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第12話 恐怖の権化
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とあるVRMMO内の出来事 ???視点
「コウタの世界に早く行きたいのです」
独りごちるウサギの獣人は獲物を探しに夜の街の裏道をさまよう。
彼女は追放された里に忍び込み見つけた手がかりをもとに行動していた。
「……ん、あっちなのです」
彼女は優れたうさぎの聴覚をもとに獲物のもとへと向かう。
するとそこには、女性一人を三人の男が囲み、男の仲間と思われる女が一人それを眺めている状況があった。
「あなたたち、こんなことをして恥ずかしくないの!?」
男たちに囲まれている女はそう怒鳴る。
「グへへへ、悪いな。うちの姫様があんたのそのネックレスをご所望なのさ」
一人の男は下卑た笑いを浮かべながらそう答える。
「フヒッ、それにゲームなんだから好きにしていいだろ」
少し小太りの男は引き笑いをしながら答える。
「ぺろぺろ……ッ!?」
ひょろがりの男は片手に持ったナイフを舌で嘗め回しダメージを受ける。
「アンタたち~、ふざけてないで早くその女ぶっ殺してよ~」
そして、その状況を眺めていたフリフリのドレスを着た女は男たちに目標の女を殺すように急かす。
「グへへへ、そういうこった。じゃあ……な?」
「!?何が起こった!?」
下卑た笑いを浮かべた男の首が突然下に転がり落ちたところを見て小太りの男は慌てる。
「っ!!うしろだ!」
ひょろがりの男は慌てて小太りの男に声をかけるが既に首を切り落とされていた。
「えっ……。なにこれぇ……意味わか……」
「姫様!?……っ!?」
声の途切れたドレスを着た女の方を確認しようと振り向いたひょろがりの男もまた首が地面に転がり落ちる。
その様子を呆然とした表情で眺めていた女はわけもわからず動けないでいた。
そして、静寂が訪れ周りを恐る恐る女は確認をした。
「……たすかったの?」
女の周囲には先ほど襲ってきた男女の装備が落ちている以外に異常は見られなかった。
「さっきの黒い影はなんだったの?私ホラーとか無理なんですけど…」
女は助かったことに安堵しつつも理解不能な状況に気味が悪くなり、落ちている装備に一瞥もせずにこの場を急いで去っていった。
そして地面から黒いウサギの獣人の影がぬるりと浮き上がる。
「……うぅ~。気分悪いですぅ」
黒い影から髪以外が白い毛皮に戻った獣人の女は独りごちる。
本来彼女は生き物を殺すことに忌避感を抱き優しい気質である。また、そのせいで暗殺を生業とした一族から追放をされた過去を持つ。
「……でもコウタに会うための試練なのです」
彼女は手がかりとして『罪深きものを多く殺し多くの人を救った先祖が神から願いを一つ叶えてもらった』という言い伝えが書かれた文献を発見していた。
「神……。本当にいるか知らないですが少しでも可能性があるなら……」
どのくらい殺せばいいのか分からない。
どのくらい救えばいいのか分からない。
「早く会いたいです……。早くしないとどこの馬……ウサギでしたっけ?ウサギの骨?がコウタを独り占めするかもです……」
『もしかしたら自分の居場所はないかもしれない』という考えもよぎり悲しみが胸いっぱいに広がる。
「……コウタなら絶対受け入れてくれるのです。うん。よーし、次にいくですー!」
しかし、悲しみは長く続かない。
彼女はどんなに悲しいことがあっても引きずらず、持ち前の明るさを取り戻す。
そんな彼女の名前はペリカ・ツェル。
近い未来、数多のPKやPKギルドなどアウトローな人々を恐怖に陥れた存在として語り継がれる恋する乙女である。
「コウタの世界に早く行きたいのです」
独りごちるウサギの獣人は獲物を探しに夜の街の裏道をさまよう。
彼女は追放された里に忍び込み見つけた手がかりをもとに行動していた。
「……ん、あっちなのです」
彼女は優れたうさぎの聴覚をもとに獲物のもとへと向かう。
するとそこには、女性一人を三人の男が囲み、男の仲間と思われる女が一人それを眺めている状況があった。
「あなたたち、こんなことをして恥ずかしくないの!?」
男たちに囲まれている女はそう怒鳴る。
「グへへへ、悪いな。うちの姫様があんたのそのネックレスをご所望なのさ」
一人の男は下卑た笑いを浮かべながらそう答える。
「フヒッ、それにゲームなんだから好きにしていいだろ」
少し小太りの男は引き笑いをしながら答える。
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「アンタたち~、ふざけてないで早くその女ぶっ殺してよ~」
そして、その状況を眺めていたフリフリのドレスを着た女は男たちに目標の女を殺すように急かす。
「グへへへ、そういうこった。じゃあ……な?」
「!?何が起こった!?」
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「っ!!うしろだ!」
ひょろがりの男は慌てて小太りの男に声をかけるが既に首を切り落とされていた。
「えっ……。なにこれぇ……意味わか……」
「姫様!?……っ!?」
声の途切れたドレスを着た女の方を確認しようと振り向いたひょろがりの男もまた首が地面に転がり落ちる。
その様子を呆然とした表情で眺めていた女はわけもわからず動けないでいた。
そして、静寂が訪れ周りを恐る恐る女は確認をした。
「……たすかったの?」
女の周囲には先ほど襲ってきた男女の装備が落ちている以外に異常は見られなかった。
「さっきの黒い影はなんだったの?私ホラーとか無理なんですけど…」
女は助かったことに安堵しつつも理解不能な状況に気味が悪くなり、落ちている装備に一瞥もせずにこの場を急いで去っていった。
そして地面から黒いウサギの獣人の影がぬるりと浮き上がる。
「……うぅ~。気分悪いですぅ」
黒い影から髪以外が白い毛皮に戻った獣人の女は独りごちる。
本来彼女は生き物を殺すことに忌避感を抱き優しい気質である。また、そのせいで暗殺を生業とした一族から追放をされた過去を持つ。
「……でもコウタに会うための試練なのです」
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どのくらい殺せばいいのか分からない。
どのくらい救えばいいのか分からない。
「早く会いたいです……。早くしないとどこの馬……ウサギでしたっけ?ウサギの骨?がコウタを独り占めするかもです……」
『もしかしたら自分の居場所はないかもしれない』という考えもよぎり悲しみが胸いっぱいに広がる。
「……コウタなら絶対受け入れてくれるのです。うん。よーし、次にいくですー!」
しかし、悲しみは長く続かない。
彼女はどんなに悲しいことがあっても引きずらず、持ち前の明るさを取り戻す。
そんな彼女の名前はペリカ・ツェル。
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