気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#188 地元民ならではの違和感 ~朽ちないサクラ~

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「孤狼の血」シリーズの柚月裕子による警察小説を杉咲花の主演で映画化。
 杉咲演じる愛知県警の広報職員が、親友の変死事件の謎を独自に調査する中で、事件の真相に迫っていく。

【あらすじ】
愛知県平井市在住の女子大生が、度重なるストーカー被害の末、神社の長男に殺害される。その裏で、平井中央署生活安全課が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにし、その間に慰安旅行に行っていたことを地元の地方新聞が独占スクープ。県警広報広聴課勤務の森口泉(杉咲花)は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事にしたのではないかと疑い、問い詰めると、千佳は身の潔白を証明すると言い残して去り、その1週間後に変死体で発見される。自分が疑ったから千佳は何者かに殺されたに違いない―。自責の念に突き動かされた泉は、親友の死の真相を探るために調査を開始するが、その過程でカルト宗教団体にかかわる公安の闇に突きあたる…。

【感想】
 抑えに抑えた杉咲花の演技がいい。『法廷遊戯』の時のサイコパスより断然こっちのほうが似合っている。
 黒目の異様に大きなあの目の中でその大きな眼球が動く時の緊迫感といい、あの不思議な声で淡々としゃべるその優しさのにじむ口調といい…。
 映画としては、前半の引きは素晴らしく、映像美と音楽も相まって、かなりワクワクしながら前のめりで見ることができる。
 ただ、中盤、宗教団体と公安が絡んでくるあたりから既視感ありありで失速。
 特に、ネタにされているのがあのオウム真理教の地下鉄サリン事件なので、現実の事件のすさまじさを知っていると、映像がどうも作り物っぽく見えてしまい、高揚感が冷めるのは否めない。
 更に違和感を感じたのが、愛知県警の描き方。
 事件の舞台は豊橋か蒲郡をモデルにした架空の町なのだが、本来名古屋市にあるはずの愛知県警が三河地方にあるとしか思えない描かれ方で、地元民としては???が最後まで消えず。

 とはいえ、役者さんたちはみんな素晴らしく、愛知県民以外の方にはおすすめの映画かもしれません。

『ディア・ファミリー』もそうだけど、最近、愛知県が出てくる作品が多いね。
 映画ではないけど、東野圭吾の小説『白鳥とコウモリ』もそうだった。

 
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