気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#144 可愛いロボットのロードムービー ~TANG~

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 多部未華子のデビュー作『ヒノキオ』が、ヒノキでつくったロボットをモチーフにしたジュブナイルSF(?)でしたが、この『TANG』もロボットもの。

 主演はその多部未華子とドラマ『マイファミリー』で共演していた二宮和也。
 
 ロボットはすべてCGで撮影したとのことですが、さすがにCGの進歩にはめざましいものがあります。

 とにかく、ポンコツロボットTANGの動きの自然で可愛らしいことといったら!

 ストーリーはこんなふう。

 父親の死を境に仕事に自信を無くして研修医をやめ、現在は弁護士の妻・絵美(満島ひかり)に食わせてもらっているニートの健(二宮和也)。

 妻に愛想を尽かされた健は家を追い出された挙句、庭に迷い込んでいたポンコツロボットTANGと、なぜかTANGを直す旅に出るはめに陥ります。

 手がかりを追って福岡、中国のシンセンとめぐるうちに、ケンはTANGが自立した意志を持つ第3世代のAIの萌芽を秘めたシステムを備えていることに気づきます。

 やがてふたりはTANGを作った科学者・馬場(武田鉄矢)の住む宮古島にたどり着くのですが・・・。

 
 さて、以下はあくまでも私の個人的な感想です。(何を今更。いつもそうだけど)

 ロードムービーだけあって、風景はどこも美しいです。

 特に『ブレードランナー』を更に派手にしたような夜のシンセン、自然豊かな陽光の下の宮古島、見ていて飽きません。

 メインのTANGは可愛いし、内容も、人間とロボットの間に生まれた絆、一人の男の成長物語、過酷な運命から逃げ出したロボットのけなげな一人旅の様子など、そうした映画が好みの方にはこれでもう十分なのかもしれませんが・・・。


 う~ん、もう少し、背景をしっかり描けなかったものか。

 ラスボスが武田鉄矢だし、老人とタイマンで戦って二宮が勝つのは当然だろ?

 TANGの過去に軍需産業が関わっているのなら、回想シーンにもっとシビアな描写があってよさそうなものなのに、(前述の『ヒノキオ』のほうがまだそれっぽかった)そこはなぜかアニメーションみたいな描き方だったり・・・。

 あるいはこれは、令和のファミリー層をターゲットにして作ったらこうなるという例なのでしょうか。

 可愛いものが好きな方にはお薦めの映画ということと、最後のmiletのテーマソングはよかったですよ。

 


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