気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#129 誰に対する忖度なのか? ~日本版 CUBE~

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 かつてのカルト的名作を日本版に置き替えた新作です。

 といっても、オリジナルは見ていないので、比較はできないのですが・・・。



 目覚めたら、立方体型の部屋に閉じ込められていた男女。

 部屋はパズルのように他の部屋に繋がっており、ところどころ、危険なトラップが仕掛けられている。

 主人公たちは、トラップのある部屋の見分け方に気づき、後半ではついに出口を見つける手がかりを得、脱出を試みるが・・・。

 というお話。

 鑑賞後思ったのは、なんとも中途半端な映画だということ。

 人間味を加味するためか、主人公が妙に鬱っぽい過去を抱えていて、それがまず鬱陶しい。

 更にそれを下敷きにした主人公と最年少の少年の感情の推移がなんだかとても唐突で、この短時間で普通そうはならんだろう、という感じ。

 そんなことに時間を割くならば、もっと部屋の位置を特定するための座標の算出の仕方、部屋ごとのトラップの性格の分析など、ロジカルな部分への説明が欲しかったと思います。

 そのあたりがずいぶんサラっと過ぎていってしまうので、サスペンスが盛り上がらないというか、ただのショッカーな演出のオンパレードで終わってしまっている。

 人間味のある主人公の造形とか、俳優(この場合は菅田将暉)に忖度してるんでしょうかね。

 ちなみに、オリジナルにないという日本版独自のラストシーンは、ちょっとよかったです。

 この人にはこの役、向いてるな、と思いました。
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