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#20 強要
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「な、なめる…? そ、そんなこと、できません」
芙由子は目に涙を溜め、懸命に首を振った。
「馬鹿野郎」
低い声で男が言い、芙由子の脇腹を蹴りつけた。
「う」
傷みのあまり前かがみになった芙由子のうなじに足を乗せると、ぐいと踏みつける。
畳に顔を押しつけられ、口の中に塩辛い液体が入ってきた。
「今、自分で綺麗にするって言ったばかりじゃないか。それに、そいつはおまえのちびったションベンだろう? 自分で出したものを舐められないはずがない。そうじゃないか?」
尿の海に頬をひたしたまま、芙由子は身体を震わせて泣き出した。
「早くしろよ」
その尻を、男が蹴った。
白いショーツに包まれた、桃のように丸い尻である。
が、ショーツの股間の部分は、漏れた尿で黄色く変色してしまっている。
「パパア、パパア」
子どもの声がしたのは、その時だ。
隣の部屋で、翔太が男を呼んでいるのだ。
「ちゃんとやっとけよ。後で身に来るからな。もし綺麗になってなかったら」
傍らにしゃがみ込むと、男が芙由子の右の乳房に横からナイフを当てた。
ブラジャーを切られたせいで、乳房は無防備に垂れ下がっている。
男の言う通り、地味な外見からは想像もつかないほど、豊かな乳房である。
「あう」
芙由子は顔を歪めた。
男が、その脇乳に、いきなりナイフでバツ印をつけたのだ。
「こんなもんじゃ済まないぞ。その時はバラバラにしてやるからな」
仕方なかった。
芙由子は両手をついて上体を少し浮かせると、目をつぶって濡れた畳に舌を伸ばした。
苦い味が、口の中いっぱいに広がり、アンモニアの刺激臭で鼻の奥が痛くなる。
「ほうら、やればできるじゃんかよ」
男が嗤い、部屋を出て行った。
それからしばらくの間、犬のような姿勢で床を這いまわり、芙由子は己の漏らした尿を舐めとるのに専念した。
髪の毛も顔も手も、生温かい尿でべたべたになった。
人間としての尊厳も何もなかった。
犬や猫以下のレベルに、芙由子は堕ちていた。
嫌で嫌でたまらなかったが、いつのまにか感覚が麻痺してしまったようだった。
ただひたすら、男のナイフが怖かった。
妻も共謀するなら、殺されてもおかしくない。
そう思うと、とても逃げ出す気にはなれなかった。
そうして、どれほど時間が経ったのか。
大方舐め終えて綺麗になった畳の上に横座りになり、ふと部屋の中を見渡すと、押し入れのふすまがほの少し、開いていた。
闇の中に、一対の眼が光っている。
もしや…。
すぐにピンときて、芙由子は小声で話しかけた。
「あなた、比奈ちゃんじゃない?」
芙由子は目に涙を溜め、懸命に首を振った。
「馬鹿野郎」
低い声で男が言い、芙由子の脇腹を蹴りつけた。
「う」
傷みのあまり前かがみになった芙由子のうなじに足を乗せると、ぐいと踏みつける。
畳に顔を押しつけられ、口の中に塩辛い液体が入ってきた。
「今、自分で綺麗にするって言ったばかりじゃないか。それに、そいつはおまえのちびったションベンだろう? 自分で出したものを舐められないはずがない。そうじゃないか?」
尿の海に頬をひたしたまま、芙由子は身体を震わせて泣き出した。
「早くしろよ」
その尻を、男が蹴った。
白いショーツに包まれた、桃のように丸い尻である。
が、ショーツの股間の部分は、漏れた尿で黄色く変色してしまっている。
「パパア、パパア」
子どもの声がしたのは、その時だ。
隣の部屋で、翔太が男を呼んでいるのだ。
「ちゃんとやっとけよ。後で身に来るからな。もし綺麗になってなかったら」
傍らにしゃがみ込むと、男が芙由子の右の乳房に横からナイフを当てた。
ブラジャーを切られたせいで、乳房は無防備に垂れ下がっている。
男の言う通り、地味な外見からは想像もつかないほど、豊かな乳房である。
「あう」
芙由子は顔を歪めた。
男が、その脇乳に、いきなりナイフでバツ印をつけたのだ。
「こんなもんじゃ済まないぞ。その時はバラバラにしてやるからな」
仕方なかった。
芙由子は両手をついて上体を少し浮かせると、目をつぶって濡れた畳に舌を伸ばした。
苦い味が、口の中いっぱいに広がり、アンモニアの刺激臭で鼻の奥が痛くなる。
「ほうら、やればできるじゃんかよ」
男が嗤い、部屋を出て行った。
それからしばらくの間、犬のような姿勢で床を這いまわり、芙由子は己の漏らした尿を舐めとるのに専念した。
髪の毛も顔も手も、生温かい尿でべたべたになった。
人間としての尊厳も何もなかった。
犬や猫以下のレベルに、芙由子は堕ちていた。
嫌で嫌でたまらなかったが、いつのまにか感覚が麻痺してしまったようだった。
ただひたすら、男のナイフが怖かった。
妻も共謀するなら、殺されてもおかしくない。
そう思うと、とても逃げ出す気にはなれなかった。
そうして、どれほど時間が経ったのか。
大方舐め終えて綺麗になった畳の上に横座りになり、ふと部屋の中を見渡すと、押し入れのふすまがほの少し、開いていた。
闇の中に、一対の眼が光っている。
もしや…。
すぐにピンときて、芙由子は小声で話しかけた。
「あなた、比奈ちゃんじゃない?」
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