臓物少女

戸影絵麻

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#47 四天王 その一⑩

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 階段を折り切ると、クリスタル広場は盾を装備した機動隊員たちに囲まれていた。
「偏執的犯罪対策室の笹原です」
 隊長らしき男性に近づくと、スーツのポケットから警察手帳を取り出して見せ、笹原刑事が言った。
「すでに県警本部から連絡が行ってると思いますが、この先はお任せください」
「は、はあ、承っております」
 敬礼を返しながらも、ゴーグルから覗く隊長の目には戸惑いの色が浮かんでいる。
 無理もない。
 お任せくださいも何も、うら若き女刑事の後ろにいるのは、レオタードの上に上着を羽織っただけの紗英と、防毒マスクだけが物々しい、貧相な若者、明のふたりだけなのである。
「あんたにも仕事を上げる。後ろに回って、あたしの尻尾を持ってて」
 形のいい尻をつんと突き出して、明に向かい、紗英が言った。
「あ? ああ?」
 完全無視に慣れていた明は、急に話しかけられて危うく失禁しそうになった。
「い、いいの?」
「いざという時、両手を自由にしておきたいから」
 明のほうを見もせずに、紗英が続けた。
「合図したら、それを思いっきり引っ張るの。いいわね?」
「わ、わかった」
 どぎまぎしながら、紗英の背後に回り込む。
 上着の裾から頭を出した悪魔の尻尾そっくりの紗英の謎の器官に、おそるおそる手を伸ばす。
 スペード型の先端部分の首根っこあたりを両手で握ると、爬虫類の肌のようにすべすべでひんやりと冷たかった。
 機動隊隊員の間をすり抜けるようにして、明を後ろに従え、紗英が前に出る。
「こちらが合図したら、上からの命令通り、地下街の照明の類いを、すべて消してください」
 紗英にうなずいてみせると、長身の隊長を振り仰ぎ、笹原刑事が言った。
「ケーッケッケッッケッ!」
 その声をかき消すように轟きわたる怪人の哄笑。
 あえてキャラを立たせようというのか、尻ノイドだけに笑い声も「ケツ」オンリーだ。
 紗英に引っ張られるようにして機動隊員の盾の列の前に出た明は、眼前に広がる光景にオエッと思わずえずいていた。
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