気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#149 【ドラマ部門】 アストリッドとラファエル 文書係の事件録

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 ついこの間、地上波でシーズン1が終わったフランス発のミステリ・ドラマです。
 正直、今年のドラマの中で、これが最高峰だと思うのですが、ご覧になった方、いかがでしょうか。

 あらすじをウィキより引用させていただくと、こんなふう。

 パリ警視庁の警視ラファエルは、とある事件に関して犯罪資料局に資料請求したことで、局の文書係アストリッドと出会う。アストリッドは自閉症であり、対人関係に困難を抱えていたが、犯罪学の知識に基づいた推理に卓越した資質を見せたため、ラファエルは犯罪学者として捜査協力を依頼する。正反対の2人だったが、バディとして様々な事件の捜査にあたるうちに、徐々にお互いを理解し信頼し合い、無二の親友となっていく。

 何と言っても、ヒロインの一人、アストリッドの造形が素晴らしい。
 引用をもう少し続けさせていただくと、

アストリッド・ニールセン
演 - サラ・モーテンセン、日本語吹替:貫地谷しほり

パリ犯罪資料局の文書係。自閉スペクトラム症当事者で、学校や精神科病院の体験がトラウマとなり、社会生活を心配した父によって文書資料室に居場所を得ている。犯罪資料を読み込むことで犯罪学の知識を身につけており、年限を過ぎ破棄された資料の内容も記憶していて、優れた洞察力でラファエルの力となり、自立した人間としての自信をつけていく。古今東西のパズルに精通し(ルービックキューブを数秒で解いてしまう)、怪事件・難事件もパズルに見立て間違いの無い解決にこだわる。亡くなった父の影響でピアノで弾かれたヨハン・ゼバスティアン・バッハ作品を愛聴している。

 自身の自閉症と向き合いながら事件捜査を経るごとに成長していくアストリッドを、役者さんが目の動き、指先の動きまで、本当に見事に演じています。
 吹き替えの貫地谷しほりもはまり役。
 最終話で父の死を告げられるシーン。
 周囲が「自閉症患者だから無反応だろう」みたいな態度をとるなか、懸命に悲しみをこらえるアストリッド。
 実に泣ける演技でしたね。
 ミステリとしても本格的であり、来年5月から始まる第2シーズンが楽しみです。
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