57 / 58
#56 処刑
しおりを挟む
スマホからの中継を見た時から、殺害方法は決めてあった。
何もリスクの高い果物ナイフを使うことはない。
部屋の中にはもっといいものが転がっているのだ。
舗道に人気がないことを確認して、車を塀沿いに移動させ、屋根に上がる。
車の屋根を踏み台にして、一挙動で敷地内に飛び下りた。
自慰のしすぎで足元がふらつき、つい苦笑する。
が、スタミナはそれくらいで切れたりしない。
そもそも、性的行為は巧にとってウォーミングアップみたいなものなのだ。
植え込みを越え、ベランダによじ登る。
カーテンは閉まっているが、サッシ窓の内鍵は外されていた。
半分ほど開けて、室内に滑り込む。
カーテンのすき間から様子を窺うと、ハルトは仰向けに倒れた芙由子の顔の上に跨り、ペニスを口に突っ込んでいるところだった。
「いいよ、素敵だ。もうすぐ出るよ」
ぶつぶつつぶやいて、獣のように腰を上下させ、芙由子の口に勃起した肉棒を突き立てている。
芙由子は気でも失っているのか、硬く眼を閉じて、されるがままになっている。
時折ぴくりと手足が痙攣するのは、まだ精神が愉悦の淵を漂っているからだろうか。
オイルで濡れ光る芙由子の裸身は、あまりにも淫らでしどけなく、またしても巧の性欲を刺激した。
これなら、犯行現場を芙由子に目撃されずに済む。
どちらにしろ、巧にとっては好都合な条件がそろっているといえそうだった。
忍び足でカーテンの裏側から抜け出し、足元に落ちていたロープを拾い上げた。
芙由子を宙吊りにしていたもので、長さは十分にある。
持参した果物ナイフを使い、フックの根元でロープを切断すると、両手に握ってハルトの背中に近づいた。
後は、簡単だった。
ハルトの首にロープを引っかけたまま、窓から外に飛び下りた。
ロープの端をベランダに通し、全体重をかけて引き下げにかかった。
かなりの重労働をやり遂げると、窓から首を吊ったハルトの頭部がせり上がってくるのが見えた。
元からむくんだ顔は今はひどくうっ血し、眼窩からは眼球が、苦しげに開いた口からは紫色に変色した舌が飛び出している。
ロープの端をベランダに固く結びつけ、車に戻る。
車を元のコインパーキングまで移動させると、往来まで出て、予め見つけておいた電話ボックスに入った。
110番をプッシュし、鼻をつまんで作り声を出す。
「あの、松村さんのお宅で、人が死んでいます」
何もリスクの高い果物ナイフを使うことはない。
部屋の中にはもっといいものが転がっているのだ。
舗道に人気がないことを確認して、車を塀沿いに移動させ、屋根に上がる。
車の屋根を踏み台にして、一挙動で敷地内に飛び下りた。
自慰のしすぎで足元がふらつき、つい苦笑する。
が、スタミナはそれくらいで切れたりしない。
そもそも、性的行為は巧にとってウォーミングアップみたいなものなのだ。
植え込みを越え、ベランダによじ登る。
カーテンは閉まっているが、サッシ窓の内鍵は外されていた。
半分ほど開けて、室内に滑り込む。
カーテンのすき間から様子を窺うと、ハルトは仰向けに倒れた芙由子の顔の上に跨り、ペニスを口に突っ込んでいるところだった。
「いいよ、素敵だ。もうすぐ出るよ」
ぶつぶつつぶやいて、獣のように腰を上下させ、芙由子の口に勃起した肉棒を突き立てている。
芙由子は気でも失っているのか、硬く眼を閉じて、されるがままになっている。
時折ぴくりと手足が痙攣するのは、まだ精神が愉悦の淵を漂っているからだろうか。
オイルで濡れ光る芙由子の裸身は、あまりにも淫らでしどけなく、またしても巧の性欲を刺激した。
これなら、犯行現場を芙由子に目撃されずに済む。
どちらにしろ、巧にとっては好都合な条件がそろっているといえそうだった。
忍び足でカーテンの裏側から抜け出し、足元に落ちていたロープを拾い上げた。
芙由子を宙吊りにしていたもので、長さは十分にある。
持参した果物ナイフを使い、フックの根元でロープを切断すると、両手に握ってハルトの背中に近づいた。
後は、簡単だった。
ハルトの首にロープを引っかけたまま、窓から外に飛び下りた。
ロープの端をベランダに通し、全体重をかけて引き下げにかかった。
かなりの重労働をやり遂げると、窓から首を吊ったハルトの頭部がせり上がってくるのが見えた。
元からむくんだ顔は今はひどくうっ血し、眼窩からは眼球が、苦しげに開いた口からは紫色に変色した舌が飛び出している。
ロープの端をベランダに固く結びつけ、車に戻る。
車を元のコインパーキングまで移動させると、往来まで出て、予め見つけておいた電話ボックスに入った。
110番をプッシュし、鼻をつまんで作り声を出す。
「あの、松村さんのお宅で、人が死んでいます」
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


終焉の教室
シロタカズキ
ホラー
30人の高校生が突如として閉じ込められた教室。
そこに響く無機質なアナウンス――「生き残りをかけたデスゲームを開始します」。
提示された“課題”をクリアしなければ、容赦なく“退場”となる。
最初の課題は「クラスメイトの中から裏切り者を見つけ出せ」。
しかし、誰もが疑心暗鬼に陥る中、タイムリミットが突如として加速。
そして、一人目の犠牲者が決まった――。
果たして、このデスゲームの真の目的は?
誰が裏切り者で、誰が生き残るのか?
友情と疑念、策略と裏切りが交錯する極限の心理戦が今、幕を開ける。

視える棺2 ── もう一つの扉
中岡 始
ホラー
この短編集に登場するのは、"視えてしまった"者たちの記録である。
影がずれる。
自分ではない"もう一人"が存在する。
そして、見つけたはずのない"棺"が、自分の名前を刻んで待っている——。
前作 『視える棺』 では、「この世に留まるべきではない存在」を視てしまった者たちの恐怖が描かれた。
だが、"視える者"は、それだけでは終わらない。
"棺"に閉じ込められるべきだった者たちは、まだ完全に封じられてはいなかった。
彼らは、"もう一つの扉"を探している。
影を踏んだ者、"13階"に足を踏み入れた者、消えた友人の遺書を見つけた者——
すべての怪異は、"どこかへ繋がる"ために存在していた。
そして、最後の話 『視える棺──最後の欠片』 では、ついに"棺"の正体が明かされる。
"視える棺"とは何だったのか?
視えてしまった者の運命とは?
この物語を読んだあなたも、すでに"視えている"のかもしれない——。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる