。俺が何かを言う前に頭を抱えられそのままキスをされる。
それから1回どころではない上1回あたりの時間も長くなる。
「今日はこの辺にしましょうか」
そういうフー姉はなんだかツヤツヤしているように見える。え?精気かなにか吸われました?
「今日は……これからもする気満々じゃん。俺まだ答えられてないのに」
「答えたじゃない。好きって。私はそれだけで十分なのよね。恋人とかの肩書きは必ずしも必要とは思ってないわ。私の欲しいものは愛し愛されること。肩書きがたとえセフレだろうが性奴隷だろうが妻だろうがさして重要ではないの。あなたがそれで愛してくれるなら。だからあなたが私のことを好きというならもう十分なの。そのうえでどうなりたいかは貴方の答えを待つわ。ただ愛し愛されることは待てない」
フー姉は俺の考えを尊重しつつも自分の譲れない思いを伝えてくれる。俺はみんなに一方的に待って欲しいと伝え押し付けているだけだった。俺は結局のところ、みんなを自分でコントロールできるNPCとしてしか見られていなかったのだろうか。
「違うわよ」
「え?」
「なんとなくコウちゃんが自分を責めているように見えたから」
「そんなにわかりやすい顔になってたかな?……ただ俺は自分のことしか考えられてないなってさ」
「そう?コウちゃんはキスが初めてってことはそういう経験が少ないってことでしょうし、少しだけ自分に余裕を持てなかっただけじゃない?現に今気づいたのだからきっとそのはずよ」
そうか。余裕を持てていなかったから視野が狭くなっていたようだ。自分を責めすぎるのはよくなかった。
「ありがとうフー姉」
「いいのよ、お代は頂くから」
「え?……今日は終わりじゃ?」
そうしてお代と称して再びキスをされるのであった。
「気にしないで。元々買おうと思ってたし。それにフー姉が調合台を欲しい理由って俺たちのためでしょ?」
これからどんなモンスターがでるかは分からない。いつどんな時に怪我を負うかわからない。しかし村では大した薬はない。そんな状況でフー姉ができることを考えてくれたのだろう。
「うふふ……そんな純粋な気持ちだけじゃないわ。……私がここにいていい理由作り、あなたの役に立っているという実感、そういう打算はあるわよ。……ごめんなさい、期待通りじゃなくて」
「純粋な気持ちだけじゃないってことはそう言う気持ちもあるってことでしょ?いいんじゃない?」
なんかフー姉がばつの悪そうな顔で答えたので俺が何か間違えたことを言ったのかと思った。
「相変わらず優しいわね。私もあなたみたいに純粋に優しくありたいわ」
「え?俺が純粋に優しい?それはないよ。俺だって打算というか下心みたいなものはあるよ。やっぱり頼りにされたいとか思うし」
「ふ~ん。じゃあ今も下心たっぷりに優しくしてくれているのかしら?うふふ、どんな下心なのかな~」
そう言ってフー姉は俺にしな垂れかかってくる。
「ちょっと、からかわないでよフー姉」
「……悩み事は解決しそう?」
「え?」
「コウちゃん、私たちのことでずっと悩んでるじゃない?私たちのことを真剣に考えてくれるのは嬉しいわ。けれど何を悩んでいるのかわからないの。よければどう言う悩みか教えてくれるかしら」
うーん、フー姉にNPCとか言ってもよくわからないよね。どう伝えるべきか。
「フー姉たちのことは好きだよ。ただその好きがフー姉たち自身なのかフー姉たちのキャラとしてなのかが、わからないんだ」
「キャラ?どういうこと?」
「演劇の役者が演じる役みたいなものと言えばいいかな」
「つまり私という役者が好きなのか私が演じている役が好きのかって感じかしら」
「そんな感じだと思う」
正直、自分でもよくわからない。この悩みが正しいのかもよくわからない。非常に曖昧でモヤモヤとしたものを無理矢理に言語化するとそれが近いと言うだけだ。
「……なんだかとても難しいことを考えてるのね。……うーん、私は冒険者のコウちゃんも牧場主のコウちゃんも、どこか別世界でのコウちゃんも全てを愛してる。演じている役も役者も全てを愛してる。全部貴方だもの」
