189 / 211
#185 1回見ただけじゃわからない…ですよね? ~オッペンハイマー~
しおりを挟む
言わずと知れたアカデミー賞7冠の、クリストファー・ノーラン監督作品です。
【あらすじ】
第二次世界大戦下のアメリカ。
極秘に立ち上げられたプロジェクト“マンハッタン計画”に参加したJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、優秀な科学者たちを率いて世界初の原子爆弾を開発する。
しかし、原爆が実戦で投下され、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩。
その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく……。
【感想】
とにかく、登場人物が多い。
さらに言えば、さすが「TENET」や「メメント」の監督だけあり、構成が複雑。
なので、1回見ただけでは、いろいろわからない部分があったな、というのが正直なところでした。
筆者が特別アホなのかな、と思いましたが、あちこちで同様の意見を聞くにあたり、納得した次第。
そもそも、映画は2つのパートを交互に語る形式で進みます。
かたや、物理学者オッペンハイマーが、共産主義者との関連を疑われ、聴聞会で尋問を受けるパート。
もう一方は、彼と対立する米国原子力局長官ストローズが、商務長官の承認公聴会で聴聞されるパート。
前者がカラーで後者がモノクロなため、後者が過去の出来事かというとそうではなく、そのように思い込んで見ると混乱します。
結局、オッペンハイマーは公職を追放され、ストローズは商務長官に承認されずに終わるのですが、その二つの公聴会の合間に、ニューメキシコ州に建設されたマンハッタン計画用の極秘施設、ロスアラモス研究所で原爆が開発されるさまなどが描写されます。
日本での公開が遅れた理由が様々に喧伝されていましたが、
原爆実験が成功した時の関係者たちの喜びよう、
広島・長崎に原爆が落とされた時の米国一般大衆の熱狂ぶり。
確かにこのあたりの描写にはかなりな違和感を覚えます。
そこに被爆者たちの姿を重ねて想像するオッペンハイマー以外は、誰一人として原爆投下を悪として見ていない。
そんな印象を受けてしまいます。
(むろん、アインシュタインをはじめとする一部の科学者などは別なのですが)
広島、長崎の惨状を描写しなかったのは手落ちだという批判もわからないではないけれど、これはあくまで一人の天才物理学者の伝記なので、彼が内面でそれを痛いほど悟っている以上、その必要はないのかもしれません。
通して強烈なインパクトを与えてくれるのは、主人公の愛人と妻。
このふたりの女性の生きざまというか性格というか。
それがこの難解な映画に並々ならぬ推進力を与えているような気がしたのは、筆者だけでしょうか。
【あらすじ】
第二次世界大戦下のアメリカ。
極秘に立ち上げられたプロジェクト“マンハッタン計画”に参加したJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、優秀な科学者たちを率いて世界初の原子爆弾を開発する。
しかし、原爆が実戦で投下され、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩。
その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく……。
【感想】
とにかく、登場人物が多い。
さらに言えば、さすが「TENET」や「メメント」の監督だけあり、構成が複雑。
なので、1回見ただけでは、いろいろわからない部分があったな、というのが正直なところでした。
筆者が特別アホなのかな、と思いましたが、あちこちで同様の意見を聞くにあたり、納得した次第。
そもそも、映画は2つのパートを交互に語る形式で進みます。
かたや、物理学者オッペンハイマーが、共産主義者との関連を疑われ、聴聞会で尋問を受けるパート。
もう一方は、彼と対立する米国原子力局長官ストローズが、商務長官の承認公聴会で聴聞されるパート。
前者がカラーで後者がモノクロなため、後者が過去の出来事かというとそうではなく、そのように思い込んで見ると混乱します。
結局、オッペンハイマーは公職を追放され、ストローズは商務長官に承認されずに終わるのですが、その二つの公聴会の合間に、ニューメキシコ州に建設されたマンハッタン計画用の極秘施設、ロスアラモス研究所で原爆が開発されるさまなどが描写されます。
日本での公開が遅れた理由が様々に喧伝されていましたが、
原爆実験が成功した時の関係者たちの喜びよう、
広島・長崎に原爆が落とされた時の米国一般大衆の熱狂ぶり。
確かにこのあたりの描写にはかなりな違和感を覚えます。
そこに被爆者たちの姿を重ねて想像するオッペンハイマー以外は、誰一人として原爆投下を悪として見ていない。
そんな印象を受けてしまいます。
(むろん、アインシュタインをはじめとする一部の科学者などは別なのですが)
広島、長崎の惨状を描写しなかったのは手落ちだという批判もわからないではないけれど、これはあくまで一人の天才物理学者の伝記なので、彼が内面でそれを痛いほど悟っている以上、その必要はないのかもしれません。
通して強烈なインパクトを与えてくれるのは、主人公の愛人と妻。
このふたりの女性の生きざまというか性格というか。
それがこの難解な映画に並々ならぬ推進力を与えているような気がしたのは、筆者だけでしょうか。
1
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる