気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#199 異色のフランス発ホラー ~動物界~

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 上映館が少ないせいもあり、席はかなり埋まってましたね。
 ホラーと書いたものの、この作品が本当にそう呼べるのかどうか、自信はありません。
 SFといえばそうですが、しかしそこまで設定に科学的・論理的な説明があるわけでもなし…。
 ともあれ、あらすじは以下の通り。

 近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していく謎の感染症に見舞われていた。
 感染者は”新生物”と呼ばれ、その凶暴性ゆえに施設で隔離されており、主人公フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。
 フランソワは 16 歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める。最初は自身の肉体の変化に拒否反応を示すエミールだったが、空を飛ぼうと森の奥で飛行訓練を繰り返す鳥人間フィクスらとの出会いなどを経て、その心も徐々に新生物に適応していく…。

 人間が動物になる。
 ハリウッドならもっとド派手なゾンビものになるかもしれないし、ディズニーなら、可愛らしい3Dアニメになるかもしれないこの設定ですが、本編はさすがフランス映画というか、ごく地味に淡々と進行していきます。
 中盤からのストーリー展開は、たとえるなら漫画版『デビルマン』のデーモン狩りのゆるいバージョンといったところでしょうか。
 動物化する奇病に冒された人々を排除する側、共生を訴える側、どちらの面も描かれますが、結果的に”新生物”たちは、人間たちによって森へと追い詰められていきます。
 ただ、息子のエミールの獣人化にあたり、最後に父親のフランソワの取った行動がこの映画を妙に明るいものにしていて、そのあたりのヒューマンさが口コミで広まり、けっこうな集客になっているのかと思った次第。

 個人的には、序盤にショッピングモールで暴れたタコ人間みたいなのを主人公にして、梅図かずお版『ウルトラマン』のバルタン星人の回のように、気色悪くその苦悩を掘り下げてほしかったです。
 エミールが変身するのが狼系の動物というのは、少しありふれ過ぎているような気がするし、それならそれで、いっそのこと『ウルフガイ』の方向へ話を進めるという手もあったのでは。
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