気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
162 / 211

#159 凄いものを見てしまった・・・ ~仕掛人 藤枝梅安~

しおりを挟む
 TVドラマ『必殺シリーズ』でおなじみの仕掛人梅安。

 今回は豊川悦司主演でのリニューアルです。

 昔、小説も何冊か読んだのに、今回映画を見て、え、こんな話だったのかとびっくり。

【あらすじ】

 鍼医者の表の顏と仕掛人の裏の顔を持つ藤枝梅安。

 相棒は楊枝職人の彦次郎。

 ある時、元締めからとある有名料亭の女将を始末する仕事を請け負った梅安は、ターゲットの女をひと目見て驚愕する。それは幼い頃生き別れた妹のお吉だったのだ。
 かたや彦次郎は、別の元締めからの浪人殺しの依頼を引き受けるが、その浪人を調べるうちに、彼が元主人の藩主の暴虐から娘を救い出し、逃亡中の身の上であることを知るー。

【感想】

 いやはや、久しぶりに本物のドラマを見せてもらった気分です。
 複雑ながら筋の通った瑕瑾のないストーリー。
 本格時代劇らしい暗いトーンの落ち着いた画像が、重厚なドラマにぴったりです。
 豊川悦司の梅安は、テレビシリーズの第一作で緒形拳が演じたどこかおちゃめな梅安とは違い、終始淡々とした大人の雰囲気を漂わせています。
 彦次郎との関係性も、テレビシリーズのように掟だなんだと格式張ったモノではなく、互いに料理をごちそうし合ったり、「今夜は泊っていきなよ」と相手をいたわったりと、なんともいえずほのぼのとしていていい感じ。
 それでいて二人が背負う過去はあまりに陰惨で、時折挟まれる梅安の子供の頃のエピソードなどは、あの『砂の器』を見ているようで涙なしには見られません。
 おなじみの鍼を使った殺しの場面も、テレビ版と似ているようで違うのは、これはいかにも殺してるなと思わせる緊迫感のある刺し方。耳になじんだあのBGMはむろんありませんが、ああでもやっぱりこれは間違いなく仕掛人なんだと妙に納得してしまいます。
 梅安が実の妹を手にかけるラストシーンは本当に感涙もの。
 2部作なので、続編では梅安たちが命を救った例の剣術使いの若者が仲間になりそうです。

 ドラマ性といい、エンタメ性といい、芸術性といい、
 まさにどこにも文句のつけようのない至高の一品とでもいいましょうか。


 なんか、アニメに押されてこういう良作の上映会数が減らされるのは納得がいきませんが、とりあえず、4月公開の続編が楽しみです。
 
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...