178 / 211
♯174 『シン・ゴジラ』を超えた? ~ゴジラ マイナスワン~
しおりを挟む
【あらすじ】
1945年、太平洋戦争末期ー。
特攻隊の一員として飛び立った敷島浩一(神木隆之介)。
だが、特攻する決心がつかず大戸島にある修理用飛行場に着陸する。と、その夜、島に恐竜のような生物、ゴジラが出現。
恐怖に駆られた敷島は戦闘機の機銃でゴジラを攻撃することができず、その結果、整備士たちがほぼ全員ゴジラに殺されてしまう。
終戦後、敷島が帰郷すると、東京はすでに焼け野原で両親も死んでいた。
近所に住む太田澄子(安藤サクラ)は、おめおめ生き残って帰ってきた敷島に子供たちを失った怒りをぶつける。
そんなある日、絶望と後悔の念にとらわれた敷島の家に、身寄りのない典子(浜辺美波)と赤ん坊が転げ込む。
ふたりのためにもと、海中機雷撤去の仕事を始める敷島。
仕事のメンバーは元軍人で船長の秋津(佐々木蔵之介)、手伝いの水島(山田裕貴)、学者の野田(吉岡秀隆)の三人。
木造りの船に乗り、機雷を見つけては爆発させる作業を続ける4人の前に、アメリカの水爆実験の影響で巨大化したゴジラが現れる。東京に侵攻し、破壊の限りを尽くすゴジラ。ゴジラのせいで典子を失った敷島は、野田や秋津たちとともに民間のゴジラ駆除組織の一員となり、”自分の中の戦争”を終わらせる決意を固めるのだがー。
【感想】
あらすじでもお分かりかと思いますが、まず、怪獣映画にしては人間ドラマのパートが異様にしっかりしています。神木隆之介、浜辺美波、吉岡秀隆といった芸達者の演技が素晴らしく、まるでNHKのスペシャルドラマでも見ているみたい。ここがまずハリウッドのモンスターバースとの大きな違いでしょう。また、終始国家政治家官僚側の視点で描かれ、登場人物への感情移入を拒否するかのようだった『シン・ゴジラ』との差別化でもあります。だからかもしれませんが、見終わった後の感想は、「これって本当にゴジラ映画なのか?」というものでした。
以前、このコラムで「怪獣映画に人間ドラマはいらん!」と豪語した筆者ですが、「いや、これはアリだな」と感心しました。時代設定とぴったり合ってるし、平成ゴジラシリーズのように「とりあえず人間の側の話もつけときました」的いい加減さはない。
そうかといって、肝心のゴジラの描き方がいい加減というわけでは決してありません。
大迫力のままここまで動くゴジラもすごいし、何よりも熱戦放射の描写のすさまじさ。
カウントダウンのように光る背びれが立ち上がり、
発射後きのこ雲が立ち上るほどの自身の熱戦の威力に、ゴジラ自身が焼けただれてしまう。
攻撃を受けると傷を負いはするものの、その場ですぐに再生する生物感もよい感じでした。
その謎の巨大生物に立ち向かうのが、終戦当時の日本に残っていた兵器だけというのもいいですよね。
ラスト近くの船の結集シーンは『シン・ゴジラ』の電車爆弾へのオマージュでしょうか。
『ドラクエ』で世間を幻滅の底に突き落とした山崎監督でしたが、『三丁目の夕日』『永遠の0』の頃の勢いを取り戻した感のある傑作でした。
BGMも伊福部昭のアレだったし、個人的にはもう、文句のつけようがない。
考えてみれば、泣けるゴジラ映画って、初めてのような気がします。
ゴジラに論理で迫っていった『シン・ゴジラ』とはまた別の意味で、怪獣映画のひとつの金字塔が生まれたのではないかと思います。
ちなみにゴジラ自体の造形は、かなりゴツくなっていますが、体はミレニアムゴジ、顔はビオゴジって印象です。
1945年、太平洋戦争末期ー。
特攻隊の一員として飛び立った敷島浩一(神木隆之介)。
だが、特攻する決心がつかず大戸島にある修理用飛行場に着陸する。と、その夜、島に恐竜のような生物、ゴジラが出現。
恐怖に駆られた敷島は戦闘機の機銃でゴジラを攻撃することができず、その結果、整備士たちがほぼ全員ゴジラに殺されてしまう。
終戦後、敷島が帰郷すると、東京はすでに焼け野原で両親も死んでいた。
近所に住む太田澄子(安藤サクラ)は、おめおめ生き残って帰ってきた敷島に子供たちを失った怒りをぶつける。
そんなある日、絶望と後悔の念にとらわれた敷島の家に、身寄りのない典子(浜辺美波)と赤ん坊が転げ込む。
ふたりのためにもと、海中機雷撤去の仕事を始める敷島。
仕事のメンバーは元軍人で船長の秋津(佐々木蔵之介)、手伝いの水島(山田裕貴)、学者の野田(吉岡秀隆)の三人。
木造りの船に乗り、機雷を見つけては爆発させる作業を続ける4人の前に、アメリカの水爆実験の影響で巨大化したゴジラが現れる。東京に侵攻し、破壊の限りを尽くすゴジラ。ゴジラのせいで典子を失った敷島は、野田や秋津たちとともに民間のゴジラ駆除組織の一員となり、”自分の中の戦争”を終わらせる決意を固めるのだがー。
【感想】
あらすじでもお分かりかと思いますが、まず、怪獣映画にしては人間ドラマのパートが異様にしっかりしています。神木隆之介、浜辺美波、吉岡秀隆といった芸達者の演技が素晴らしく、まるでNHKのスペシャルドラマでも見ているみたい。ここがまずハリウッドのモンスターバースとの大きな違いでしょう。また、終始国家政治家官僚側の視点で描かれ、登場人物への感情移入を拒否するかのようだった『シン・ゴジラ』との差別化でもあります。だからかもしれませんが、見終わった後の感想は、「これって本当にゴジラ映画なのか?」というものでした。
以前、このコラムで「怪獣映画に人間ドラマはいらん!」と豪語した筆者ですが、「いや、これはアリだな」と感心しました。時代設定とぴったり合ってるし、平成ゴジラシリーズのように「とりあえず人間の側の話もつけときました」的いい加減さはない。
そうかといって、肝心のゴジラの描き方がいい加減というわけでは決してありません。
大迫力のままここまで動くゴジラもすごいし、何よりも熱戦放射の描写のすさまじさ。
カウントダウンのように光る背びれが立ち上がり、
発射後きのこ雲が立ち上るほどの自身の熱戦の威力に、ゴジラ自身が焼けただれてしまう。
攻撃を受けると傷を負いはするものの、その場ですぐに再生する生物感もよい感じでした。
その謎の巨大生物に立ち向かうのが、終戦当時の日本に残っていた兵器だけというのもいいですよね。
ラスト近くの船の結集シーンは『シン・ゴジラ』の電車爆弾へのオマージュでしょうか。
『ドラクエ』で世間を幻滅の底に突き落とした山崎監督でしたが、『三丁目の夕日』『永遠の0』の頃の勢いを取り戻した感のある傑作でした。
BGMも伊福部昭のアレだったし、個人的にはもう、文句のつけようがない。
考えてみれば、泣けるゴジラ映画って、初めてのような気がします。
ゴジラに論理で迫っていった『シン・ゴジラ』とはまた別の意味で、怪獣映画のひとつの金字塔が生まれたのではないかと思います。
ちなみにゴジラ自体の造形は、かなりゴツくなっていますが、体はミレニアムゴジ、顔はビオゴジって印象です。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる