気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#155 見る人を選びすぎる映画~MADGOD(マッドゴッド)~

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『すずめの戸締り』『スラムダンク』『アバタ―2』と、人気作がそろい踏みの今日この頃。

 何もこんなの見なくてもいいじゃないかと思われること請け合いの作品を観て来ましたよ。

 その名も『マッドゴッド』。

『スター・ウォーズ』や『ロボコップ』シリーズなどの特殊効果を手がけたフィル・ティペット監督が、構想から30年かけてストップモーションで作り上げたというダークファンタジー。

 このラインナップの中、こんなの見る人いないだろうと思ってたら、けっこうお客さんが入っていてびっくり。

 それも奇人変人の集団などではなく、若い女性の二人連れやらカップルやら、みんな普通の人でした。

 あらすじ(というものがあるとすれば)はこんな具合。

 第一次世界大戦のドイツ兵みたいな恰好をした主人公アサシンが、ラストマンから託されたある使命を帯びて地獄のような地下世界に降りる。そこにひしめくのは異形のクリーチャーたち。アサシンは地下世界爆発をもくろむが、怪物に襲われ失敗した挙句、拉致された先で医師と看護師に腹を裂かれて赤ん坊?を取り出されてしまう。アサシンの腹から取り出された謎の生き物は『スウィート・ホーム』のラスボスあるいは『未来世紀ブラジル』の炎の騎士に何となく似ている化け物”アルケミスト”の手に渡り、アルケミストはそれを金の粉に変え、異空間に撒くことでビッグバンを起こし、世界を滅ぼし、再生するー。

 と、以上は、他のサイトなどを参考に自分なりにまとめてみたストーリーですが、正直、何を言ってるのか皆目わかりません(笑)。

 なんせ、台詞が一切なく、説明もゼロなので、映像の行間を読みまくるしかないのです。

 グロに徹したクリーチャー造形には好感が持てるし、『サイレントヒル』っぽい雰囲気も悪くない。

 バトルのないRPGみたいなダンジョンめぐりも面白い。

 惜しむらくは、排せつや糞尿にこだわる描写は数あれど、官能的な部分が圧倒的に少ないこと。

 監督がおじいちゃんだからなのか、クリーチャー造形や世界観にエロスの要素が欠けているのです。

 一か所だけ関節球体人形の少女のオナニーシーンがありましたが、ああいう背徳的な描写がもっとあればなあ。

 
 どのレビューを見ても、寝落ちした人の抗議の声が渦巻いているこの『マッドゴッド』。

「万人受けする日本のアニメなんて、俺は死んでも見ねえぜ」という方に、強くおすすめします。
 

 

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