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第16話 王女は動き出し新手参上
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とあるVRMMOの出来事 リリアーヌ視点
「準備は順調のようですね」
「はい、滞りありません」
私は執事に確認する。今私はコウタ様のもとに行くための手がかりをもとに行動を起こすための準備を進めていた。私は王家で保管されていた文献から手がかりを見つけることができていた。
その文献では、『初代国王が世界の安寧に大きく貢献したため女神より褒美として願いを一つ叶えてもらった。その願いにより王国はミスリル資源が豊富な土地を与えられた。』というものでした。
重要な部分は世界の安寧への貢献です。この貢献はおそらくカルマ値のことでしょう。カルマ値は教会にある神具によって確認することができます。人助けをする人はこの数値が大きくなり犯罪者などは値が小さいもしくはマイナスの値になっていることが常識です。
けれども、この値によってどんな影響があるかは一般的に知られていません。神職の方達の役職の目安になっているくらいですね。仮に数値が低くても何か犯罪をした証拠になるわけでもなく意味のないものでした。
しかし、この文献の内容が事実であれば今まで意味のなかったカルマ値の価値が大きく変わります。
私はカルマ値が関係あると断定して今回の政策を行うことに決めました。
「このあとの予定を教えてくださる?」
「はい、このあとはブーゲン商会の会長フーリア様との商談です」
「そう、ありがとう」
ブーゲン商会、日用品や薬を扱う商会で元々それなりの規模がありましたが最近よりその勢いが増している商会です。会長は商会を一代で今の規模まで築き上げたかなりやりての女性。今回はどこから嗅ぎつけたのか私が今行おうとしている政策に一枚かませてほしいというものです。
しかし、今回の政策はあの商会に利益があるとは思えないけどどんな思惑があるのかしら。いくら考えても分からないです。
そうして相手の思惑が分からないまま商談の時間になってしまいました。
「リリアーヌ殿下、この度は商談の機会を設けていただきありがとうございます」
「構いませんわ。フーリア様、さっそく商談を始めましょう」
フーリア様は、紫のエレガントなロングヘアとキリっとした瞳をもった女性で身長は170cm程度で、すらっとした体型ながらも胸が大きいとてもきれいで色気のある女性でした。
「殿下、私めに様などの敬称は恐れ多いです」
「そうですか。ではフーリアさんと呼ばせていただきます」
「ありがとうございます。では商談を始めさせていただきます。今回我が商会の目的としましては、殿下がこれから行う政策にブーゲン商会が物資、人材の面でバックアップをさせていただきたいと存じます。商会で用意したものに関しては費用は一切いただきません」
物資と人材を用意して費用はいらないとは、商会に利益がないどころか損をしている。
「……あなた方にメリットがあるとはとても思えないのですけれど」
「そうですね……。それを話す前に一つ殿下にお聞きしたいことがあります。この度の政策、殿下の本当の狙いをお聞かせいただきたい」
目的はコウタ様の世界へ行くためにカルマ値を高めること。しかし、これを話す必要性は感じない。 そのため、表向きの狙いを話すことにする。
「もちろん、近頃好き勝手にして至る所に被害を出している異界人の牽制です。異界人に触発されて裏社会も活発化して治安が悪化してきています。私はこの状況を打破したいと考えています」
表向きの理由ではあるが嘘というわけではない。困っている国民を見過ごすことができないという気持ちもある。
「殿下、私は殿下が民を大切に思いまた多くの民に慕われていることを存じています。なのでこの度の政策を行うこと自体に違和感はありません。ただなぜこのタイミングなのかということです。そして、少し前に殿下は何か調査をしていた。その調査結果によってこの度の政策に乗り出した。違いますか?」
フーリアさんは確信を持っているといわんばかりに凛々しい紫色の瞳ををこちらにじっと向けてくる。
「……確かに私的な調査は行っていました。しかし、ここでお話しするような大したものではなく、この度の政策とタイミングが被ったのは偶々です」
私は話をはぐらかして流そうと思いました。その様子を見てフーリアさんは意を決した表情になりました。
「…………コウタさん」
「…………」ピクッ
「私もコウタさんに助けられた身。そして、コウタさんのいる世界への行き方を探しています。殿下、私にその方法を教えていただけないでしょうか。もちろん、必要なものがあれば全面的にサポートさせていただきます」
……コウタさんを独り占めできなくなってしまう。しかし、ここで断ることで妨害をされるようになっても困ります。それにコウタさんのいる世界は未知数。ある程度信用できる味方がいたほうが動きやすいのも事実。ここで同盟のようなものを結んでしまおうか。
今回の商談のメリットとして人手が増える分カルマ値が加速度的に増えることにつながりコウタ様に早く会えるようになること。そして、コウタ様の世界に行ったときにある程度信用ができる人がいること。
デメリットは、コウタさんを独り占めできないこと、そしてコウタさんを独り占めできないこと、さらにいえばコウタさんを独り占めできないことね。
「………………いいでしょう」
「殿下、ありがとうございます。そ、それと殿下の口元から血が……」
