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#66 これの何がいけないんですか? ~天気の子~
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やっと観て来ました、『天気の子』。
『アルキメデスの大戦』と『ドラクエ』も気になるけど、旬なうちにということで。
結論から言えば、『君の名は』よりも面白かったです。違和感も少なかった。
理由はおそらく、『君の名は』で感じた、「これで相手のことを好きになるなんてことがあるだろうか」という疑問を抱かずに済んだこと。
『君の名は』の主人公2人の出会いは”身体が入れ替わる”という明らかに性的な要素が前面に押し出されたものであり、そこでの興味はまず異性の肉体に行くだろう。そこからプラトニックラブに持ち込むのはどうよ?と、前回も書いたようにまあそんなことを考えざるを得なかったのですが、この『天気の子』はそれに比べればまっとうすぎるほどのボーイミーツガール・ラブストーリー。
すでに多くの方がご覧になっていると思うので、あらすじの紹介などは省き、巷で批判されている部分に私なりの感想を述べておきたいと思います。
批判的な意見で多いのはだいたい次の3つでしょうか。
①主人公の家出の背景も描かれず、共感できない。
②主人公が始終うじうじしており、そのくせやることが無茶苦茶。
③本田翼の”声優”ぶりがひどい。
①に関しては、「息が詰まりそうだから家出した」という彼の独白で、もう十分説明されているように思う。思春期の少年が家出するのに、別に「母親と喧嘩した」とか「人を殺した」とか、そんな具体的な理由を後付けする方が不自然でしょう。
②についていえば、見知らぬ都会に単身出てきたばかりで、社会的な足場もない彼に、では他に何ができたというのか? 好きな女の子のために一生懸命走り回るのがなぜいけない? むしろ素直で少し気弱ないい子だと思ったけど。低評価レビューを読む限りでは、頭の悪い粗暴なやつという印象でしたが、そんなことは全然なかった。
ナツミの胸の谷間に見入ってからかわれるシーンが2回出てきますが、これなんかも男子高校生なら「あるある」という感じでしょう。
③これは見ていただけばわかりますが、本田翼の『ナツミ』は、全く問題ないです。下手に起伏の激しいアニメ声優特有のキンキン声よりよほど共感できる。声の演技も役柄にぴったりだったし。こういう批判って、ただそのタレントのアンチが騒いでるだけなんですかね。
その他、個人的に良かった点。
雨のリアルさに比して、晴れるシーンの美しいこと。まさに感動的。それを見るだけで泣けてきます。
行き場のない主人公たち3人がラブホテルに避難して、豪華な?設備にはしゃぐシーン。
「この時間が永遠に続けばいいのに」という彼の独白は、モラトリアムの時期終了を目前にした時、オトナなら誰もが一度は感じたことではないでしょうか。
「設定自体に無理がある」という声に対しては、それをいうならファンタジーは見ちゃいけない、と返すしかありません。これはハードSFではないのですから。
話題の音楽に関しては、私としては『海獣の子供』や『ペンギンハイウェイ』のほうがよかったな。ただ、出し惜しみしないのがこの監督の強みか。
ともあれ、観ようかどうしようかお迷いの方は、どうぞ安心して見に行ってください。いい映画だと思います。
日本のアニメの復興のためにも、ぜひ。
『アルキメデスの大戦』と『ドラクエ』も気になるけど、旬なうちにということで。
結論から言えば、『君の名は』よりも面白かったです。違和感も少なかった。
理由はおそらく、『君の名は』で感じた、「これで相手のことを好きになるなんてことがあるだろうか」という疑問を抱かずに済んだこと。
『君の名は』の主人公2人の出会いは”身体が入れ替わる”という明らかに性的な要素が前面に押し出されたものであり、そこでの興味はまず異性の肉体に行くだろう。そこからプラトニックラブに持ち込むのはどうよ?と、前回も書いたようにまあそんなことを考えざるを得なかったのですが、この『天気の子』はそれに比べればまっとうすぎるほどのボーイミーツガール・ラブストーリー。
すでに多くの方がご覧になっていると思うので、あらすじの紹介などは省き、巷で批判されている部分に私なりの感想を述べておきたいと思います。
批判的な意見で多いのはだいたい次の3つでしょうか。
①主人公の家出の背景も描かれず、共感できない。
②主人公が始終うじうじしており、そのくせやることが無茶苦茶。
③本田翼の”声優”ぶりがひどい。
①に関しては、「息が詰まりそうだから家出した」という彼の独白で、もう十分説明されているように思う。思春期の少年が家出するのに、別に「母親と喧嘩した」とか「人を殺した」とか、そんな具体的な理由を後付けする方が不自然でしょう。
②についていえば、見知らぬ都会に単身出てきたばかりで、社会的な足場もない彼に、では他に何ができたというのか? 好きな女の子のために一生懸命走り回るのがなぜいけない? むしろ素直で少し気弱ないい子だと思ったけど。低評価レビューを読む限りでは、頭の悪い粗暴なやつという印象でしたが、そんなことは全然なかった。
ナツミの胸の谷間に見入ってからかわれるシーンが2回出てきますが、これなんかも男子高校生なら「あるある」という感じでしょう。
③これは見ていただけばわかりますが、本田翼の『ナツミ』は、全く問題ないです。下手に起伏の激しいアニメ声優特有のキンキン声よりよほど共感できる。声の演技も役柄にぴったりだったし。こういう批判って、ただそのタレントのアンチが騒いでるだけなんですかね。
その他、個人的に良かった点。
雨のリアルさに比して、晴れるシーンの美しいこと。まさに感動的。それを見るだけで泣けてきます。
行き場のない主人公たち3人がラブホテルに避難して、豪華な?設備にはしゃぐシーン。
「この時間が永遠に続けばいいのに」という彼の独白は、モラトリアムの時期終了を目前にした時、オトナなら誰もが一度は感じたことではないでしょうか。
「設定自体に無理がある」という声に対しては、それをいうならファンタジーは見ちゃいけない、と返すしかありません。これはハードSFではないのですから。
話題の音楽に関しては、私としては『海獣の子供』や『ペンギンハイウェイ』のほうがよかったな。ただ、出し惜しみしないのがこの監督の強みか。
ともあれ、観ようかどうしようかお迷いの方は、どうぞ安心して見に行ってください。いい映画だと思います。
日本のアニメの復興のためにも、ぜひ。
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