気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
204 / 211

#200 もう少しひねりが利いていたら… ~アングリースクワット 公務員と七人の詐欺師~

しおりを挟む
『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の作品。
 元は韓国ドラマだった模様。

【あらすじ】
 税務署に務める小心者の公務員・熊沢二郎(内野聖陽)は。ある日、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)の手による詐欺に引っかかり、車の購入代金をだまし取られてしまう。親友の刑事の助けで氷室を突きとめた熊沢だったが、逆に氷室から「おじさんが追ってる脱税王(小澤征悦)を詐欺にかけ、脱税した10億円を徴収してあげる。だから見逃して」と更に大規模な詐欺を持ちかけられる。最初は断る熊沢だったが、かつて、例の脱税王を追及したせいで税務署を首になり自殺した同期の復讐のために、氷室と手を組むことを決意。タッグを組んだ2人はクセ者ぞろいのアウトロー達(どんな役にもなれる元役者、強靭な肉体の当たり屋、特殊な偽造のプロ、母と娘の闇金親子)とチームを組み、詐欺師集団《アングリースクワッド》を結成。脱税王から大金を騙し取るべく、所有者に成りすまして土地を売る地面師詐欺の計画を練り上げ、壮大な税金徴収ミッションに挑むが・・・。

 テンポよく楽しめる良作。まず、主人公の内野聖陽の冴えない中年公務員が抜群にいい。テレビドラマ『ブラックペアン』のシリーズでは学長役でふんぞり返っていた印象の強い強面のオッサンが、ここでは打って変わって情けなく、そこがとにかくリアルで面白いのだ。正義感の強い勝気な部下の川栄李奈とのやりとりがまた、非常に楽しい。
 ただ、後半の詐欺トリックのところまでくると、いくつか「?」と思う点が。
 この仕掛けを成功させるには、前もって商談の場にある”装置”を設置する必要があるのだけど、その肝心の場所がどこなのかはっきりわからない。相手の会社なのか、詐欺物件の豪邸の中なのか、詐欺師側が用意した事務所なのか…。それをちゃんと教えてくれないと、なぜ前日の夜中にあれを設置できたのか、腑に落ちないのだ。
 そしてクライマックスの場面と続くわけなのだけれど、これも『コンフィデンスマンJP』などを過去に見ていれば、「ふ~ん、やっぱり」と思うレベル。
 この前見た『あの人が消えた』に比べると、ずいぶんゆるい脚本と言わざるを得ない、というのが正直なところ。

 でもまあ、内野さんのなりきり公務員を見るためだけに足を運んだとしても、決して損ではないと思います。

 
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...