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#83 ここ10年で一番感動した映画 ~クラウドアトラス~
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この『クラウドアトラス』は、2010年以降に見た映画の中で、個人的に最も心に刺さった作品です。
ですが、アメリカでも評価は低く、日本でもほとんど話題に上りませんでした。
その最たる理由は、グランドホテル形式なる、6つのストーリーを複雑に絡めながら同時進行させていく手法でしょうか。
私はそこが斬新で面白かったのに、公開当時、あちらの専門家たちには「わかりにくい」とかなり酷評されていたようです。
なんせストーリーが6つもあるので、上映時間も長く、3時間強あるかと思われます。
出演は、トム・ハンクス、ハル・ベリー、ペ・ドゥナ、ヒュー・グラント他。
輪廻転生の物語なので、それぞれの俳優がひとり十役ぐらいで出ているという、『ウォ―リーを探せ』的な楽しみ方もできます。
監督は、『マトリックス』の姉妹プラスもうひとり。
さすがに自力でまとめるのは大変すぎるので、すみません、あらすじはまたウィキからの抜粋で。
(ただ、見てみようかなという方は、ぜひこれは読まずにすぐ視聴されることをお勧めします。)
【あらすじ】※少々ネタバレあり
①波乱に満ちた航海の物語
1849年、米国の弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)は南洋で奴隷貿易の契約を終え、医師グース(ハンクス)と共に帰国の航海につく。その船の中で、密航していた脱走奴隷オトゥア(デヴィッド・ジャーシー)に出会い、一度は断るも、懇願されて助ける。その後、ユーイングは船に積まれた契約金を狙うグースに毒を盛られ、殺されかけていたところをオトゥアに救われる…。
②幻の名曲の誕生秘話
その82年後の1931年、音楽を志す英国の青年フロビシャー(ベン・ウィショー)は、往年の大作曲家エアズ(ジム・ブロードベント)の下で採譜係として雇われる。彼はユーイングの航海日記を愛読しながら自分の交響曲を作曲していたが、曲と自分の自由を奪おうとしたエアズを銃で撃ってしまったため逃亡生活を送ることになる。フロビシャーは『クラウド・アトラス六重奏』を完成させた後、手紙を書き続けていた恋人シックススミス(ジェームズ・ダーシー)に遺書を残すが…。
③巨大企業の陰謀
その42年後の1973年、シックススミスは米国で物理学者となり、フックス(ヒュー・グラント)らが進める原子力発電所計画に従事していた。シックススミスは原発の欠陥を告発するためにジャーナリストのルイサ・レイ(ハル・ベリー)に報告書を託そうとするが、原発事故を望む石油マネーが雇った殺し屋ビル(ウィービング)に射殺される。報告書とユーイングの手紙を手にしたルイサも命を狙われるが、やがて巨大な陰謀が明らかになり…。
④ある編集者の大脱走
その39年後の2012年の英国。編集者カヴェンディッシュ(ブロードベント)の手元には新人作家の原稿、『ルイサ・レイ事件』がある。作家ダーモット(ハンクス)は目の敵にしていた批評家をパーティの最中に殺害して時の人となり、ダーモットの出版元であったカベンディッシュは大儲けするが、ダーモットの舎弟たちに恐喝され富裕な兄デニー(グラント)に助けを求める。カヴェンディッシュはデニーに騙され収容所同然の老人介護施設に入所させられてしまうが、入居者仲間と計画を立て、脱走を図る…。
⑤伝説のクローン少女と革命
その132年後の2144年。統一政府を戴く未来社会では、遺伝子操作で作られた合成人間(複製種)たちが人間(純血種)に支配され、労働力として酷使されていた。ネオソウルで給仕係をしていた複製種ソンミ451(ペ)は、あるとき純血種の映画(『カヴェンディッシュの大脱走』)を見て自分の境遇に疑問を抱く。その後ソンミは革命家チャン(スタージェス)に救出され、この世界の恐るべき秘密を知ってしまう…。
