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12 抱擁

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 新たに建て増しした部分だからなのか、外見は民宿なのに、私たちの部屋は小ぎれいな洋間だった。
 カーテンの向こうはまだ明るく、照明をつける必要もない。
 部屋に戻るなり、私たちは全裸になって、もつれ合いようにベッドに倒れ込んだ。
 日焼けした小麦色の私の裸体の下で、隠花植物の茎みたいに生白いマリの裸身がうねる。
 言葉など要らなかった。
 ベッドに仰向けになったマリの裸身の上に覆いかぶさり、私は心ゆくまでマリの唇を貪った。
 まさに天にも昇る心地だった。
 最後にマリの乳首を舐めたい。
 そのささやかな願いはいとも簡単に聞き入れられ、そればかりか私は今、全身でマリと愛を交わし合っているのだ。
 今頃、身体のなかで増殖しているであろう”あれ”。
 もう数時間もすれば、私の息の根を止めにくるに違いない。
 が、そんなことはもうどうでもよかった。
 私は全身全霊をこめて、マリの真っ白な裸身を愛撫した。
 乳房はもとより、首、腋の下、わき腹、へそと、身体の隅々まで舐めていく。
 脚を開かせ、股間に顔を埋め、驚くほど体毛の薄いマリの性器に舌を入れる。
「あ~ん、あ~ん」
 マリが独特の低音で鳴く。
 両手を頭の上に上げ、まったくの無防備で私に裸をさらしている。
 舐めながら、両手を伸ばし、乳首をつまむ。
「いい…いいよお…」
 マリの声が高くなる。
 左手で性器を弄りながら、私はまたベッドの上によじ登る。
 右手で乳首をいじり、顔を近づけ、キスをする。
 手の動きを速めると、
「いく…いっちゃう…」
 マリが小刻みに震え出した。
「いいよ、逝っても」
 右手でクリトリスをこすりながら、左手の指を穴に差し込んだ。
 マリの蜜壺は、溶鉱炉のように熱く、どろどろしている。
 挿入した指の数を2本に増やし、激しく出し入れしながらGスポットをこすりあげた。
「ああっ、あああっ、ああああんっ、い、いくうっ」
 マリが跳ねた。
 海老のように跳ね、やがてぐったりと動かなくなった。
「逝っちゃったの?」
 訊くと、かすかにうなずいた。
 桜色に染まったマリの頬にキスをして、私は思いのたけを口にした。
「逝っちゃった顔も、かわいい」
 マリがゆっくり目を開ける。
 上体を起こすと、私の肩を両手でつかんで、にっと口角を吊り上げた。
「かわって」
 そう言って、私をベッドの上に押し倒す。
 驚きだった。
 浴場でのキスもためらったマリが、こんなにも積極的になるなんて…。
「今度は、マリが責めるの…?」
 からかうようにたずねると、
「そうだよ。だから、ナナ、覚悟して」
 舌の先でチロリと上唇を舐め、マリが真顔でうなずいた。
 



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