汚れちまった悲しみに、きょうも血潮が降り注ぐ

戸影絵麻

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#43 淫夢

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 どういう流れから、そうなってしまったのか。

 ふと気がつくと、巧が隣にいて、芙由子はその胸にしなだれかかるように抱きしめられていた。

 寂しいんですか?

 ええ。

 僕もです。僕でよければ。

 そんな会話を交わしたような気もする。

 ブラウスの前はいつのまにかはだけられ、ブラジャーの間から巧の指が潜り込み、探りあてた芙由子の乳首を弄んでいる。

 もう一方の手はこたつの中に入り込み、芙由子のスカートをまくり上げ、汗で湿った股間をまさぐっていた。

 すべてが初めての経験に、芙由子は震え、喘ぎ、受け入れた。

 唇で唇をふさがれるのも初めてなら、舌を吸われるのも初めてだった。

 頭の芯がぼうっとなり、何も考えられなくなってくる。

 心の片隅で比奈に悪いという意識が働いたが、津波のように押し寄せる快感の前にはそれも無力だった。

 いつしか芙由子はこたつから出て、下着姿でカーペットの上に仰向けに横たえられていた。

 恥ずかしくなかったといえば、ウソになる。

 だが、巧の愛撫がその羞恥心を打ち消した。

 下着を割って入ってくる指に敏感な部分を弄られ、芙由子は何度も何度も痙攣した。

 ショーツがみっともないほど濡れ、内腿にまで生温かい体液が広がるのがわかった。

 ただひとつ、不思議なのは、巧が服を脱がないことだった。

 巧はセーターにジーンズという最初と同じ姿のまま、裸にした芙由子を愛撫し続けている。

「きれいな身体だ」

 芙由子が絶頂に達し、すすり泣くような声を立てて身をよじると、波打つ下腹を撫でさすりながら巧が言った。

「僕でよければいつでも」

 芙由子の耳元に口を当てて、小声でささやいた。

「いつでも慰めてあげますから」

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