気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#62 青春映画として見れば及第点? ~スパイダーマン ファー・フロム・ホーム~

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 トム・ホランド主演のスパイダーマン2作目。

 まず、オープニングが泣けます。
『エンドゲーム』の感動を呼び覚ます、憎い演出です。

 本編は、ざっとこんな感じ。

 ヨーロッパに修学旅行に出かけたパーカー一行の前に、突如として水の巨人が出現。クラスメイトたちを守るため、スーツ無しで戦うパーカーだが、そこに謎のヒーロー”ミステリオ”が現れ、辛くも巨人を倒す。ニック・ヒューリーと再会したパーカーは、敵はブラックホールから出現したエレメンタルズなる怪物で、ミステリオはエレメンタルズに滅ぼされた別の地球から来たヒーローなのだと明かされる・・・。

 というのが前半のお話。

 エレメンタルズ最強の炎の巨人をパーカーとミステリオが共闘して倒し、めでたしめでたしとなってからのどんでん返しはなかなか面白い。ただ、真の敵が割としょぼいことと、半分バーチャルな空間での戦いが続く後半はかなり眠い。終わり方も後味が悪く、スカッとした感じはありません。

 それでも、全体的には、序盤からどうしようもなく退屈だった前作よりはずっと楽しめる映画に仕上がっていたと思います。
 何よりも今回特筆すべきなのは、主人公を取り巻くキャラがよく立っていたこと。特に、前作でどこが魅力的なのかさっぱりわからなかったMJの素顔がていねいに描かれ、きちんとした青春映画に仕上がっています、サムライミのシリーズのおばさんすぎるMJ、アメージングの美人すぎるMJに比べると、本作の彼女は等身大の高校生という感じがよく出ていて、修学旅行中というシチュエーションも手伝って、ふたりの恋の行方はけっこう感動的なものであったようです。親友のネッドとベティのやりとりもよかったですね。

 しかし、このシリーズで一番違和感を覚えるのは、舞台となる高校の生徒の白人比率の低さ。MJもネッドも有色人種だし、白人はベティと主人公だけ。インターナショナルスクールという設定なのかもしれませんが、なんか制作側の世間への並々ならぬ忖度がうかがえます。ハリウッド映画はみんなどんどんそうなっていってますけど、個人的には、白人が白人中心の映画をつくったって別にいいんじゃないかと思います。

 あと、個人的には、メイおばさんをせっかく老人から美魔女へ設定変更したのなら、彼女に主人公を誘惑させるとか、そろそろそういう”いけない場面”も少しは入れてほしかった。でないと美魔女がもったいない。(まあ、主旨が違ってくるから駄目でしょうが。でも、それなら別におばあさんのままでいいじゃないですか)。
 それから、エンドクレジットのあとの2つ目のおまけ映像まで見ると、今後のアベンジャーズの方向性がなんとなく予想できますので、せっかく見に行ったなら、ぜひそこまで鑑賞してください。
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