気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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♯179 土門拳の写真みたいな的昭和の香りがまたいい ~ゴジラ-1.0 モノクロ版~

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『ゴジラ-1.0/C』』は本編のモノクロ版です。

『シン・ゴジラ』ものちにモノクロ版が公開されましたが、時代設定が近いこともあり、初代ゴジラ感はこちらのほうが断然上でしょう。

 陰影の濃い白黒の画像はカラーの時よりリアリティが増し、登場人物の表情も良い。

 神木隆之介は男前に見えるし、浜辺美波も美人度が薄れ、ほどよい感じ。

 音楽の迫力も増したような気がするのは筆者の気のせいでしょうか。あるいは座席の位置のせいか。

 1か月ぶりに見てみて、改めてよくできた作品だなと思いました。

 ストーリーがシンプルな分、構成にも演出にも無駄がなく、登場人物たちも生き生きと描かれている。

 『永遠の0』の反歌としてのテーマも明確です。

 どうしてもゴジラ映画に見えないのは、この人間パートの出来が良すぎるためでしょう。

 ただ、今回特に気になったのは、最後の神木隆之介のゴジラへの特攻、そして脱出の後のシーン。

 爆殺されたゴジラの映像の後、作戦にかかわった人たちが順番に敬礼する場面が描かれるのですが、問題はその対象が海に沈んでいくゴジラのように見えること。

 金子修介監督の『怪獣総進撃』の時のゴジラのように、その正体が”太平洋戦争で死んだ人々の怨念”とかだったらまだわかるのですが、このマイナスワンのゴジラには、特にそのような設定はありません。単に海から現れた凶暴な超巨大生物に過ぎないことになっていて、いかなる神格化もなされていないのです。

 つまり人間がゴジラに敬礼する意味はないわけで、ゴジラでないとすると、その対象は強いて言えばパラシュートで降りてくるヒーロー敷島(神木隆之介)か、それまでにゴジラの犠牲になった人々のどちらか、ということになるのですけど、その割にはそれに類する演出がないためこの敬礼シーンだけ妙に唐突感がある…。

 もしかしたら「ドラクエ」のラストみたいな山崎監督独自の先走りが出てしまったのか、という気がしないでもないのですが、はたして真相はいかがなものでしょうか。

 それからもう一つ。
 一部で上がっていた『大石典子ゴジラ細胞再生説』の根拠となったラストシーンの浜辺美波の首筋の黒い痣。
  
 確かにありましたね。

 彼女が本当にゴジラ細胞のおかげで生き残ったのだとしたら、続編ではゴジラ人間が誕生して、東京中がゴジラ人間だらけになる、というホラー展開になるのでしょうか。
 それはそれで面白そうだけど、そういうのはなんか、別の作品でやってほしい気もします。
 
 
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