⑥崩壊した地球での戦い
その177年後の2321年。文明の崩壊した地球。ある島では島民たちは凶悪な人食い族に怯えながら、女神ソンミを崇め、素朴な生活を送っていた。島の住民ザックリー(ハンクス)は彼の心の闇の部分であるオールド・ジョージー(ウィービング)に悩まされ続けており村でも孤立していた。ある日、「昔の人」の技術を持つプレシエント族の女性メロニム(ベリー)が、人々が恐れる「悪魔の山」へのガイドを探して村にやってくる。ザックリーは過去の様々な魂の記憶を夢に見て巫女アベス(サランドン)から三つの啓示を賜る。最初の啓示によってメロニムと共に人喰い族から逃れたたザックリーは、姪の命を救ってもらう代りにガイドを引き受けるが、果たして彼女の真の目的は…。
とまあ、こんなふうに、あらすじだけでも大変な文字数に…。
泣けるのは、①②⑤(特に、同性愛者の若き音楽家の栄光と挫折を描いた②は、とても美しくそして切ない。)
ハルベリー主演の③がサスペンスで、④がコメディ。
物語全体を俯瞰する⑥は、遠未来を舞台にしたSFとなっています。
各ストーリーに明確なつながりがあるわけではなく、それぞれは微妙なゆるさでリンクしていきます。
その6つのエピソードを、プロローグとエピローグでひとつにまとめる、というメタ形式。
私的には、『空気人形』『グエムル』などで活躍したペ・ドゥナ主演の近未来ディストピアSFの⑤が最も衝撃的でした。給仕係用クローン人間に過ぎなかった彼女が残酷な世界の秘密を知り、”女神”へと変貌していくその過程を、ペ・ドゥナが実に繊細に演じ切っていたように思います。
なお、繰り返し呪文のように出てくるのが、「世の中には序列がある。序列を守らないと、人は不幸になる」というフレーズ。
現代の格差社会を髣髴とさせるその絶望的な状況に、各時代の主人公たちが色々な方法で立ち向かっていきます。
映画全編を通して流れる『クラウドアトラス6重奏』の美しく壮大なメロディとともに、何度見ても私はそこに感動してしまうのですが…。
私の中では『砂の器』と並ぶ珠玉の作品なのですけど、一緒に見に行った人は、「そこまで言うか?」と半ば呆れ気味でしたので、人間の主観というものは不思議なものです。
ですが、アメリカでも評価は低く、日本でもほとんど話題に上りませんでした。
その最たる理由は、グランドホテル形式なる、6つのストーリーを複雑に絡めながら同時進行させていく手法でしょうか。
私はそこが斬新で面白かったのに、公開当時、あちらの専門家たちには「わかりにくい」とかなり酷評されていたようです。
なんせストーリーが6つもあるので、上映時間も長く、3時間強あるかと思われます。
出演は、トム・ハンクス、ハル・ベリー、ペ・ドゥナ、ヒュー・グラント他。
輪廻転生の物語なので、それぞれの俳優がひとり十役ぐらいで出ているという、『ウォ―リーを探せ』的な楽しみ方もできます。
監督は、『マトリックス』の姉妹プラスもうひとり。
さすがに自力でまとめるのは大変すぎるので、すみません、あらすじはまたウィキからの抜粋で。
(ただ、見てみようかなという方は、ぜひこれは読まずにすぐ視聴されることをお勧めします。)
【あらすじ】※少々ネタバレあり
①波乱に満ちた航海の物語
1849年、米国の弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)は南洋で奴隷貿易の契約を終え、医師グース(ハンクス)と共に帰国の航海につく。その船の中で、密航していた脱走奴隷オトゥア(デヴィッド・ジャーシー)に出会い、一度は断るも、懇願されて助ける。その後、ユーイングは船に積まれた契約金を狙うグースに毒を盛られ、殺されかけていたところをオトゥアに救われる…。
②幻の名曲の誕生秘話
その82年後の1931年、音楽を志す英国の青年フロビシャー(ベン・ウィショー)は、往年の大作曲家エアズ(ジム・ブロードベント)の下で採譜係として雇われる。彼はユーイングの航海日記を愛読しながら自分の交響曲を作曲していたが、曲と自分の自由を奪おうとしたエアズを銃で撃ってしまったため逃亡生活を送ることになる。フロビシャーは『クラウド・アトラス六重奏』を完成させた後、手紙を書き続けていた恋人シックススミス(ジェームズ・ダーシー)に遺書を残すが…。
