気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#64 古き良き時代のエロス ~バーバレラー~

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 『バーバレラ』は、フランスのコミックをベースにした1968年のSF映画です。

 コミック原作といっても昨今のヒーローものと一線を画すのは、これが極めてカルトなエロ映画だということ。

 映画は、いきなり宇宙服を脱ぐバーバレラ(ジェーン=フォンダ)のストリップシーンから始まります。

 この時のジェーン=フォンダのヌードの美しいことといったら!

 まさに時代を超えても美しいモノは美しい。

 それを体感させてくれる名シーンといっていいでしょう。

 しかも、開幕5分で彼女はオールヌードになり、しっかり綺麗な乳首まで見せてくれるのです。

 でもって、このストリップがストーリーに関係あるかというと、もちろんありません。その真っ裸の彼女のところに、突然、地球国指令みたいなおっさんから、「失踪した科学者、デュラン・デュランを探せ」というミッョン依頼が来ます。(ロックグループのデュラン・デュランの名前の由来って、ひょっとするとこれかも?)

 さっそうとセクシーなスペーススーツに着換えてタウ・セチ系に探索に乗り出すバーバレラですが、着陸寸前磁気嵐に遭遇し、氷原に不時着。突如として現れた原住民の子どもたちに捕まり、子どもたちの操るチャッキーみたいな人形たちにスーツをズタボロにされてしまいます。

 というわけで全編この調子で話は進み、とっかえひっかえさまざまなセクシースーツに着換えるものの、バーバレラはそのたびに鳥だの拷問だのでスーツをボロボロにされ、どんどん露出度が高くなっていくのです。
(ちなみに、バーバレラには何の特殊能力もなく、単にエロいだけ)。

 なかでもすごいのが、敵と化したデュラン・デュランが仕掛ける『快楽オルガン』なる装置。女体を鍵盤の下に埋め込み、捕虜の女性をオルガンの演奏に合わせて快感で悶絶死させるというスグレモノ。
 
 ところが性欲の強過ぎるバーバレラにより、この装置はオーバーヒート。時折官能小説などを書く筆者としては、とっても参考になる展開でした。

 一応ソラリスの海みたいなネタも出てくるし、ちゃんとSFしてはいるのですが、なんせ時代が時代ですから、CGなどはひとかけらも使われておらず、特撮レベルはまんま初代ガメラか昭和ウルトラマンシリーズレベルです。

 しかし、それが今見ても面白いのは、ジェーン=フォンダの美しさもさることながら、全編にみなぎるおおらかなエロスがとにかく心地よいからです。
 
『アラジン』だの『トイ・ストーリー』だの『ペット』だの、人畜無害な映画ばかりがもてはやされる現在、ぜひこの『バーバレラ』をハリウッドでリメイクしてほしいものです。

 そもそもかつては、丸裸巨乳の美女エイリアンが地球に攻めてくる『スペース・バンパイア』など、血わき肉躍る映画がいっぱいあったのに、いつからスクリーンはおっぱい禁止になったのでしょう。
(スペース。バンパイアのCMがTVで流れた時には、子ども心にも仰天したもの。)

 本当に、息苦しい時代になったものです。そう思うのは、私だけですか?
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