気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
104 / 191

#101 最近のトレンド? ~スリービルボード~

しおりを挟む
 GWに見たDVDの最後は『スリービルボード』。
 2017年の映画で、色々な賞を取っていますから、ご存知の方も多いのでは?

 あらすじはこんな感じ。ウィキのが長すぎるので、さわりだけご紹介。

舞台は架空の田舎町であるミズーリ州エビング。 アンジェラ・ヘイズという名前のティーンエイジャーがレイプされた後に焼かれて殺害されるという凄惨な事件が発生した。それから7ヶ月が経過した後も、母親のミルドレッド・ヘイズは娘を奪われた悲しみから立ち直れずにいた。女手一つで育ててきた娘の死は何よりも耐え難いものであった。しかし、時が経つにつれて、ミルドレッドは犯人の手掛かりを何一つ発見できない警察に不信感を抱くようになった。それはやがて警察への怒りへと変化していった。そこで、ミルドレッドは町はずれの道路沿いの殺害現場に立つ3枚の広告板(スリー・ビルボード)を借り受け、そこに「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」というメッセージを張り出した。 

 この後、物語は大方の観客の予想を超えて、意外なほう、意外なほうへと転がっていくのですが、ひと言でいうなら、これは、”ずらしの技法”ではないかと思います。

 たとえば、悪いやつに見えたキャラが、実はいいやつだったみたいな…。

 そんな”ずらしの技法”を各所にちりばめているせいで、地味な物語が輝いて見えるのです。

 この映画でも、前半、とんでもなく嫌なやつだったキャラクターが、ひょんなことから後半改心(?)して、主人公の唯一の相棒になったりします。

 『パラサイト』もそうでしたが、最近、脚光を浴びる作品にはそうした工夫を凝らしたものが多い気がします。

 というわけで、飽きさせない展開の面白い映画でしたが、欲を言えば、ラストだけは単純な”娘の敵討ち”にしてほしかったと思います。

 リアルな映画が好きな方はこのラストでいいと言われるかもしれないけど、これではカタルシスがありません。
しおりを挟む

処理中です...