それからフーリアさんとこれからの段取りについて話を詰めていくことになりました。
これ以上新手は増えないでほしいと願いながら。
「準備は順調のようですね」
「はい、滞りありません」
私は執事に確認する。今私はコウタ様のもとに行くための手がかりをもとに行動を起こすための準備を進めていた。私は王家で保管されていた文献から手がかりを見つけることができていた。
その文献では、『初代国王が世界の安寧に大きく貢献したため女神より褒美として願いを一つ叶えてもらった。その願いにより王国はミスリル資源が豊富な土地を与えられた。』というものでした。
重要な部分は世界の安寧への貢献です。この貢献はおそらくカルマ値のことでしょう。カルマ値は教会にある神具によって確認することができます。人助けをする人はこの数値が大きくなり犯罪者などは値が小さいもしくはマイナスの値になっていることが常識です。
けれども、この値によってどんな影響があるかは一般的に知られていません。神職の方達の役職の目安になっているくらいですね。仮に数値が低くても何か犯罪をした証拠になるわけでもなく意味のないものでした。
しかし、この文献の内容が事実であれば今まで意味のなかったカルマ値の価値が大きく変わります。
私はカルマ値が関係あると断定して今回の政策を行うことに決めました。
「このあとの予定を教えてくださる?」
「はい、このあとはブーゲン商会の会長フーリア様との商談です」
「そう、ありがとう」
ブーゲン商会、日用品や薬を扱う商会で元々それなりの規模がありましたが最近よりその勢いが増している商会です。会長は商会を一代で今の規模まで築き上げたかなりやりての女性。今回はどこから嗅ぎつけたのか私が今行おうとしている政策に一枚かませてほしいというものです。
しかし、今回の政策はあの商会に利益があるとは思えないけどどんな思惑があるのかしら。いくら考えても分からないです。
そうして相手の思惑が分からないまま商談の時間になってしまいました。
「リリアーヌ殿下、この度は商談の機会を設けていただきありがとうございます」
「構いませんわ。フーリア様、さっそく商談を始めましょう」
フーリア様は、紫のエレガントなロングヘアとキリっとした瞳をもった女性で身長は170cm程度で、すらっとした体型ながらも胸が大きいとてもきれいで色気のある女性でした。
「殿下、私めに様などの敬称は恐れ多いです」
「そうですか。ではフーリアさんと呼ばせていただきます」
「ありがとうございます。では商談を始めさせていただきます。今回我が商会の目的としましては、殿下がこれから行う政策にブーゲン商会が物資、人材の面でバックアップをさせていただきたいと存じます。商会で用意したものに関しては費用は一切いただきません」
物資と人材を用意して費用はいらないとは、商会に利益がないどころか損をしている。
「……あなた方にメリットがあるとはとても思えないのですけれど」
「そうですね……。それを話す前に一つ殿下にお聞きしたいことがあります。この度の政策、殿下の本当の狙いをお聞かせいただきたい」
目的はコウタ様の世界へ行くためにカルマ値を高めること。しかし、これを話す必要性は感じない。 そのため、表向きの狙いを話すことにする。
「もちろん、近頃好き勝手にして至る所に被害を出している異界人の牽制です。異界人に触発されて裏社会も活発化して治安が悪化してきています。私はこの状況を打破したいと考えています」
表向きの理由ではあるが嘘というわけではない。困っている国民を見過ごすことができないという気持ちもある。
「殿下、私は殿下が民を大切に思いまた多くの民に慕われていることを存じています。なのでこの度の政策を行うこと自体に違和感はありません。ただなぜこのタイミングなのかということです。そして、少し前に殿下は何か調査をしていた。その調査結果によってこの度の政策に乗り出した。違いますか?」
フーリアさんは確信を持っているといわんばかりに凛々しい紫色の瞳ををこちらにじっと向けてくる。
「……確かに私的な調査は行っていました。しかし、ここでお話しするような大したものではなく、この度の政策とタイミングが被ったのは偶々です」
私は話をはぐらかして流そうと思いました。その様子を見てフーリアさんは意を決した表情になりました。
「…………コウタさん」
「…………」ピクッ
「私もコウタさんに助けられた身。そして、コウタさんのいる世界への行き方を探しています。殿下、私にその方法を教えていただけないでしょうか。もちろん、必要なものがあれば全面的にサポートさせていただきます」
……コウタさんを独り占めできなくなってしまう。しかし、ここで断ることで妨害をされるようになっても困ります。それにコウタさんのいる世界は未知数。ある程度信用できる味方がいたほうが動きやすいのも事実。ここで同盟のようなものを結んでしまおうか。
今回の商談のメリットとして人手が増える分カルマ値が加速度的に増えることにつながりコウタ様に早く会えるようになること。そして、コウタ様の世界に行ったときにある程度信用ができる人がいること。
デメリットは、コウタさんを独り占めできないこと、そしてコウタさんを独り占めできないこと、さらにいえばコウタさんを独り占めできないことね。
「………………いいでしょう」
「殿下、ありがとうございます。そ、それと殿下の口元から血が……」
それからフーリアさんとこれからの段取りについて話を詰めていくことになりました。
これ以上新手は増えないでほしいと願いながら。
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