気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#205 【TVドラマ部門】 十角館の殺人

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 言わずと知れた綾辻行人のデビュー作。
 新本格のムーブメントの先駆けになった傑作であり、現在も続く『館シリーズ』の第1作です。
 アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に挑戦したこのトリック、その性質からして映像化はまず無理だろうと思われていましたが、いやはや、まったくもって上手く処理したものです。
 かつて、乾くるみの『イニシエーション・ラブ』が映画化された時、あの叙述トリックをどう料理するんだろう、と危惧していたら、ものの見事にひっくり返された事案と似てますね。

 あらすじはこんなふう。(Wikipediaより一部引用)

1986年3月26日、大分県K**大学・推理小説研究会の一行は、角島(つのじま)と呼ばれる無人の孤島を訪れた。彼らの目当ては、半年前に凄惨な四重殺人事件が発生して焼け落ちた「青屋敷跡」と、奇抜な十角形のデザインをした「十角館」と呼ばれる建物で、島に唯一残っている十角館で、彼らは1週間の合宿を過ごそうというのだ。
一方その頃、本土では、研究会や事件関係者に宛てて、かつて会員であった中村千織の事故死について告発する「怪文書」が送りつけられていた。怪文書を受け取った1人である江南孝明は、中村千織の唯一の肉親である中村紅次郎を訪ねる。そこで、紅次郎の大学時代の後輩である島田潔と出会った江南は、一緒に事件の真相を探ろうと調査を開始し、ミス研メンバーの守須恭一に話を聞く。
 一方、角島に渡ったミス研のメンバーたちは、十角館で謎の殺人者に一人ずつ殺されていき、1週間後には全員死亡という憂き目に遭うのだが…。

 ドラマは5話構成。アガサ役の長濱ねると、島田潔(探偵役)の青木崇高以外は、ほとんど知らない役者さん。
 そんなこともあり、1~3話はわりと退屈ではあるのですが、犯人がわかる4話から急加速。
 トリックだけはぼんやりと記憶にあったものの、改めて映像で見せられ、ああ、こんなやり方があったんだ、と感心。しかも、最終話では犯人の内面に焦点が当てられ、小説では味わうことがなかった哀しさ、切なさが前面に。
 
 こうなると、気になるのが第二作。
 製作は決まったそうですが、『館シリーズ』のどれになるかの発表はまだありません。
 個人的には『時計館の殺人』『暗黒館の殺人』あたりを推したいところですが、さて、どうなりますことやら。
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