気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#102 キネマ生命体? ~今夜、ロマンス劇場で~

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 宣言中、地上波で割と最近の映画を放映してくれるようになったのは、不幸中の幸いというか。

 で、今回もこの間TVでノーカット放送された邦画の「今夜、ロマンス劇場で」をご紹介。

 ウィキのあらすじは短いですね。

 こんな具合です。

 映画監督を志す健司は通い詰めた映画館「ロマンス劇場」で憧れのモノクロ映画のヒロイン、美雪と出会う。健司はモノクロの姿のまま現れた美雪に色とりどりの現実の世界を案内するうちに2人は惹かれあっていく。しかし、美雪は人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密を抱えていた。

  綾瀬はるかと坂口健太郎の共演作です。坂口健太郎というのは、『イノセンス~冤罪弁護士~」の主役の人。
 あと、この作品、加藤剛の最後の出演作でもあるそうです。

 あらすじでもお分かりの通り、これは、現実世界に出てきた映画のお姫様とさえない青年が恋に落ちるという、どこかで聞いたようなプロットのファンタジーなのですが、「どうせヒロインは元の映画の世界に帰ることになり、悲恋で終わるんじゃ?」という大方の予想を裏切るストーリー展開はなかなか見事でした。アニメなら、「触れても消えなくて済む方法」を探すなどという展開もありそうなのですが、この映画はその方法も取りません。「触れないまま、人生が終わるまで添い遂げていく」という、最も我慢強い手段を主人公に選ばせ、感動のハピーエンドに持っていくのです。

 ただ、ヒロインが芸達者で凛々しい綾瀬はるかだからよかったものの、他の女優だったらこうはいかなかったのではないかというのが正直なところ。

 そもそも、映画の中から出てきたヒロイン美雪というのが、どういう存在なのかがわからない。主人公に触れられないほかは、ちゃんと食事もするし他人の目にも見えるし、ほぼ人間です。かと思うと、放っておけば年も取らないし不老不死っぽい。彼女は自分が何者かわかっているらしく、「私はぬくもりに触れると消えてしまうのだ」などと告白したりする。
 宇宙人? 妖精? 人工生命体? 
 なんかその根本の部分が引っかかって、今ひとつ乗り切れなかったことは事実です。
 でも、そうした細かい設定にこだわらない方には、おすすめの一本ではないかと思います。
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