「それは役者が好きなのとは違うの?」
「違うわよ。貴方を元にした物語の演劇があったとして貴方という役は好きだけど役者は別よ。貴方がもし別の役を演じていればその役とそれを演じている貴方が好き。ね、別じゃない?」
「そうだね」
「まぁ、それがブーゲン商会長フーリアの回答よ」
「うん?」
「そしてただのフーリアとしてはね、たまには頭だけじゃなく感情に任せなさい」
そう言ったフー姉は俺を胸に埋めるように抱きしめる。
「わぷ!?」
「そろそろ我慢が限界なのよね」
待たせているのは悪いと思うけどすごい唐突なように感じる。というか息が……頭がくらくらしてきた。
「サプライズしたいならストレージに入れないほうがいいわよ?」
……あ、先ほどリックからプレゼント用に購入したアメジストのネックレスがバレているようだ。
「つけてくれるかしら?」
抱擁を解放したフー姉は向き合う形で待ち構える。
「……背中向けるものじゃないの?」
背中を向けてくれないとネックレスつけにくいんだけど。
「このままでお願いね」
そうしてくれというならそうするしかない。今度は俺がフー姉を抱擁するような形で両手をフー姉の首の方へ回す。抱擁されるのはすごく恥ずかしい気持ちだったけど自分からするのは別種の恥ずかしさを感じる。
「つ、つけたよ」
なんとかネックレスをつけられたので手を離そうとする。
「チュッ」
「!?」
いきなりフー姉が俺の頭に腕を回しキスをされた。
「どうかしら?」
「どうってどっち?」
「どっちも」
「似合ってるよ、あと……嬉しいよ」
「うふふ、コウちゃん顔が赤いわよ」
しょうがないじゃないか。初めてだったんだから。
「ん?フー姉も顔赤くない?」
「あら?初めてだから顔に出ちゃったわ」
「え?フー姉も初めてだったの?」
経験ありそうな雰囲気があったから意外だ。
「もってことはコウちゃんの初めてもらっちゃったのね。うふふ、それじゃあもう一回、チュッ」
なにがそれじゃあなのかわからない。俺が何かを言う前に頭を抱えられそのままキスをされる。
それから1回どころではない上1回あたりの時間も長くなる。
「今日はこの辺にしましょうか」
そういうフー姉はなんだかツヤツヤしているように見える。え?精気かなにか吸われました?
「今日は……これからもする気満々じゃん。俺まだ答えられてないのに」
「答えたじゃない。好きって。私はそれだけで十分なのよね。恋人とかの肩書きは必ずしも必要とは思ってないわ。私の欲しいものは愛し愛されること。肩書きがたとえセフレだろうが性奴隷だろうが妻だろうがさして重要ではないの。あなたがそれで愛してくれるなら。だからあなたが私のことを好きというならもう十分なの。そのうえでどうなりたいかは貴方の答えを待つわ。ただ愛し愛されることは待てない」
フー姉は俺の考えを尊重しつつも自分の譲れない思いを伝えてくれる。俺はみんなに一方的に待って欲しいと伝え押し付けているだけだった。俺は結局のところ、みんなを自分でコントロールできるNPCとしてしか見られていなかったのだろうか。
「違うわよ」
「え?」
「なんとなくコウちゃんが自分を責めているように見えたから」
「そんなにわかりやすい顔になってたかな?……ただ俺は自分のことしか考えられてないなってさ」
「そう?コウちゃんはキスが初めてってことはそういう経験が少ないってことでしょうし、少しだけ自分に余裕を持てなかっただけじゃない?現に今気づいたのだからきっとそのはずよ」
そうか。余裕を持てていなかったから視野が狭くなっていたようだ。自分を責めすぎるのはよくなかった。
「ありがとうフー姉」
「いいのよ、お代は頂くから」
「え?……今日は終わりじゃ?」
そうしてお代と称して再びキスをされるのであった。
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