気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#94 祝・日本アカデミー賞受賞 ~新聞記者~

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 昨年、数々の妨害を受けながらも口コミで評判を広めた社会派映画が、なんと日本アカデミー賞に。
 最優秀主演男優賞が松坂桃李、最優秀主演女優賞もシム・ウンギョンが取るなど、話題になりましたね。
 これも本家のアカデミー賞を社会派?韓国映画『パラサイト』が受賞した影響でしょうか。
 今見て思うのは、加計学園問題や伊藤詩織さん事件がまだ生々しく世間の記憶に残っていた当時にこの作品が公開されたというのは、やはり衝撃的な出来事だったのではないかということ。新型コロナウィルス一色の現時点で鑑賞するより、これはやはり昨年見ておくべきだったな、と痛感しました。

 ウィキによるあらすじを抜粋すると、こんなふうです。

 ジャーナリストの父親が誤報のために自殺した東都新聞社会部の若手女性記者・吉岡エリカは、総理大臣官邸における記者会見でただ1人鋭い質問を繰り返し、官邸への遠慮が蔓延する記者クラブの中で厄介者扱いされ、社内でも異端視されていた。 
 そんなある日、吉岡は上司の陣野から大学新設計画に関する調査を任される。極秘情報が記された匿名のファックスが社会部に届いたためだ。彼女が調査を進めた結果、内閣府の神崎という人物が浮上してくるが、その矢先、神崎は自殺してしまう・・・。

 主人公の吉岡記者を演じるのは、韓国の俳優、シム・ウンギョン。このキャラクターが、原作(というかモデル)の望月記者とまるで雰囲気が違い、望月記者がいかにもチャキチャキしたやり手のキャリアウーマンという印象であるのに対し、妙に地味めで面白いです。淡々としているように見えて、喜怒哀楽を表現すべきところでは微妙な表情を見せる、そんな抑えた演技が映画全体のムードにぴったり合っていたように思います。また、悪役の田中哲司はさすが嫌な役が上手い役者さんだなと感心した次第。
 内閣調査室内部のモノトーンに近い描き方が、なんとなく『未来世紀ブラジル』の超管理社会 を連想させるなあ、と思ったのは私だけでしょうか。
 ただ、最終的に「生物兵器」が絡んでくるのはちょっとやり過ぎでは?という気も。この手の作品の場合、一気に作り物めいて見えてしまう。それから、あの曖昧なラストシーン。『万引き家族』もそうだったけど、ああいう含みを持たせる、観客の想像に任せる終わらせ方ってのは、ちょっとなあ・・・。
 個人的にはいいならいい、駄目ならダメとスッキリしてほしかったです。

 
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