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鉄の国編

鉄の国

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「僕を倒さないとここからは出さないよ。」

「ここから出すって言ったじゃない。」

「地下の牢獄から出れただろう。」

「初めから出すつもりなかったのね。
騙したのね。」

「被害者ぶらないでくれよ。
ここに来たのは君らだよ。
実験材料が手に入ったんだ。
見逃すわけには行かないだろう。
最高の実験材料だよ。
彼には秘密にしないとね。」
フウジュンは実験体を見る目で見ていた
その不気味さにロタは言葉を失う。

「さっきからオラ気になってんだけど
彼って誰のことだ?」

「彼って僕も言いたくないんだけどね。
ヴァルキリーの娘の前で名前を言うなって
会ったんでしょ、
君ならわかるんじゃないのかな?」
ロタの肩に手を置く。
「わ、私は」
ロタの体は震えていた。
「ロタから手を離せ。」
羅独が水の紋章を発動して水を飛ばす。
フウジュンは後ろへと下がる
「そんなに怒るなよ。
鬼の紋章使いだとは嬉しいね。
実験なんて中々できないから、
丁寧に使わないとね。
どの部位も無駄なく使うとしよう。」

「オラは実験なんかされないぞ。」


「そうだな。実験はさせない。
俺が勝つからな。」
健一は剣を構える。
「ボロボロの剣だな。
見た目以上にガタガタだよ。
僕の目は確かなんだよ。」
健一が目の前を見ると折れた刃を
フウジュンは手に緑の紋章を発動させ
激しい風をまとった槍を放つ。
「暴風の槍」
フウジュンの風の槍を剣で受け止めたものの
刃こぼれがおき折れてしまう。
健一の目の前から
消えたと思ったらすぐに剣の刃を
持って立っていた。

健一は白い紋章で剣を強化していたが
フウジュンの攻撃には耐えきれずに
折れていた。

「剣の使い手が、剣を使えなければ
弱くなるだろう。」
健一は白い紋章で剣の刃を作り出す。 
「それは体力を無駄に使うだけだよ。
君、まだ紋章を発動してから
あまり日が経ってないだろう。
マガタマの奴らを倒すための力をね。」
緑の紋章を体全体に浮き出させる。
「前に見たことがある。
カクバサが使っていた技だな。」

「僕と戦った時は使ってなかったな。
マガタマのカクバサに会っていたとは、
次は必ず倒さないと行けませんからね。」

「もう、カクバサはいない。
俺が倒した。」

「君が倒したのか、
僕が倒したかったけど、仕方ない。
実験材料として分解したかったけど
まあ、いないのなら別にいいか、
君を実験体にすれば良い。
マガタマさえいなくなればいいか。
そうだ、忘れてた。
僕の実験の成果を見てよ。」
フウジュンは
「元の大きさに戻れ、
甦れ改造生物」
健一の目の前には
さまざまな種族を繋ぎ合わせた
何かが立っていた
「鬼に、人、狐の獣人、エルフに
ドワーフにグリーンマンを
合成して混ぜたんだけどどうかな。」

「一緒の体に無理やり改造したのね、
何故こんなことができるのよ。」

「なんで出来ないのかが分からないよ。
変わってるんだね。」
改造された生物は虚しく叫ぶ。
ハロメアと羅独が
目を思わずつぶってしまう。
「君たちもそうなるんだよ。
しっかり目に焼き付けないとさ
それまで精々、こいつに倒されないように」
そう言ってフウジュンは姿を消した



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