臓物少女

戸影絵麻

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♯102 再起は茨の道⑥

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「このリストはなんですか?」
 パソコンを覗き込む笹原刑事の眉間に縦皺が刻まれた。
「まさかこれを警察に用意しろと?」
 心底嫌そうなその視線は、次にPCを操作する明に向けられた。
「これも人肉厨房撲滅のためです。あなたたちも、紗英の正体はわかったでしょう。これらは彼女の能力を最大限引き出すための必須アイテムなのです」
 明の熱弁に、
「彼女の正体…。ああ、あれね」
 笹原刑事は表情を曇らせた。
 このマンションの住まいには、各部屋に監視カメラが取り付けられている。
 だから明と紗英の間で何が起こったかということも、当然警察に筒抜けなのだ。
「確かに彼女はバイオノイドだった。しかも、かなり衝撃的な姿をした…。でも、大丈夫かな。これ、全部、アダルトグッズでしょ? まだ若い紗英ちゃんの身体に、本当にこんなもの、使うつもりなの?」
「ペニスノイドの攻撃に耐えるには、かなりの慣れが必要です」
 明は力説した。
 これまでのコミュ障ぶりが嘘のような弁舌のさわやかさだった。
「あの巨大チンポのピストン運動に打ち勝つには、どんな性的なテクニックにも耐える耐久力を身につけなければなりません」
「今度の相手がとても、その、性的だってことはわかるけど…。でも、それなら、まだ人間のトレーナーをつけてあげたほうが…。例えば、そういうことに長けているAV男優とか、いわゆるその道のプロフェッショナルに…」
「それが、無理なんです」
 明は自信満々にかぶりを振った。
「何かの拍子に彼女が変身してしまった場合を考えてみてください。その姿を見た男は、誰もその記憶にトラウマを刻みこまれ、半永久的なインポテンツに陥ってしまうのです。先日の僕が、そうであったように…」
「うーん、あなたの場合は、勃起不全からの立ち直りは早かったけど、その後の早漏ぶりが酷かったわね」
「早漏って言うな!」
 明の目に涙が光った。
「とにかく、彼女と正面から向き合って、このトレーニングをやり遂げられるのは、バディである僕しかいないのです。だからお願いです。警察のお金で、どうかこれらのグッズをご購入ください!」
「こんなもの、公費で落とせるのかな…」
 自信なさげな笹原刑事を力づけるために、明は更に言い募った。
「紗英ちゃんの特訓が終わったら、杏里さんがもらい受けて使えばいいじゃないですか。きっと素敵なオナ…」
「だまれ変態」
 明のうなじを踏みつけたのは、部屋から出てきた紗英だった。
「そもそも、ド変態のくせに、きさまが早漏過ぎるのが悪いんだろ? この、チンポは立つけど役には立たない速射砲的二次元クズ野郎!」
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