気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#183 色々クソヤバい! ~デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション【前章】~

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 浅野いにおの原作のアニメ映画化で、2部作の前章。
 Wヒロインの小山門出をYOASOBIのボーカル、ikura(幾田りら)、中川凰蘭を『鯨の骨』でも好演したミュージシャン?のあのが演じることでも話題になりました。
 ちなみに作中作の『いそべやん』の主人公デベ子の声は先日逝去されたTARAKOさん。

【あらすじ】
3年前の8月31日、突如として東京都に巨大な空飛ぶ円盤、通称「母艦」が襲来。
そこから出撃した「侵略者」の攻撃によって多くの死者が出るが、アメリカ軍の攻撃によって母艦は渋谷区の上空で停止。母艦から出撃する侵略者の宇宙船も迎撃された。
 上空には巨大な母艦が常に浮遊し、時折自衛隊と侵略者との戦闘が行われることが日常となった東京で、人類が終了する日が間近に迫っているとは夢にも思わず、小山門出は中川凰蘭ら親友たちと共に青春を謳歌していた。じわじわと不穏になる日常生活の中、次第にふたりの抱える秘密も明らかになっていく…。

 映像作品による原作の改変が問題になっている昨今、この映画も原作との違いがいくつか見受けられます。
(エピソードのカット、時系列の入れ替え、ストーリー展開の単純化など)
 ただ、作者が制作に参加しているだけあって、鑑賞後の印象は、
 よくぞここまでやってくれました!
 というもの。
 浅野いにおの細部までこだわり抜いた作画がよりリアルに映像化され、そこに音や動きが加わるわけですから、その迫力は尋常ではありません。
 そして驚くべきは幾田りら、あのによるヒロインたちの再現度。
 特に後者、あのちゃんのおんたん(中川凰蘭)は予想以上のはまり役というか、高校生・大学生パートの傍若無人なサブカルゲームオタクキャラと、小学生パートの内気で人見知りする覚醒前キャラの演じ分けなど、おそろしく芸達者なところをみせてくれます。
 おんたんの台詞は無茶苦茶過激で読み手の好悪が最も分かれる部分ですが、あのちゃんの例のしゃべり方だとそれが上手い具合にソフィスティケートされ、非常に聴きやすくなっているのも利点でしょう。

 得体のしれぬコアなファンが中心かと思われた客層も、年配の夫婦から若いカップルまで幅広く、それがちょっと新鮮な感じではありました。
 ただ、同じアニメでも、この全体を覆うダークなイメージ・世界観、しっかりSFした難解さは、コナンやドラえもんと違って、万人受けはしない(つまり大ヒットはしない)だろうな、と少し残念に思った次第です。
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