気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#49 【ドラマ部門】 ジョーカー・フェイス

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 松本穂香、松尾諭W主演の連続ドラマ『JOKER×FACE』(ジョーカー・フェイス)は、つい先日終了したばかりの深夜ドラマ。

 あらすじをウィキから引用させていただくと、


 動画配信チャンネル「JOKER」を運営する流川(松本穂香)は、会社から解雇されてお金に困っていた柳(松尾諭)という男を誘い出し、動画制作の手伝いをさせることにした。流川の動画配信の拠点は若者の街である渋谷。煌びやかな表向きの姿とは対照的な深い闇の姿を映し出す街の裏側を映し出すのが流川の狙いである。その街の裏側にある深い闇の姿を映し出すために、柳を撮影役として現場に向かわせて、その現場を配信して多くの人間にコメントを発信させていく。更にはそのターゲットに巧みな罠を仕掛けて楽しむ流川の真の目的とは一体何なのか。 

 主人公ルカワは人気ニューチューバ―(ユーチューバーのもじり)。視聴数を上げるために、「やりまんアイドル」「オレオレ詐欺の犯人をはめる詐欺一家」「高級ラウンジの美人局女子大生」などを釣るべく、相棒の柳を使ってあぶない動画を撮りまくる。しまいには柳の妻がホストに狂ったあげく、借金のカタにやくざに連れ去られる場面まで実況して、当の柳の怒りを買ってしまう…。

 というわけで、驚きなのは、このドラマ、一切救いがないこと。松本穂香演じるルカワの悪意に満ちているとしか思えない悪ふざけ、そしてその言動の過激さは留まることを知らず、最終回はまるでホラーです。最近のドラマといえば、たとえ深夜枠でも、最後には視聴者をほろりとさせるものばかりだったのに、そんな固定観念をぶち壊しにするこのドラマの一本筋の通った”狂気”には正直感心しました。

 オープニングは、 miletの「Again and Again」をバックに、かつてのサウンドノベルの名作『街』をほうふつとさせるとても良い仕上がり。ところが、そのうっとり感も、ドラマ開幕と同時に非情にも破壊されてしまいます。感情移入できる登場人物は皆無で、取り上げられる事件は陰惨、そして何よりも黒目がちの松本穂香が、何を考えているかわからず、完全にサイコでむやみやたらと怖い。
彼女の前には道徳も他人への思いやりも何もなく、とにかく「みんなが見たがってるから撮るんだよ!」をモットーにカメラ片手に突き進む。バイトテロが横行し、子どもたちのなりたい職業に『ユーチューバー』がランクインする現代日本の闇。
 この『ジョーカー・フェイス』は、それを逆照射するドラマなのかもしれません。
 

 
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