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#11 奇妙な依頼⑦
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「でも、それは…」
私は反論を試みた。
名簿が間違っているのでないにせよ、ほかにも合理的な解釈はあるはずだ。
「単に、運がよかっただけではないのですか? 一度目の特攻でも助かって、二度目の特攻でも、また運良く、助かった。それで、三度目でやっと…」
そうなのだ。
特攻に失敗した帰還兵の手記というものを、私も以前、何かで読んだ記憶がある。
「いや、それは違うな」
編集長が、またもやもじゃもじゃ頭を掻き回し始めた。
この動作、最近出版された、横溝正史とかいう新人作家の描く探偵によく似ている。
あの探偵、なんて言ったっけ?
「なぜなら、それぞれ、死者数も書いてあるからさ。その数は、三回とも、名簿の名前の数と一致しているんだ。ミッドウェーが33人、ガダルカナルが19人、ニューギニアが8人、とね」
「つまり、毎回、全員死亡していると?」
「そう。そういうことになる」
「うーん」
私は顎に指を当て、眉をひそめて固まった。
もしそれが本当だとすると、これはどういうことなんだろう?
三回も特攻に出撃して、その都度死んでいる山田某。
まさか幽霊?
それこそが、蒸し暑いきょう一日のうちで、私が心底から寒気を覚えた瞬間だった。
私は反論を試みた。
名簿が間違っているのでないにせよ、ほかにも合理的な解釈はあるはずだ。
「単に、運がよかっただけではないのですか? 一度目の特攻でも助かって、二度目の特攻でも、また運良く、助かった。それで、三度目でやっと…」
そうなのだ。
特攻に失敗した帰還兵の手記というものを、私も以前、何かで読んだ記憶がある。
「いや、それは違うな」
編集長が、またもやもじゃもじゃ頭を掻き回し始めた。
この動作、最近出版された、横溝正史とかいう新人作家の描く探偵によく似ている。
あの探偵、なんて言ったっけ?
「なぜなら、それぞれ、死者数も書いてあるからさ。その数は、三回とも、名簿の名前の数と一致しているんだ。ミッドウェーが33人、ガダルカナルが19人、ニューギニアが8人、とね」
「つまり、毎回、全員死亡していると?」
「そう。そういうことになる」
「うーん」
私は顎に指を当て、眉をひそめて固まった。
もしそれが本当だとすると、これはどういうことなんだろう?
三回も特攻に出撃して、その都度死んでいる山田某。
まさか幽霊?
それこそが、蒸し暑いきょう一日のうちで、私が心底から寒気を覚えた瞬間だった。
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