気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#63 大藪春彦賞受賞作、少女マンガになる ~ Diner ダイナー~

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 監督・・・『ヘルタースケルター』の蜷川実花
主演・・・藤原竜也
原作・・・『独白するユニバーサル横メルカトル』の平山夢明。
(ちなみに原作小説は、大藪春彦賞、冒険小説大賞をW受賞)

 母親に捨てられ、祖母に育てられた孤独な少女、大場加奈子(玉城ティナ)は、1日30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に売られ、 殺し屋専用のダイナーで働くことになる。ダイナーの主人は、「俺は王だ。ここでは砂糖の一粒一粒までが俺にかしずく」と豪語する元殺し屋ボンベロ(藤原竜也)。カナコは金庫の中で見つけた超高級ワインを隠匿することで、なんとか延命を図ろうとするが、そこに個性的な殺し屋たちが集まってきて・・・というお話。

『トイ・ストーリー4』の封切でごった返す映画館で、観て来ましたよ。『ダイナー』。
 感想はというと、

 原作は未読だけど、あの平山夢明がこんな甘い話書くわけないよなあ。かなり改変されてそうだなあ。

 というのが第一。

 身売りされた割には、ヒロインの加奈子は大して虐待されるわけでもなく、せいぜい客たちにちょっかいをかけられる程度。

 斎藤工、佐藤江梨子、金子ノブアキ、 小栗旬、 土屋アンナ、 真矢みき、 武田真治、窪田正孝、本郷奏多、奥田瑛二など、超豪華メンバーが殺し屋として続々登場するも、『ファブル』を見た後ではアクションもイマイチ。
残虐シーンもほとんどなく、なんか炭酸の抜けたコーラのよう。特にラスボス(?)役の真矢みきに至っては、宝塚かよ!って感じのいでたちで藤原竜也と銃撃戦。このあたりは女性監督ならではのノリなのでしょうか。

 肝心のストーリーといえば、いつのまにかボンベロと加奈子がいい仲になり、最後はハッピーエンドを迎えるという、ある意味少女漫画の王道を行く展開。原作がこうだとはとても思えないのだけど、もしかしたらそうなのかも・・・。

 映像はいかにもこの監督らしく、極彩色の人工美満載で綺麗でしたが、やはり沢尻エリカ が脱いだ『ヘルタースケルター』の衝撃度には遠く及ばず。

 ただ、個人的には、ヒロインの玉城ティナのウェイトレス姿がツボにはまりすぎて、(下がショートパンツだったのが唯一残念)、彼女があたふたしてるのを見ているだけでも、最初から最後までけっこう楽しめました。
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