気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#98 崇高さすら漂うB級ホラーアクション? ~片腕マシンガール~

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 その後続編とか亜流とか色々出ていますが、この『片腕マシンガール』は今もカルト的人気を誇る作品です。

 日活の制作ですが、日米合作とのことで(どこが?)、業界では洋画扱いになっているそうです。

 あらすじはこんなふう。


忍者服部半蔵の子孫であるというヤクザの息子、木村翔をリーダーとするいじめグループによって弟である日向ユウを殺された女子高生日向アミが復讐に挑む。 

弟の殺害を隠そうとした翔の舎弟とその両親に復讐を果たすなどいじめグループを追いつめて行くアミであったが、いわゆるモンスターペアレンツと呼ばれるいじめグループメンバーの両親に左腕を天ぷら油で揚げられ火傷を負い、その上、忍びこんだ屋敷で木村の両親に捕まり拷問をうけ左腕を失ってしまう。アミは同様にいじめによって息子を失った若い自動車修理工の夫婦である、杉原スグル、ミキ夫妻に助けられ、ミキはスグルが作り上げた多銃身のマシンガンを受け取り、アミの左腕に装着する。襲ってくる忍者たちによって、スグルは殺されるが、ミキとアミはマシンガンとチェーンソーをかかえて再び復讐に立ち上がる。 

 モチーフはほとんどゲームのお姉チャンバラ。
 主人公アミの武器は切断された腕に装着したごついマシンガン(最後はチェーンソーに変わる)とハイキック。
 あらすじでもお分かりのように、さすがに低予算ムービーだけあって、ストーリーもアレだし、売りのスプラッタ描写も血糊の量こそハンパないですが、しょせんお化け屋敷の演出の域を出ていません。
 でもそれがここまで熱いのは、ひとえに主演の八代みなせの、キャラと相反するその愛くるしいルックスとすさまじいばかりの眼力にあると言えるでしょう。
 この人、どうもグラドルらしいのですが、パンチラシーンは一応あるにはあるものの必要最小限、サービスはせいぜいブラチラ程度といった感じなのですが、その熱演に引き込まれて退屈せずに最後まで見てしまいます。特にラスボス(ヤンキー上がりの極道の妻)の、ドリルブラ(なぜかこの人、そういう武器を装着している)にやられるシーンは必見。妙にぞわぞわすること請け合いです。

 その後撮られた亜流作品や続編がイマイチ話題にならないのは、たぶん、この八代みなせが出ていないせいでしょう。

 登場人物全員頭がおかしく、時々予想外の方向に話が脱線するこの監督のセンス、なかなかいいと思います。
 
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