気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#163 80歳越えてなおホラー ~ダークグラス~

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 大人気のコナン新作や、滝沢歌舞伎ライブビューイング目当ての人々で溢れ返るシネコンで、
 
 こっそり観て来ましたよ。ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント10年ぶりの新作『ダークグラス』。

 あらすじはこんなふう。

『ローマで娼婦ばかりを狙った連続猟奇殺人事件が発生。その4人目のターゲットにされたコールガールのディアナもまた殺人鬼によって車を衝突させられ大事故に遭い、両眼の視力を失ってしまう。同じ事故で両親を亡くした少年チンとの間に絆が生まれ、一緒に暮らすことになるが、サイコパスの殺人鬼はその後もしつこくディアナたちを殺害しようとつけ狙う。(宣伝用チラシより引用)

 オープニングの音楽にまずワクワクさせられます。
 『サスペリア』『フェノミナ』のゴブリンのサウンドを彷彿とさせるあの感じ。いいねえ。
 更に冒頭の日食のシーン。よからぬことが起こりそうな予感がビシバシ伝わってきます。
 こりゃ、さぞかしルナティックな殺人者が出るぞ~と期待したくなること請け合いです。

 ただ、正直、手放しで喜べるのはこのあたりまで。
 80歳を過ぎてこらえ性がなくなったのか、開幕早々隠す気もなく早速犯人をばらしてしまうアルジェント。
 主役のディアナは情熱的なイタリア人女性らしく終始抜群のスタイルとセクシーな衣装で頑張ってくれてはいるものの、『サスペリア』や『フェノミナ』の美少女ヒロインに慣れた目にはその骨張った顏がどうしてもエジプト人のタレント、フィフィに見えてしまい、相棒の中国人少年のチン(この名前もなんとかならなかったのか)の無個性性と合わせて感情移入しにくいことおびただしい。
 
 更に後半の森の中の逃亡劇は画面が暗くてよく見えず、しかも湿地帯でふたりが突然どこから見てもうなぎにしか見えない水ヘビの大群に襲われるなど意味不明な展開をはさみ、殺人鬼との一騎打ちの場面では、毎度お馴染みの動物に助けられるというオチになだれ込み・・・。
(しかし盲導犬が殺人鬼を食い殺すというのはちょっとやりすぎのような・・・。よほど腹が減っていたのか・・・)

 脚本の段階で、ご老体に誰かもう少しアドバイスしてやれなかったのかとかなり残念な後味の悪さでありました。
 同じ盲目の女性が殺人鬼に追いかけられるという設定の映画ならば、以前見た吉岡里帆主演の『見えない目撃者』のほうが、ストーリーは数倍面白かったです。(確かこっちは韓国映画のリメイクだったと思いますが)

 さて、この『ダークグラス』から学べる教訓はこれ。

 「たとえ思っても、安易に他人のことを『臭い』と言っちゃダメ』。


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