猫になった日

生まれた日

スマホの着信音が鳴り響く。
スマホを見ると病院からの電話。
仕事中なので、こっそりと電話に出ると
子どもが産まれそうとの事、
仕事を中退させてもらい、
会社を飛び出して走っていく。

猫が路上で倒れている。
足を怪我をして、足を引きずって歩く。
車はそれに気づかないように走っていく。
それを6歳ぐらいの子どもが助けるために
走る。
それでも車は止まらない。
車の運転手はうとうと眠りながら運転をし、
周りの人は誰も助けない。
死ぬ可能性があるし、自分の家族が大事
それはわかってるが、足が勝手に
子どもと猫を助けるために走っていた。

車は何かあったと気づき、急いで止めて
運転手は降りると車の前と地面は
赤く染められ子どもは泣いている。

"感覚がない、あの子と猫は助かったのかな。
助かってるといいな。
もう産まれてるかな。いい子に育つといいな
この四葉ネックレスが僕に勇気をくれた。
願いが叶うならこれから先、
家族と生きて暮らせますように"
四葉のネックレスを弱々しい手で握りしめる

運が良かったのか救急車は迅速に
僕を病院に連れて行く。

「遅いわね。いつも遅刻ばかりして
子どもが産まれても治らないのね。
ねえ、千歌ちゃん。
私のスマホが鳴ってる。」
スマホを見ると誠一だった。
電話に出ると誠一の声ではなかった。
私はスマホを地面に落とし、
誠一のお父さんとお母さんの目を見て
涙を流す。
誠一のお父さんは、
私のスマホを拾い代わりに電話に出ようと
提案され私は頷く。
誠一のお父さんはゆっくり頷く。
私や誠一のお母さんを落ち着かせるため
落ち着いてスマホで話を聞く。

誠一のお父さんは誠一に起きた事を
私に話してくれたが脳が追いつかない。
誠一は生きている、意識は戻らない。
いつ戻るかはわからない。
一生戻らないかもしれないし、
奇跡が起きれば目が覚めるらしい。

「私が頑張らないと千歌のためにもね。」

ー衝撃の1日から3年の月日が流れていた