③巨大企業の陰謀
その42年後の1973年、シックススミスは米国で物理学者となり、フックス(ヒュー・グラント)らが進める原子力発電所計画に従事していた。シックススミスは原発の欠陥を告発するためにジャーナリストのルイサ・レイ(ハル・ベリー)に報告書を託そうとするが、原発事故を望む石油マネーが雇った殺し屋ビル(ウィービング)に射殺される。報告書とユーイングの手紙を手にしたルイサも命を狙われるが、やがて巨大な陰謀が明らかになり…。
④ある編集者の大脱走
その39年後の2012年の英国。編集者カヴェンディッシュ(ブロードベント)の手元には新人作家の原稿、『ルイサ・レイ事件』がある。作家ダーモット(ハンクス)は目の敵にしていた批評家をパーティの最中に殺害して時の人となり、ダーモットの出版元であったカベンディッシュは大儲けするが、ダーモットの舎弟たちに恐喝され富裕な兄デニー(グラント)に助けを求める。カヴェンディッシュはデニーに騙され収容所同然の老人介護施設に入所させられてしまうが、入居者仲間と計画を立て、脱走を図る…。
⑤伝説のクローン少女と革命
その132年後の2144年。統一政府を戴く未来社会では、遺伝子操作で作られた合成人間(複製種)たちが人間(純血種)に支配され、労働力として酷使されていた。ネオソウルで給仕係をしていた複製種ソンミ451(ペ)は、あるとき純血種の映画(『カヴェンディッシュの大脱走』)を見て自分の境遇に疑問を抱く。その後ソンミは革命家チャン(スタージェス)に救出され、この世界の恐るべき秘密を知ってしまう…。
⑥崩壊した地球での戦い
その177年後の2321年。文明の崩壊した地球。ある島では島民たちは凶悪な人食い族に怯えながら、女神ソンミを崇め、素朴な生活を送っていた。島の住民ザックリー(ハンクス)は彼の心の闇の部分であるオールド・ジョージー(ウィービング)に悩まされ続けており村でも孤立していた。ある日、「昔の人」の技術を持つプレシエント族の女性メロニム(ベリー)が、人々が恐れる「悪魔の山」へのガイドを探して村にやってくる。ザックリーは過去の様々な魂の記憶を夢に見て巫女アベス(サランドン)から三つの啓示を賜る。最初の啓示によってメロニムと共に人喰い族から逃れたたザックリーは、姪の命を救ってもらう代りにガイドを引き受けるが、果たして彼女の真の目的は…。
とまあ、こんなふうに、あらすじだけでも大変な文字数に…。
泣けるのは、①②⑤(特に、同性愛者の若き音楽家の栄光と挫折を描いた②は、とても美しくそして切ない。)
ハルベリー主演の③がサスペンスで、④がコメディ。
物語全体を俯瞰する⑥は、遠未来を舞台にしたSFとなっています。
各ストーリーに明確なつながりがあるわけではなく、それぞれは微妙なゆるさでリンクしていきます。
その6つのエピソードを、プロローグとエピローグでひとつにまとめる、というメタ形式。
私的には、『空気人形』『グエムル』などで活躍したペ・ドゥナ主演の近未来ディストピアSFの⑤が最も衝撃的でした。給仕係用クローン人間に過ぎなかった彼女が残酷な世界の秘密を知り、”女神”へと変貌していくその過程を、ペ・ドゥナが実に繊細に演じ切っていたように思います。
なお、繰り返し呪文のように出てくるのが、「世の中には序列がある。序列を守らないと、人は不幸になる」というフレーズ。
現代の格差社会を髣髴とさせるその絶望的な状況に、各時代の主人公たちが色々な方法で立ち向かっていきます。
映画全編を通して流れる『クラウドアトラス6重奏』の美しく壮大なメロディとともに、何度見ても私はそこに感動してしまうのですが…。
私の中では『砂の器』と並ぶ珠玉の作品なのですけど、一緒に見に行った人は、「そこまで言うか?」と半ば呆れ気味でしたので、人間の主観というものは不思議なものです。
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